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【濃い顔シネマ】凶悪な濃い顔がずんずんと歩み寄る傑作洋画『ブラック・スキャンダル』
みなさん、濃い顔はお好きでしょうか?
私は自分の眉毛が太いこともあり濃い顔をお見かけすると勝手に同族意識を感じて心の中で「いいね」をおしているような人間です。
寒さを感じさせない頼りがいのある冬場の濃い顔。
のどかな陽気で頬がほころぶ春の濃い顔。
猛暑の中でさらに油を増して生命力みなぎる夏場の濃い顔。
夏の終わりをしのぶ切ない秋の濃い顔。
日本に春夏秋冬の美があるように濃い顔にも四季折々の美があります。
そんなこともあり、スクリーン狭しと活躍する濃い顔を見るといてもたってもいられなくなってしまいます。
この気持ちをどうしたらよいだろうということで、映画の中で濃い顔に遭遇したり、もしくは強く思い出されたときに記事にしていこうと思い立ちました。
その名も濃い顔シネマ。
「こいがお」と読みます。
さてそんな執筆を思いついたきっかけとなるのがこちら。
『ブラック・スキャンダル』
アイルランド系アメリカ人のギャングによる”実録”もので。
ボストンで暗躍していた犯罪集団のリーダーであるバルジャーを演じるのはジョニー=デップ。
ジョニーさんといったら役作りをしっかりしてくださる品質保証付きですね。
本作では懐の狭さを凶悪な力に変えているようなサイコパスリーダーを怪演しています。
雑談をしゃべっているだけでも銃で撃たれそうなひりつきが全編を占めています。
一人ずつ消されるホラー映画を見てるのと近い感覚といいますか。
ああ、この人、死亡フラグ立ったな。みたいなものが途中から見えてくるようになります。
脚本の方でそのあたり心理的に誘導していくようにうまくできているんでしょうね。
この作品、なかなかお目にかかれないぐらいの濃い顔フェス状態でして、どの濃い顔ステージに行くか迷うぐらいのラインナップとなっています。
殴り役として連れまわされるウィークス役のジェシー=プレモンスなんてジェイソン=ボーンに増強剤をうちまくったような暴力フェイスで鬼格好いいです。
あえて主人公のマインドコントロール下に身をおき闇に染まりきるフレミ役のロリー=コクレインの正義を一切あきらめた顔もむちゃくちゃ怖くて濃いです。濃い怖ってやつですか。
そんな濃い顔フェスのヘッドライナーに感じたのは断トツでジョエル=エドガートン演じる汚れFBIのジョン=コノリー。
平常時でふりきっている人の顔といいますか。
この役自体は暴力をはたらかないし、バルジャーと内通し続けるだけの役なんですけどね。
いるだけで空気をぶち破り続けている迫力なんですよ。
濃い顔で空間を破壊しているとでも申しましょうか。
また眼と眉毛の間の暗がりがもう怖くて怖くて。最高です。
イラスト:川口比呂樹
髪型が多分合ってないのか、そもそも合わせにいってないのか。
気にしたら負けなヘアースタイルでずんずんと歩み寄ってきます。
それで悩んだり怒ったり笑ったり考えごとをしているんですけどほぼずっと濃い顔です。
贅沢すぎる。
ワーナー様、このような濃い顔の祭典をお開きいただき大変ありがとうございます。
もちろん主役のジョニー=デップの統率感あってこその濃い顔祭りとなっていますので、ジョニー=デップ目当ての方も濃い顔目当ての方もぜひどうぞ。
※2020年6月25日現在ですとNetflixで見ることができます。