家でも簡単にできる土壌物理分析の方法~土粒子密度篇~
だいたい土壌分析といえば、
窒素とかカルシウムとかの化学性分析が一般的だと思います。
しかし、重要なのは物理性の方なのです。
一般に土壌の重要度は
物理性>生物性>化学性と言われています。
そこで今回は、家でも三相分析ができる簡単な方法を紹介します。
ピクノメーターと言う3000円ぐらいの器具が必要です。
ピクノメーターは是非買っておいてください。
三相分布とは?
三相分布とは土壌の中に含まれる固体液体気体の割合を示したものです。
固体の割合を固相、液体の割合を液相、気体の割合を気相と思っていただいて、半分ぐらいは会っているかと思います。
気相の割合が多ければ多いほどふかふかの土といえ、
液相の割合が多ければ多いほどドロドロの土と言えます。
また、固相の割合が比較的高い場合、その土壌は固い土と言えます。
反対に比較的低い場合はその土壌は軟らかい土と言えます。
三相分布はピラミッド形式で表すことが多いです。詳しくは三相分布とかで検索してください。
①ピクノメーターの検定
まずピクノメーターの重さを測ります。
ピクノメーターの空の重さを測ります。
今回はピクノメーター36とピクノメーター58と書かれたピクノメーターを使います。
次にピクノメーターに水を入れた重さを測ります。
ピクノメーターの検定は事前にやっておく方が良いです。
なぜならピクノメーターに蒸留水を入れると乾燥まで時間がかかるからです。
②測定
ピクノメーターに測定したい土壌を入れ、
ピクノメーターの高さの2/3程度になるように蒸留水(水道水でも可)を入れます。
※土壌の試料は最大でも1/4しか入れてはいけません。
湯せん器具を用いてピクノメーターごと加熱します。
十分気泡を取り除くため時々ピクノメーターを振って
気泡の抜け出しを促進することが大切です。
その後ピクノメーターの内容物が室温になるまで放置します。
これは何のためにしてるかと言うと
土壌の三相分布の固相・液相・気相のうち、
液相と気相、固相を分離するために行なっています。
土壌中の水分と後から入れた水がくっついて
蒸発させることによって土壌水分も抜け出すからです。
ピクノメーターに蒸留水を加えストッパーをつけてみたします。
全体の質量(ピクノメーター+土壌+水)と内容物の温度を測定します。
温度を測定するのは、水の体積は一定ではないからです。
詳しくは高校化学で体積と温度の関係を検索してください。
ピクノメーターの内容物を皿に全量取り出し、
電子レンジでチンします。
何回もチンして、重さが変わらなくなったら
土壌の乾燥重量を測ります。
③計算(1)水の変換
まず②で測定した水とピクノメーターを合わせた重さを測ってみましょう。
そのためには蒸留水の温度差で水の密度がかわるため、
蒸留水の重さを変換する必要があります。
①で測定した水をスレスレまで入れたピクノメーターの重さから
ピクノメーターの重さを引きます。
すると、ピクノメーターの中身の水だけの重さが出てきます。
それを温度差が生じているため、密度(g/cm3)の変換を行って
②の正味の水の重さを計算しましょう。
ちなみに蒸留水の密度は、
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表の右側が十の位、表の上側が1の位となっています。
まぁ、これだと1の位までしか測れませんが。
今回、私は②が24.9℃、①が22.9℃のため、
水の密度はそれぞれの温度で、
0.99707(g/cm3)、0.99756(g/cm3)となっています。
②の水の正味の重さ(g)=
②の水の密度(g/cm3)/①の水の密度(g/cm3)×①の水の重さ(g)
ということです。
②の水の正味の重さにピクノメーターを足せば、
②の水とピクノメーターの合計の数値がでます。
④計算(2)土粒子密度計算
土粒子密度(g/cm3)を計算しましょう。
まず、電子レンジでチンして
水が蒸発した炉乾燥の土の重さをはかりましょう。
ちなみに炉とは乾燥炉のことで、電子レンジ等のことです。
炉乾燥の土の重さ(g)=(皿+土)-皿
ででます。
③で求めた②の水とピクノメーターの合計の数値を、
以下③と書きます。
土と同じ体積の水の重さ(g)=炉乾燥の土の重さ(g)+③(g)-②(g)
で、求められます。
土の体積(cm3)=土の重さ(g)÷土の密度(g/cm3)
ですから、
土粒子密度(g/cm3)=
炉乾燥の土の重さ(g)÷土と同じ体積の水の重さ(g)×水の密度※
※②の温度の水の密度です。
で、ようやく土粒子密度が求まります。
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