ラムネ瓶の夏 |詩
滝のある場所を訪れた時
入口付近で ラムネの軍団が
湧き水に浸かっていました
味自体は
すごく好みでもないけれど
うす青緑色のガラス瓶や
すべらかな丸い飲み口
それに
ビー玉をシュポンと落とす
儀式はとても好き
それが落とされた瞬間
シュワシュワシュワー
気泡があふれかえり
瓶のふちから
八月の呼び声が
聴こえてくる
はしゃぎながら飲む
最初の一口は
冷たい太陽の
はじけるような快楽
閉じ込められた
この森の記憶も
ゆっくりと
身体の隅々まで
しみわたっていく
つややかに
光を反射し
行ったり来たり
瓶の中の小さな
透きとおった惑星ひとつ
カラカラと
カラカラコロンと
澄んだ音色が
深い木立の翳へと
ころがっていって
夏がただ
夏らしくあった
なつかしい私の夏よ