見出し画像

[道順障害の資料室 #1]『私が知っている脳の非凡なる現象』(著:西崎知之)

脳に関する知識がなくてもスラスラと読める!

道順障害にしろ相貌失認にしろ、長年共に生きてきた自分の脳のことながら何も知らないものですね。脳の仕組みや機能に関する知識がほぼゼロの状態で開発がスタート。脳に関する基礎くらい習得しておこうかなと。

とはいえ踏み込むには勇気が必要な脳の世界。ハードルは高いですが、そこはあまり深く考えず目の前にある「自分にできること」をひとつひとつこなしていくしかありません。とりあえず近所の図書館に置いてある脳に関する書籍を全部読んでみるか……と最初に手に取った1冊がこの本でした。

西崎知之著
『私が知っている脳の非凡なる現象 ~最先端の医学者が到達した、脳科学の最前線』

著者の西崎知之さん(医師)をGoogleで検索してみたところ、本稿を投稿した2024年時点では「2024年度: 公益財団法人神戸国際医療交流財団, 開発企画部, 主任研究員」をされているようです。あと、少々ざわざわする記事も見つけました。詳しいことや正確な情報については不明なのでなんとも言えませんが、医療・研究の世界では発表や公開の際は、念には念を入れても足りないほどに注意しなければならないのかもしれません。この手のニュースはたびたび見聞きしますが、総じて医療の世界はトラブルが多い印象。この話はここまでにして、本の話に戻りましょう。

脳の機能や現象に関するアレヤコレヤが非常にわかり易く簡潔に説明されていました。アドレナリンとノルアドレナリンの違い、ドーパミン、アセチルコリン、セロトニン、グルタミン酸。神経伝達物質が脳内で多くなるとどうなるか/少なくなるとどうなるか。頭が良いとは具体的にどういうことか、頭の大きさや重さと比例するわけではなくシナプスの数と機能がどうやら大切っぽい、人間とマウスに共通する遺伝子は全体の99%(ヒトとマウスの遺伝子はほとんど同じ。合成されるたんぱく質の種類の数が異なる)、細胞死(ネクローシスとアポトーシス)と脳神経細胞が死ぬメカニズム、認知症とその他の脳の病気や障害、脳科学と先端医療、食べ物や運動と脳機能の関係などなど。親しみやすい図解&イラストとともに飽きることなく読み進められます。

▲……先生?じわじわくるポーズのゆるイラストがところどころに(笑)

巷で耳にする脳に関する噂話についても、医学的見解から「あり」「なし」を説明してくれているので説得力があります。後半部分はやや難解な専門用語や最先端の脳科学(といっても、この本が出版されたのは2017年/執筆当時は2012年?)について触れられていました。

脳の世界へのエントリー本として

道順障害と相貌失認の謎を解きたくて脳に関する書籍を読み漁っているわけですが、脳の機能や神経伝達物質等に関する基本的な知識や脳の病気など、読みものとしてさらっとインプットできました。この本では下記の3点を習得。

①脳の基本情報、超基礎知識
②脳の病気、障害が起こる背景(さらっと)
③科学(化学)的に考えるための下地形成

テックの世界でデジタルにまみれて生きてきた私ですが、同じ「サイエンス領域」でも医療と情報(IT)では作法がだいぶ異なるものだなと、つくづく感じています。そんな私が最初の一歩を踏み出すための背中を押してくれた本だったかなと。

これからも脳の領域や認知機能に関する書籍をコツコツと積み重ねて、脳内を「道順障害と相貌失認の研究」にデフォルト設定していこうと思います。

TEXT_みむら

X 始めました:@FraPro4649
メールはこちら:frapro4649@gmail.com

いいなと思ったら応援しよう!