見出し画像

▶️自作脚本◀️Tempo Rubato 3場

 スリーパーの自宅にあるスタジオ。

ユメウリ  あー、汚え。何でこんなに放置したんだよ。
スリーパー 眠くて。
ユメウリ  あんたはまじで不眠症を治せ。
スリーパー 出来たらやってるよ。てかこれでも良くなったほうなのさ。
ヒーロー  今は寝れてるんでしょ。
スリーパー 彼がいるからね。
ユメウリ  そうか。帰ってきてるのか。良かったな。
スリーパー 隈も大分良くなったと思わない?
ヒーロー  そうだね。
ユメウリ  恋人の力ってすげえよな。
スリーパー 君のところもすごいよね。
ユメウリ  あいつがいなきゃ、今歌ってねえよ。
ヒーロー  愛だねえ。トワもそのくらい素直だといいのに。
スリーパー トワ?ああ、そうだね。
ユメウリ  まだ付き合ってないんでしょ。
ヒーロー  そうだよ。ユメウリは何か知らない?
ユメウリ  俺はトワよりカズナリの方が仲良いんだけど、あいつからは何も。
ヒーロー  そうなの?
ユメウリ  まあトワの話もするけど、んー、バイトの話とかかなあ。俺は社会人で歌手やってっけど、あいつはバイトしながら歌手やってるからさ。あいつは事務所にも入ってるし。そんでお互いの仕事の話とか、歌の話とか、ライブ会場どこが良いとか、なんかそんな話ばっかだな。
スリーパー それじゃあカズナリ君の方が立派じゃないか。トワなんざ会うたび音楽の話かカズナリ君の話だよ。
ヒーロー  俺は好きだけど。
スリーパー 私は若干飽きた。カズナリ君はゲイ?
ユメウリ  さあ。最近結婚式によく呼ばれるって話してて、恋人欲しいー、結婚してーって話したわ。まあ多分偏見はなさそうかな。
スリーパー ないんだ。
ユメウリ  性格的に?あいつはなさそう。でも、前にトワのことどう思ってるかって聞いたら、唯一の存在って言ってたな。
スリーパー 唯一?
ユメウリ  親友でもあり尊敬する相手でもあり馬鹿やり合える、家族とも違う大切な唯一の仲なんだとよ。
ヒーロー  良いねえ。すごい良い。そんなの滅多にいないよ。
スリーパー それもしかしたらもしかするかもしれないね。トワが素直になれば、だけど。
ヒーロー  あー、トワが素直になるのは、どうだろう。あいつ良い格好しいだからなあ。
スリーパー 馬鹿なんだよ、トワは。
ユメウリ  天才ピアニスト、ボロクソに言われてんな。
スリーパー あれが天才なわけないじゃない。
ユメウリ  あー。
スリーパー あれはただの努力でしょ。天才っていうのはユメウリのことでしょ。
ユメウリ  俺?
スリーパー あとユメウリのお姉さん。
ユメウリ  姉ちゃんは、確かに、努力する天才だわな。
ヒーロー  一番強いやつだね。
ユメウリ  俺はどうだろう。
スリーパー まだ才能に振り回されてるけど、才能を活かす力を手に入れれば、ここにいる誰よりも強くなるよ。
ユメウリ  きっつー。
ヒーロー  応援ソング歌おうか?俺の歌は効くぜ。
スリーパー 良いね。ヒーローの応援歌は頼もしいよ。
ユメウリ  おい、俺頼んでねえって。
ヒーロー  まあまあ。聞いておけって。ユメウリの今後を祈って。

 ヒーローがアコースティックギターを弾きながら歌い始める。
 彼の歌は、現状に満足していない人へ送る応援歌だった。
 ヒーローの歌が終わり、ユメウリ、スリーパー、ヒーローが去る。

いいなと思ったら応援しよう!