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「12年経っても満足してないから、今日も楽しい」freeeラジオvol.4 書店「Snow Shoveling」店主・中村秀一さん

3月27日に下北沢「BONUS TRACK」で開催されたイベント、「フリーランスゆるつな会〜オールfreeeデイspecial〜」。確定申告を無事に終えたであろう個人事業主やフリーランスが集まり、“ゆる”〜く“つな”がって一年の労をねぎらうことをテーマとした本イベントは、当日約400名もの方々が集まり大盛況となりました。

イベントでは様々な職種のフリーランスをゲストに迎えたトークイベント「freeeラジオ」を実施。履歴書を書く機会がほとんどないフリーランスの方々に「フリーランスの履歴書」を作成していただき、これまで歩まれてきた人生の変遷を振り返りながら、仕事、お金にまつわる話を聞きました。

▲当日はゲストの他にも、フリーランスの方々の履歴書を展示。それぞれ個性が溢れた内容に、来場者は興味津々。

本記事では「freeeラジオ」、当日のトークの様子をお届けします。
四人目のゲストは書店「Snow Shoveling」店主・中村秀一さん。聞き手はme and youの野村由芽さんです。

それではフリーラジオ、オンエアです!

エラーは、うっかりオリジナルになる

─今は書店をされている中村さんですが、そこに至るまでの経緯を教えてください。

かなり話すと長くなるのですが……。簡単にいうと、ずっとフリーターです。会社勤めしたこともありますが、2年はいない。27歳までの間に、グラフィックデザイン、映像制作、PR、マーケティング……と、どれもやってみたいことに目移りしてジョブホッパーをしていました。
僕はずっと、フリーランスに憧れていたんです。

─それはいつからでしょう。

最初から、ですね。“フリー”という言葉自体に憧れていました。生まれの九州から東京に出てきて、「フリーで〇〇やっています」みたいな表現に痺れて、僕もいつかフリーになりたいと思っていました。
28歳くらいのときに経験を活かして、「一人広告代理店」として企画立案からデザイン、プロモーションまでやるフリーランスを7〜8年やり、本屋に鞍替えし、本屋は12年くらいです。

─デザインなどに必要な技術は独学で?

そうです。パソコンを買って、ひたすらアプリケーションを触って、自分でできるやり方を見つけていきました。時代もよかったんです。ウェブ全盛期で我流でもできて、需要がありましたから。とにかく手を動かして、技術を身につけていきました。

─そうして突然、本屋の道へ。

受注仕事に限界を感じていたんです。自分でいいと思っていることが通らなかったり、繰り返されると納得がいかなくなってきて。自己発信をしようと思い、本屋を選びました。

─どこか本屋さんで働いて、学ばれたんですか?

普通ならどこかで書店でアルバイトして仕組みを理解していくのですが、「セオリー度外視で何かやりたい」という思いがありました。パイオニア精神で、自分の手と足、お金と時間を使って、自分なりの方法を見つけたい。だからあえて、今まで経験したことがなかった本屋という仕事を選んだんです。

─未経験ということを含めての、本屋という仕事だったのですね。未経験だからどうしよう、という考えではない。

エラーみたいなことが、うっかりオリジナルになると思うんです。人の真似をしていると、どうしてもオリジナルにならない。オリジナルであることを、僕は重視していますね。

満足してないから、今日も楽しい

─履歴書に書かれている「12年くらい経っても、まだ満足していないので今日も楽しく本屋をやってます」という言葉が印象的でした。満足してないから今日も楽しい、というのは、どういう感覚なのでしょう。

日本の「道」がつく、茶道、華道、武道などの文化がいいなと思っていて、自己を極める、終わりは自分で決めるという考え方ですよね。自分の本屋もそうしていきたいんです。完成したら終わり。常に外から刺激をもらったり見つめ直したりして、課題や優先順位を変えています。

─やったことないことに対する、自分のワクワクを大切にされているのですね。「Snow Shoveling」自体が出会いの場として、人と人が出会う場所作りもされているとのことですが、中村さんが考えるフリーランスの出会いの形を教えてください。

自分が面白いと思ったところに行けば、自分のような人たちに出会えると思います。イベントでも、ギャラリーの展覧会でも。行動とオープンマインドがまず大事。行動して誰かに声をかけることで、人とどんどん繋がっていけると思います。

汝の立つ処深く掘れ、そこに必ず泉あり

─ではここで、freeeユーザーのたこやきさんからお便りが届いています。「好きなことを仕事にしたいと思っているのですが、好きなことが見つかりません。好きなことの見つけ方を教えてください」

……探さないほうがいいと思いますね。

探すと、自分の審美眼が鈍る。探していると本当に好きなものじゃなくても、なんでもいい“何か”が欲しくなっちゃうと思います。だから探すより、自分の感性を上げること。美味しいものを食べたり、人にたくさん出会ったり、そうして過ごすうちに、いつか光るものに出会えると思います。
僕が好きなニーチェの言葉を引用すると、「汝の立つ処深く掘れ、そこに必ず泉あり」。遠くを探すのではなく、今の自分を見つめていけば、好きなものに出会えると思います。

─ありがとうございます。それでは最後の質問です。経理作業のとき、どんな音楽を聴いていますか?
「The Chemical BrothersのStar Guitar」です。一定のリズムとリフレイン、無限のように続くので、作業も無限に続けられます(笑)。

─中村さん、ありがとうございました!次は「OH! MY BOOKS」の福永紋那さんにお越しいただきます。おたのしみに!

〈オールfreeeデイ〉
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〈中村さんの履歴書〉

〈プロフィール〉

中村秀一さん(書店「Snow Shoveling」店主)
中村です。「本屋の姿をした何か」と謳う、思わせぶりな本屋です。お店は駒沢にあります。「好きなもの何食べたい?」と問われると「鰻か鴨」と答えます。社交性は低くないですが、心の遮光性は割と高いです。つまりメンドクサイです。そんなこと言っておきながら筋金入りのロマンティストです。答のない会話や対話が何よりも楽しいです。