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伝えるとしたら
昔はもっと単純に世界は優しいと思っていた。ケーキ屋さんとかそういう職業で生きていけるのかなって思っていた。だんだんと、そこまで単純ではないなぁとなんとなくわかり出した。適性やら望む生活やら考えるとその選択肢をとることはできなかった。今に至るまで楽しいこと、嬉しいこともたくさんあったけれども、同時にうまくいかないこともあった。個人的には自分の人生はこれ以上は望まない。望めなくなってきた。現実を知ったということかもしれないけれども、自分が何をしたいか、よくわからなくなってきたのだ。ディズニーランドに行く計画を立てている間が一番楽しいみたいな、人間結構、夢見ている間が一番楽しいのかもしれないとも最近思う。
今の仕事について9年目になる。その前の仕事もいれたら、社会人経験も10年目になる。自分の仕事はまだまだだけれど、仕事について大事だと思うことは3つある。
一つめ、仕事は大事だけどその仕事だけが仕事ではない。本当にだめだと思うなら一度立ち止まること。人間にはどうしても止まれない日常の繋がりがある。子どもや、介護など、生まれ落ちたときからの縁に基づくものや、逆に自分が縁をつないだものだ。子どもを産まなかったことにはあとからできないし、親は生まれた時からどんなかたちであれいるものだ。そういうどうにもならないものではないということを心にとめておいてほしい。
二つめ、人は人に癒される。人間は承認欲求の塊だから、会社で承認されないなら承認されるところをつくるように努力すること。幸せになるように努力すること。冒頭述べたように、実際のところ、世界は厳しいだけではないけど、そんなに優しくはない。いろんな場所、できれば間接的にでも人と接することのでき承認される場所があればいい。
三つめ、これは正直出世とは相反すると思うけど、自分のキャパを意識すること。出世することは、一概に悪いとも思っていない。残業代の出ない管理職になるのは嫌煙されるかもしれないが、権威というのは役にたつ部分もある。だから、目指せるなら、そっちを目指すのもいいと思う。でも、そういうのが好きでない人間もいて、そういう役回りになれない人間もいるのも事実だ。だから、そういう人はそういうなりの利益を追求したらいいと思う。人によって頑張れる量は異なるから、気力や体力が人より少ないなと思うなら、最初からできるだけ無理を自分にさせない。
「続ける」というのは、実は一番難しいことで、日々リセットしたい気持ちとの格闘である。そして、リアリストな自分は、仮にリセットしたとして次何を望むのか夢が具体的に描けなくなっているので、今のところ多少なりとも進めるから格闘しながら続けているだけだ。「カラフル」という森絵都さんの小説のなかで「人生なんてほんのホームステイです。」というような一説があるが、ほんのホームステイのためにも私たちは自分で幸せになる努力をしなければならない。だから、気が付けばみんな「就活」「婚活」「妊活」「保活」「終活」と「活動」で大忙しだ。
仕事について語れるほどのことはないが、人生というほんのホームステイで「幸せになる努力をすること」。そして時に休憩しながらでもいいから、それを「続ける」こと。それが一番伝えたいことだ。