ブロイラーにはならない。
満員電車でじっと立って。駅に下りれば周囲と歩幅をそろえて。マックのぎっしり並んだカウンターに座ってコーヒー飲んで。いまはディスタンスかも知れないが。バブルの頃は乃木坂で働いていた。昼も夜も近所の牛丼屋というかいつも500円のかつ丼ばかり食べていた。かきこんだらまた事務所に戻って延々と取材の電話。次第に僕らはブロイラーになっていく。じっさい当時はブロイラーと自嘲してた。そうして心の豊かさを失っていく。自主的思考が停止する。誰かの言うなりになる。望まないはずの未来に進んでいく。そうならないために。まず昼飯はちゃんと食べる。ブロイラー食で済まさない。多少お金がかかっても。豊かさと強さと自由を失わないための保険として。
※「すべての空の下で2」という雑多な短文を連ねる試みの一節。