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30.散文詩 ≪お泊りしてもいい?≫

咲良はもうすぐ五歳になる。お兄ちゃんや妹がいる。いつも一緒に遊んでいる。
 
咲良は、時々うちに来るバアバが大好き、ママはよく怒るけど、バアバは優しい、
咲良のことをいつも可愛がってくれる。
 
ある日、ママに聞いた、
『バアバのおうちにおとまりしたい』
ママは、『じゃあ、バアバに聞いてみるね』
バアバがうちに来た時、ママは聞いた。
咲良は、心配そうに横からバアバの顔をじーっと見つめていた。
 
バアバは、『いいよ、咲良ひとり?』
咲良は、『ウン』、ニコニコ顔に。
お兄ちゃんはまだ、ママと離れるのがちょっと不安で、黙っていた。
 
そしてその日がやってきた、
パパに連れられてバアバの家にやってきた。
咲良は、嬉しくてしようがない様子、お兄ちゃんより大人になったような。
 
そして、パパは、『明日、迎えに来るね』と言って、帰って行った。
 
咲良は、嬉しくてしようがない、
咲良はバアバにくっついて離れない、
バアバもまた、咲良が可愛くってしようがない、お菓子をあげたり、台所に連れて行ってつまみ食いをさせたり。
 
初めて兄弟のいない、そして大好きなバアバとずーっと一緒にいられる状況に、
嬉しくってしようがない。
バアバも、他の兄妹に気を使うことも無く、
ちょっと照れ屋で、恥ずかしがり屋の咲良を思いっきり抱きしめた。
 
そして、お休みの時間、バアバと二人でくっついて布団に入る。
初めてママたちと離れて眠る。
意外にスンナリと眠りについた、
幸せにくるまれて眠るように。
 
バアバは、その寝顔にメロメロ。
 
娘の子育ての時とは一味も、二味も違う、子育ての苦労を知り尽くして、
大変さも知り尽くした上での、良い場面だけを独り占めしたような気分、
 
可愛さだけの時間、
今日と明日だけの幸せ、
バアバがゆえの幸せ、
そういうものに浸れる、それも幸せ。
 
バアバはそっと呟く、
『咲良、アリガトウ、バアバもしあわせだよ』。
 
 
幸せ詩集 『愛おしき人々』 著:中村とうご より
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普段とはチョット違った、こんな幸せな時間も、有ってイイんです、
好きだけの時間を、両手を力一杯広げて、そして抱きしめましょう、
もっと、もっと幸せな気持ちが、時間が、空間が、広がります。
折角の二度と無い人生、仲良く楽しく幸せに生きましょう(H/P 書窓けやき通り)

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