結婚したら名前が変わったよ
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この小説は、1000文字程度の短編物語です。
今回は読者様からのリクエストがあり「結婚式で父母に読む手紙」と題して作成しました。
どうぞ、楽しんでくださいね。
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プログラマーとして働いて社会人10年目になる私、周りの人には隠していたけど、実は付き合って1年半になる彼氏がいる。
先週末にプロポーズをされて、、、彼からは「反応うっすい」っていわれたけど、見た目とは裏腹に気持ちはやや、、、いやだいぶ浮かれ気味だ。
彼にはまだ返事をしてないけど、毎日ひっそりと新居を探しては、妄想を楽しんでる。
「結婚したら早く子供欲しいんだよね」
嬉しい気持ちの反面、言い出せていないことがある。実は仕事を続けたいのだ。
・・・・・・
そんなある日、休憩をしていた同僚達の会話が漏れ聞こえてきた。
「うちの会社って結婚したら辞めていくよね」
「だって実際無理じゃない?」
「まぁね~。お客さん先に常駐することもあるし、ブラック気味だもんね~」
やはり辞めるべきなのか・・・?
思えば最初から仕事が好きだったわけではない。
クライアントの都合で工数が倍になったこともあるし、夜の約束も残業でいけなかったこともある。
毎日終電で辛くて辞めようと思ったとき、会社まで迎えに来てくれた彼の言葉が私の心を引き留めてくれた。
「辞めてしまうのは簡単。僕だって失敗を恐れたり、逃げ出してしまいたいことがあるよ。実際今の仕事も天職かどうかもわからない。
最近さ、コスパやタイパとかいうけど、そんなのAIじゃないんだから突き詰めて意味あんの?って思うんよね。
だから1回突き抜けて、やりきったと思えるところまでやってみたら?」
「やってみないと得られないものがあると俺は信じてる。それまでは何度でも迎えに来るよ」
彼の言葉に支えられて今まで頑張ってきた。
やりきって見たら満足どころかもっとやりたくなった。
今では私を信頼して仕事を任せてくれるクライアントがいる。だから私はこの仕事が好きになった。
続けていこう。
前例がないのなら私がなればいい。
胸をはって結婚して名前が変わっても働いていけることを証明しよう。
今までの殻を破るチャンスなのかもしれない。
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新しい名刺が届いた日。
名前が変わったうれしさと仕事を続けられる喜びが込み上げてきた。
心機一転、新しい私の始まりだ!
(868文字)
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