#16 人生 x 音楽を語る①
♪ 赤いシールをドにはって
おんぼろのピアニカ
いつも僕を憂鬱にした
姉ちゃんのおさがり
クリーム色のボディーをして
最新モデルカラーはブルー
教室1ヶ所に並んだ
僕のやつだけ違う
黒いペンで名前隠して
ミミレミレドドシドシラドシドレミレ
ミミレミレドドシドシラドシドレド
音楽の時間は
いつも僕を憂鬱にした
みんなのやつと違う
赤いシールもはがれかけ
なんでもない一言が
今も僕の心に残るよ
「なんでお前の違うの?」
僕の憂鬱を茶化した…
ミミレミレドドシドシラドシドレミレ
ミミレミレドドシドシラドシドレド
赤いシール「ド」にはって!
赤いシール「ド」にはって!
間違えないでここだよ!
「シ」じゃないよ!
おんなじ服着て おんなじモノ食べ
おんなじを学んで
おんなじ時間を おんなじく
おんなじが美学だった
人と違う 人と違う 人と違う
それだけで
僕を憂鬱にした
赤いシールを「ド」にはって
赤いシールを「ド」にはって!
赤いシール「ド」はって!
小学生の頃の思い出を歌にした
NHKのお母さんといっしょで流れるような曲
そんなイメージで作詞した
歌詞の通りなんだけど
子供の頃
音楽の時間が嫌で嫌で仕方がなかった
僕には5つ上の姉がいて
音楽で使うピアニカが
5年前の最新モデルだった
だから5年経って
型も変わって
みんな青いピアニカを買ってもらっていた
僕だけが違う
そんなことが恥ずかしくて
憂鬱で
今じゃどうってことないことも
子供の世界では全てだった
みんなでおんなじ服着て
みんなでおんなじもの食べ
みんなでおんなじを学んだはずなのに
学年が上がるにつれ
子供ながらにみんなそれぞれ違うとわかった
家庭環境の違い
価値観の違い
将来の違い
…
鼻水サトシー!
そうからかっていたサトシくんは
小学生で新聞配達をしていた
彼は長家に住んでいて
彼の家に行った時
ちょっとしたカルチャーショックを受けた
ミカンの缶詰の
中身を大きなジョッキグラスに移し
美味しそうに汁まで飲み干した
汁って全部飲むんだ…
これはとても失礼なことかも知れないけど
なんかショックだった
そんな些細な出来事が
今でも繊細に覚えている
その後彼は
不良グループの一因になって
いつの間にか疎遠になった
このうたで何が言いたいわけではない
ただあの頃の憂鬱を思い出すと
サトシくんが浮かんでくる
30歳すぎて
何かのタイミングでこのうたを作った
のちに
演劇で使用してもらった
COLORSというタイトルの演劇で
色にちなんだ演目で構成した
それに合わせて
一部歌詞を変えた
この歌詞には意図的に色の種類を入れている
クリーム色
ブルー
黒
茶
赤
歌を作る人間として
誰かが口ずさんでくれることは
この上ない幸せなことだ
動画を残そうと思う
多分作った当時のもの
あなたのノスタルジックに
届いてくれたら嬉しい
あなたにとってのサトシくんへ