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契約締結の手順と進め方
「契約書を作成しよう」と思っても、どういった手順で進めればよいのかわからない方が少なくありません。
どちらが原案を作成すればいいのか?
相手から提示された契約書に対し、反対意見を言っても良いの?
電子契約を締結したい、といわれたらどうすればいい?
契約書の保管方法は?いつまで保管すべき?
この記事では一般的な契約締結の手順や進め方、流れを解説します。契約書作成後のトラブルを避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1.いったん契約書を作成すると、やり直しは難しい
契約書が完成するのは、条件を明らかにした書面に「お互いが署名押印したとき」です。
双方が署名押印してしまったら、その後の「やり直し」は基本的にできません。
例外的にやり直せる可能性があるのは、以下のような場合のみです。
詐欺に遭った、錯誤に陥っていた
強迫されて無理に署名押印させられた
契約内容が公序良俗に反している
未成年が単独で契約した
相手と合意して契約内容を再検討する
後から「やっぱり気に入らない」と言っても通用しないので、契約書を作成する過程では慎重に対応すべきです。
2.契約書を作成する手順
以下では一般的な契約書を作成する手順を解説します。
STEP1 どちらかが原案を提示する
まずはどちらかが契約書の原案を作成しなければなりません。
フリーランスが大企業と業務委託契約を締結する場合、企業側が通常使っている書式を原案として提示してくることが多いですが、中小企業とフリーランスや双方フリーランスの場合、原案が提示されることは少ないので、こちらから契約書の原案を提示しましょう。
STEP2 交渉する
契約書の原案が提示されたら、お互いに内容を吟味して条件交渉を行います。
相手から原案を提示されたとき、そのまま受け入れなければならない義務はありません。
報酬の支払い時期、検収にかかる期間、著作権の移転の有無や移転時期、契約解除できる場合、秘密保持に関する事項など、しっかり確認しましょう。
不利になりすぎている点や疑問点があれば相手に伝えて納得いく条件を定める必要があります。
STEP3 お互いが署名押印する
契約内容にお互いが納得できたら、双方が署名押印をします。
なおフリーランスが企業と契約する場合、相手が署名押印した契約書を2部送付してくるケースが多いでしょう。受け取ったら早めに日付を入れて署名押印し、1通を返送しましょう。
契印について
契約書を作成するとき「契印」が必要な場合があります。
契印とは、契約書の枚数が複数になるときにページとページの間に押す印鑑です。
契約書の枚数が複数の場合、1枚にしか押印がなければ簡単に差し替えができてしまうので、後の差し替えや書き換えを防ぐために契印をしなければなりません。
契約するときには署名押印に使ったものと同じ印鑑を使いましょう。
製本されている場合の契印
契印は基本的にすべてのページとページの間に押さねばなりません。
当事者全員が契印する必要もあります。
ページ数が増えると契印の数が増えて大変な手間になりますし、見にくくなってしまうのが問題です。
こういった問題を解決するのが「製本」です。
製本すると、製本テープと契約書の書類にまたがって1つ契印すれば、個別のページについての契印が不要となります。
製本テープがあれば比較的簡単に製本できるので、必要に応じて利用しましょう。
STEP4 1通ずつ保管する
契約書は、当事者が1通ずつ保管するものです。
紛失すると、相手が協力してくれない限り再発行は困難なので、完成した契約書は、なくさないように大切に保管しましょう。
フリーランスとして活動していると契約書の数も増えてくるので、契約書ばかりを集めた専用の保管スペースに入れておくようおすすめします。いつでも取り出せるよう、契約相手の名前や日付などに分類しておくと便利です。
3.契約書作成時の注意点
契約書を作成する際の注意点をご紹介します。
3-1.どちらが原案を提示するのか
まず「どちらが原案を提示すべきか?」と疑問を持たれる方が多数います。
基本的に、契約書の原案を提示するのはどちらでもかまいません。
一般的には「契約書の作成を求める側」や「すでに書式を持っている側」が提示するケースが多いでしょう。
ただ相手から原案が提示された場合、相手に有利になっている可能性があります。
訂正すべき点は訂正しておかないと後でトラブルになるリスクもあるので、受け取ったらしっかりチェックしましょう。
自分でテンプレートを用意しておけば、不利にならない内容に整えておけます。
その意味で、自分から原案を提示した方が安心といえるでしょう。
3-2.相手に意見を述べる方法
相手から契約書の原案が送られてきたとき、ノーチェックで署名押印してしまうのは危険です。納得できない部分があるなら、相手が企業であっても遠慮する必要はありません。
「著作権は譲渡したくない」「検収期間は1週間以内にしてほしい」など、自分の意見をはっきり伝えましょう。契約締結の過程で交渉をしても、失礼にはなりません。
3-3.相手から意見が返ってきた場合の対処方法
契約締結交渉の際、相手から連絡があったら内容を確認し、受け入れられるものであれば受け入れて反映しましょう。
一方、こちらとして譲れない部分であれば、再度自分の希望を伝えて交渉を行うべきです。
ただ、あまりに些末なことにこだわって契約締結ができないとお互いが困ってしまうでしょう。仕事を受託するフリーランスとしては、譲れるところは譲って可能な限り契約の成立を目指すのが得策といえます。
4.電子契約の場合
電子契約の場合でも、基本的な手順は紙の契約書と同じです。
まずはどちらかが原案を提示して、お互いが了承すれば電子データを送り、お互いが電子署名を付します。
フリーランスの場合、相手企業が電子契約のサービスを利用していて電子署名を要求されるケースが多いでしょう。
その場合、電子署名用のメールが送信されてきます。指定されたURLにアクセスして電子署名を付せば、それだけで電子契約の締結が完了します。
5.契約書の作成は難しくない
現実として、フリーランスは受託の際にわざわざ契約書を作成しない方も多く、「面倒」「難しそう」と構えてしまう方が少なくありません。
しかし契約書の作成は簡単で、たいした手間はかかりません。
むしろ将来のトラブルや報酬不払いなどのリスクを避けるため、ぜひとも作成しておくようおすすめします。
紙の契約書を作成する場合、どうしても署名押印や契印、郵送やプリントアウトなどの手間が発生します。電子契約であれば、メールのやりとりだけですぐに契約締結できるので、貴重な時間や労力を削減できるでしょう。
freeeサインではフリーランスでも導入しやすい低価格の電子署名サービスを提供していますので、よければ一度お試しください。