脚本『明日の仕事は明日しますよ』
オフィス。
上司と部下が向かい合った席に座っている。
上司も部下もそれぞれのパソコンを使って仕事をしている。
上司:天気予報って見る?
部下:見ますよ。
上司:じゃあ明日の天気分かる?
部下:分かんないです。
上司:……あー、そっかあ。
部下:すみません。
上司:いやあ、明日どうしよっかなあ。
部下:明日何かあるんですか?
上司:世界滅ぶんでしょ?
部下:ああー。
上司:知らなかったわけないよね。
部下:そりゃまあさすがに。ですが天気の話されてたんで、そっち関連の話が来るかと思ってまして。
上司:そっち関連って?
部下:天気の……。晴れてたら入り口の、駐車場はこちらってやつ貼り直すのかなって。
上司:やっぱりあれ気になるよね。
部下:読みづらいですし、分かりづらいですからね。
上司:めっちゃ言うね。確かにもうちょっと分かりやすいところに貼った方がいい。ご意見ありがとうございます。
部下:いえ。ただ、明日世界が滅ぶなら、意味ないかもしれないですけど。
上司:ぶっちゃけさ。
部下:はい。
上司:信じてる?
部下:信じてないです。
上司:やっぱり?
部下:困るんで。
上司:困るよね。外やばいもんね。
部下:見れたもんじゃないですよ。
上司:まあ僕たちみたいに普通に仕事してる人もいるんだけどね。
部下:それはそれで狂ってる気がしますけど。
上司:おおー、それは自分にも言ってる?
部下:ええ、自覚は。
上司:フフッ。僕は仕事大好きだから。もうお仕事ばっかりしてるから。
部下:社畜なんですか?
上司:いやあ、違うけど。
部下:そうですよね。結構休んでますもんね。仕事が人の三倍出来るから。
上司:褒めてくれて嬉しいよ。君は何で今日ここに?
部下:やることがなかったからです。
上司:うわあ。
部下:一応色々考えましたよ?一応。ただ、もしも逆に明日世界が滅びなかったら、仕事は溜まる一方じゃないですか。
上司:そうだねえ。
部下:ならやっといた方が良くないですか?
上司:そうだねえ。じゃあ駐車場の貼り紙作っておこうかな。
部下:良いですね。色は黄色とか赤とかが目につくらしいですよ。
上司:へえー。作ったら見せるよ。
部下:はい。
上司:そんで明日晴れだったら貼ってくる。今日はもう貼る時間はないかな。
部下:外危ないですし。
上司:そうそう。明日やるよ。
部下:それがいいですよ。