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[道順障害の資料室 #2]『今と未来がわかる 脳と心』(著:毛内 拡)

大人のための脳図鑑(フルカラー)

道順障害の資料室 #1 で紹介した『私が知っている脳の非凡なる現象』(著:西崎知之)の次に読んだのがこの本。『今と未来がわかる 脳と心』(著:毛内 拡)。脳の各部位と機能、神経細胞、伝達物質の役割、記憶の種類、病気や不具合の原因、脳科学のこれからなどが淡々とわかりやすく(かつ的確に)説明されていました。理科の時間にパラパラとめくった資料集のような感じで楽しい。全215ページぎっしりと重複することなく、脳の基礎知識がひととおり網羅されているように感じました。少なくともこの本を読んで以来、脳に関する論文が比較的楽に読めるようになりました。基礎知識って大切ですね。

版権の関係で画像を貼ることができないのが残念です。部位ごと・機能ごとに脳マップやイメージ図でカラフルにわかり易く説明されているので、イマジネーションを働かせながら基礎が身に付いた気がします。

医学に関してはド素人の絶望的初学者なので、マスターすべき用語もなじみがなくすぐに忘れてしまいます。何度も前のページに戻りつつ、ぐんぐん読み進めていきました。勉強はとりあえず前に進むことが重要。分からないところでいちいち止まらず、未来の自分がいつか理解してくれると期待して、次へ次へと進んでいくのがよいでしょう。

最後の章となる第8章「脳研究の歴史と未来」に来て、我々テック屋が介入できる余地が突如訪れました。オシロスコープや脳機能イメージング(MRIやPET)技術、AI、イーロン・マスク先輩のNeuralink CorporationのBMI(ブレインマシーンインターフェース)に関するトピックなどは「ずいぶん内容が薄いな。目次レベルじゃないか」と感じたほどでした。……自分の領域になると途端に強めに出るのは、感じ悪いのでやめた方が良いですよね。

しかしこのことから、脳の専門家からすると、この章以外の7章(全8章)の内容も同じくらい「ザックリ網羅」に感じるんだろうなとチラリと思ってしまい、脳の世界の入口にすら立っていないことに気付かされました。

ということで、まだまだインプットフェーズですが、この本では下記の4点を習得。
①1冊目よりさらに詳細に脳の各部位の機能を学んだ
②軸索とかミクログリアとかウェルニッケとか。用語と役割が繋がってきた

生きるための脳、人間として活動する「意識」を生み出す脳、その連携
④場所細胞(海馬)と格子細胞(嗅内皮質)が連携して自分の位置情報を取得している(P68「場所を認識する」)

脳に関する書籍はまだ2冊目なので、「楽しく学べた」以外の感想や疑問は特にありません。ややクリティカルな誤植が散見しましたが、「プライミング効果」(覚えたての言葉を使いたい)を発揮させて乗り越えました。道順障害や相貌失認の研究開発に繋がるヒントは見出すことができませんでした。何も知らない人として、素直に楽しく情報を吸収いたしました。

毛内先生ありがとう。

基礎力構築フェーズに必要なこと

私はこれまでテクノロジー領域の技術ライターとして、それなりにヤヤコシイ内容を取材し記事にしてきました。ブロックチェーンや仮想通貨を取り扱う企業に就職したのは2018年頃。ほとんど誰もブロックチェーンのことを理解していませんでした。ITの超巨大グローバルカンパニーですら必死になって理解しようとしていましたが、社会実装には至らずいまだもがいています。

自分の領域外の世界や、ブロックチェーンのような全く新しい概念を理解するには、それなりの時間と実体験が必要です。「1万時間の法則」と言われますが、だいたいそんなもんだろうなとつくづく思います。ただ、どのレベルを良しとするかは人に依って異なるので、もしかしたら500時間くらいで習得できてしまう人もいるかもしれません。そのあたりは「自分が納得できる成果」の程度に依ると思うので、自由に考えたら良いと思います。

いずれにしても、自分が知らない何かを始めるのは不安です。どこから始めればよいかさっぱり分からないし、自分にできるか、自分に解るか不安だし、誰も教えてくれないし、いちいち効率悪いし。全然前に進んでる気がしないし、一向に上達している気配がないので、だんだん嫌になってきます。それでもバカなりに淡々とやっていれば、少しずつ地味に分かってくる。分かってくると同時にできることが増えていることに気付く。で、ニッチな領域の場合はいつのまにか業界の先駆者になってたりするんです。最後は意外と展開早いです。

階段を一段ずつ上がっていく過程では、どれだけ登ってきたかを時々振り返ってみるのも良いかもしれません。なぜなら、自分はいつも「次のステップがある0地点」にいるわけだから「何年やっても気分はずっと初心者のままなわけです。

初心を忘れないのは大切なことですが、それではいつまでも芽が出ません。少しくらいは「これくらいやったんだから大丈夫」と自分が進んできた道を確認して、現在地を俯瞰してみるとヤル気が湧いてくるのかなと。

道順障害で道に迷いまくってる人(私)に「現在地を確認しろ」とか言われても説得力なさそうなので、今回はこのあたりで!では。

TEXT_みむら

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