同時の人は継次の人を「コツコツ型」と思う(コンプレックスバージョン〜大学院生と話して〜)
昨日、高校の理系のベテランの先生であり、かつ探求型授業についての修士論文を書こうとしている大学院生と話す機会があった。
論文作成(研究)がうまく進んでいない様子だった。
「人文系の論文て、よくわからない。」
そんな彼女の話を丁寧に聞いているうちに、私にとって気になる表現にぶつかってしまった。
「私って、一つの章のことを考えていても、他の章について思考が飛んじゃって、いつまでたってもまとめられないんです」
自分の悩みについて語る中で、あちこちに思考が飛ぶ、という表現をするのを聞くと、
「この人は、同時処理傾向が強いかもしれないな」と思う。
もちろん、それだけでは無いだろう。
そういう余地も残しつつ、私は話の方向性を少し絞る。
マインドマップって知ってる?
「知らないです」
自分が考えたいテーマを、紙の中心に書いてそれについて思うことを、どんどん足しながら書いていくんだけど、(マインドマップWikipedia)、本来は悩みとか課題解決のための方法だと思うんだけど、
論文を書くときの思考がまとまらないときに、使ってみたらどうだろう。
例えば・・・
と、説明を始めると、彼女の表情がぱーっと明るくなった。
同時処理傾向の人にはマインドマップはよく効く。
とっ散らかりがちな思考を、紙の上にピン留めできる。
主要なテーマから離れないように自分に言い聞かせられる。
あちこちに飛んでしまう思考を活かし、あちこちに伸びた思考の先をランダムに書いていける。
自分の思考を「一枚の紙」に「視覚化」できる。
「わたし、いつもあちこちに思考が飛ぶのを直さなきゃ、と思って。
修士論文を書くのも一章から1行1行積み重ねるように書いていかないと、と思ってて。そうすることで、自分の”欠点”を直していけるかな、と思ったんです。
それも、論文に挑戦しようと思った理由の一つなんです。でも、うまくいかなくて・・・」
そうねー。
でも、なおらないかも!というか、せっかくの思考方法を活かした方がいい論文になるかもよ。
一枚の紙の上に書いて書いて、疑問も付け加えてそれの答えも書いて、そして、ここの部分はまだ調べ足りないとか、分析し足りていない、とわかったり、もっと書き進むと、ここの部分で一つ章立てできるな、とか、構成も見えてくるかもしれない。そういうの、得意じゃない?たぶん。
抽象的なアドバイスにも関わらず、彼女が上気し「わかった!」という顔をした。
こんな私の伝え方でも「わかる」のは、おそらく彼女に同時処理傾向が強いからだと思う。
「ずーっと、直さなきゃ、って思ってたんですよ!
でも、活かせばいいんですね!」
彼女は50代。
同時処理傾向の強い人は、継次型のような「コツコツ」頑張ることができなくて、
それをコンプレックスに感じていることがある(全員では無い)。
それが、思考を止めたり、自信の喪失に繋がったりする。
今回の会話では、認知処理傾向の話だけではなく、
人文系修士論文を書くにあたっての悩みを互いに様々に話していた。認知の話はほんの一部。
でも、ああ、こんなところでも
この考え方は役に立つんだな、と思った。