freeeが行く! 全国コワーキングスペース行脚|PORTO(北海道・上川町)|マガジン『pathports』全文公開
2023年1月に始まった「みんなのfreeeプログラム」では、全国のフリーランス・個人事業主に寄り添いサポートしてきたfreeeと、オフラインで集う場所であるコワーキングスペースや関連施設が提携。プログラムに参加した全国の拠点から、リアルなつながりをどんどん増やしていこうとしています。「フリーランスや個人事業主の方々の世界をよくしたいと、私たちは本気で思っているんです」と熱く語るfreeeの社員Sunが、全国のパートナー拠点を巡り、リアルなつながりを見つめてきました!
外の人を豪快に受け入れるおソノさんのような存在になりたい
——オーナーの蝦夷丸(えぞまる)さん、よろしくお願いします。「PORTO(ポルト)」には今回初めて来ましたが、なんだか実家のような温かみがあって、オープンな印象を受けますね。
この場所のコンセプトを考えたとき、最初にイメージしたのはアニメ映画『魔女の宅急便』で主人公のキキを迎え入れる、パン屋のおソノさんです。外から来たキキを、豪快に町の人として受け入れてくれた人物ですね。
上川町は人口3000人ほどの小さな町ですが、町外から仕事で訪れる人や移住者も多く、僕自身も地域おこし協力隊としてこの町に来た移住者の一人です。「PORTO」を上川町にとっての、おソノさんのような存在にしたい。この町に海はないけど、住む人と外から訪れる人をつなげる、港みたいな場所にしよう!という考えのもと「PORTO」と名づけました。
——働いたり、作業したりするだけが目的の場所ではないのですね。
むしろ働くための機能は後から付けました。メインはあくまで交流のためのスペース。でも交流だけを目的にしてしまうと、町外の人など、足を運びづらくなる人もいると考えました。コワーキングスペースとしての役割を加えることで、「ちょっと作業しに行こうかな」という余白を生み出したかったんです。
——交流スペースとコワーキングスペースの間は、完全に仕切られているわけではないですね。作業中にもいろんな人の声が聞こえてきそうです。
仕事場ではないところから生まれるビジネスもあると感じています。仕事と趣味の中間にある“謎の楽しみ”ってあると思うんです。一見まったく仕事じゃない、ただ楽しいものだけど、やり方によっては仕事にもなるような。仕事と遊びを明確に分けず、人や情報が集まるサードプレイスのような場所のほうが、いろんな可能性が広がると思ったんです。だからの交流スペースと作業スペースは、本棚でゆるやかに仕切っただけ。会話が生まれやすいよう、あえて中途半端な空間作りを意識しました。
役割を与えることで町に居場所が生まれる
——個室化されているコワーキングスペースも多いなか、ここは人と人が混ざり合う空間なのですね。
2021年10月にPORTOがオープンする前は、町内で集まる場所といえば、役場の庁舎内くらいしかなかったんです。あまり気軽に足を運べる場所ではないし、リラックスした状態では話しにくいから、交流も面白い発想も生まれづらくて。でも今のPORTOには「観光のついでに来ました」とふらっと立ち寄る若者から、「スマホの使い方を教えてほしいんだけど」みたいな日常のちょっとした相談をしに来る地元のおじいさんまで、日々いろんな人が訪れてくれています。
——私たちfreeeも、フリーランスや個人事業主の方々が困ったときにオンラインだけでなく対面で相談できる、自然に集まれる場所を作りたいと考えています。まさに蝦夷丸さんの考えと重なる部分が大きいように感じました。
そうですね。交流できるリアルな場所があることって、本当に大事だなと思うんですよ。2022年の1月にはPORTOのすぐそばに、「KINUBARICOFFEEROASTERS(キヌバリコーヒーロースターズ)」をオープンしました。このカフェも価値観が違う人同士でも出会うきっかけになるような、楽しく過ごせる場所でありたいと思っています。そんな場所が町にいくつもあることが、とても大事だと感じていますね。
——交流できる場所をどんどん増やしていく上で、大切にされていることは何かありますか?
“役割”を与えることです。PORTOでは月間20件くらいイベントが開催されるのですが、そのうち利用者からの持ち込み企画が8割ほど。PORTOの主催イベントよりも圧倒的に多いんです。僕たちとしても、利用者やイベントの参加者を増やすのではなく、“主催者”を増やしていきたいんですよ。雑談するなかで、ちょっとでも「こういうことをやってみたいんだけど……」というような言葉がこぼれた瞬間、スタッフはすかさず拾って後押ししています。
地域に自分の居場所があるとか、自分が関わってもいいんだと感じるときって、役割を与えられたときだと思うんです。「ウェルカムだよ」と声を掛けられるだけでは足りなくて、何かを手伝ったり役に立ったりすることで、初めて自分の居場所になるというか。ここでイベントを運営したことをきっかけに、上川町に移住する人もいるんです。積極的に町へ関わる機会が生まれることで、住民として暮らしていけるイメージが描けるのだと思います。
——町の中に、自分の居場所を作ってくれる場所でもあるのですね。
大人だけでなく子どももそうで、先日は小学生の男の子が「ポケモンカード大会」を企画したんです。ポケモンカードでバトルしたい、大会に出たいのに、町の子どもが少ないからなかなか機会がないという話をスタッフが耳にして、「自分で企画してみたら」と声を掛けて。その子が自分でチラシも作って、SNSでも告知。当日は子どもだけでなく、町の大人も参加しに来ました。あの光景は面白かったなあ。
公共性と経済性のバランスを取り続けていける場所に
——お話ししていて感じたのですが、蝦夷丸さんって眼差しがとてもピュアですよね。本当に町のことを思っていることが伝わってくるのですが、その原動力は何でしょう?
町に対する思いが強いというより、僕のやっていることは友だちとの思い出づくりのためでしかないんです。子どもっぽい表現で恥ずかしいのですが(笑)。友だちといい思い出を増やすために、会社も店も、いろいろやっているだけですね。
ただ、マネタイズを考えると正直、厳しい部分もあって。この町の規模感で、公共性と経済性のバランスを取りながら、PORTOを続けていける場所にできるよう模索している最中です。
——「みんなのfreeeプログラム」はまさに、そういう想いがある方を支えるために始めたプログラムです。「個人にとってよりよい世界を一緒に」というミッションに向けて、共創していきたい。そのために紹介プログラムや集客サポートのメリットを設けるなど、パートナー拠点の方々が運営を続けていくための力になりたいと思っています。
ありがとうございます。freeeは僕が個人事業主として開業届を出したときから利用させていただいていて、個人的にも身近な存在です。これからも、共に歩んでもらえると心強いです!
文=冨田ユウリ 写真=原田啓介
まだまだ続く、「みんなのfreeeプログラム」拠点へのSunの行脚の様子は、ぜひ『pathports』本誌でお楽しみください!
☆『pathports』は全国のfreeeパートナー拠点のコワーキングスペースで無料配布中。配布場所についてはこちら
☆freeeが『pathports』刊行に込めた想いはこちら