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令和六年 九月

銅鐸来たる

下鴨神社に獅子狛奉納をした返礼品として
立派な御札や帛紗とともに、ある日、銅鐸が届いた。

人生で銅鐸を手にする日が来るなんて
思ってもみなかった…。

振ってみると
キン!と高音のうつくしい音がする。
頭のてっぺんに共鳴するような音で、聴き覚えがある。

夢で土砂降りの雨の中、川端二条あたりで
キン!という音が鳴った記憶が鮮明にある。

なぜ二条なのか、この高音は何の音なのか
さっぱり分からなかった。

銅鐸について調べてみたが
遠い昔、五穀豊穣のための祭祀を行うにあたり
銅鐸を鳴らしていた。

この時は、それくらいしか分からなかった。

印霊社と母の指輪

観月祭で丁度下鴨神社を訪れていた。

バイカル!!
子どもの頃、クッキーを買ってもらうのがうれしかった。


観月祭は、猛暑以外は大変すばらしかった🌕

しかしながら、参拝していて
ひときわ気になったのが、印霊社。

これまで、幾度となく参拝しているので
印霊社があること自体は知っていたけれど
この日、本殿でお参りした後、何故かふと印霊社に目が止まった。

下鴨神社には、印章祈願祭というものがある。
古印章(役目を終えた古い印象)を本殿にてご祈祷して
埋納式を執り行ってくださる。

ただ、そもそも、何故、ここに印鑑の神さまがいらっしゃるのか?

神社内をご案内して下さった方に尋ねてみたが
古くは、宮廷に関わる印を押すようなことも多く
ここにお祀りされているのではないか。はて何ででしょうねぇ。というようなお話で
それ自体はそうか。と思ったものの、何故か腑に落ちなかった。

印鑑のことがずっと気になったまま、京を後にした。

その後、何故か書類に押されてた印鑑で
とある印鑑屋さんの印章だけが、やたらと目につくようになった。

今まで一切、気にしたことはなかったのに…。

その印鑑屋さんは、特徴のある独特な書体で、印鑑をみるとその人の祖先がみえる。という話で有名だった。

印鑑は大切なものとは思っていて、きちんとしたものをつくりたいタイプだったけれど、開運や占い的なものには全く興味がなかったので、へー。というくらいだった。

何故この印章が気になるんだろう。
むしろ、下鴨神社で気になったのだから、新しく印鑑をつくるなら下鴨神社のご祈祷印がいいな。
とか、何となく調べていたが

ある日、そもそも私の実印ってどんな印影だったっけ?
と思い、いつも印鑑をしまっている場所をひらいた。

ナイ。
いつもの場所に、何故か印鑑がない!

え。なんで?
いつも同じ場所に置いてあるのに?
頭が真っ白になった。

さすがに盗難の心配はないとは思うが
とにかくモヤモヤする。

そこから部屋中を延々と引っ掻き回し探し回った。
どこをみても見つからず、あり得ない場所までひっくり返す。

これは、印鑑あたらしく作れってこと?
それにしたって、ないままはちょっと…。

と思ったら、もううん十年存在すら忘れていた
母の印鑑と指輪がでてきた。

印鑑は、象牙でおばあちゃんから代々受け継いだものを
使っているときいていた。
角が少し欠けてしまい、印鑑登録できないが
掘り直せば使えるから。と渡されたものだった。
もうすっかり忘れていた。

指輪は、かたみの指輪だ。
物に執着がなさすぎて、間違えてうっかり捨ててしまったのかと思っていた…。
きちんと取ってあったようだ。

特段に高価なものではないが
母が気に入ってずっと身につけていたもので
謎の玉が無数に集合したようなモチーフで
いくつもの穴が空いている。
不思議なヴェネツィアの指輪だった。

印霊社の件がなければさっぱり忘れていたものが
突然目の前にあらわれた。

翌朝。
先週、印鑑をなくした。という話を会社でしていたので、「私の印鑑は見つからないが、代わりに母の印鑑と指輪がでてきた。この印鑑を彫り直さねばならないのだと思う。」と口にした。

印鑑は、祖先や自分の依代なのだろう。
祖霊が宿るのだ。
だから、自分の身代わりとなり守ってくれる。
そのため、使用しなくなった印鑑は粗末に捨てて良いわけはなく、丁重に感謝し葬送する必要があるのだろう。

その5分後、ふと会社の自分のデスクから
散々探した私の印鑑が現れた!!

会社のデスクも最初にみたはずが、その時は気付けなかった。

そもそも、そこで自分の印鑑が見つかってしまったら、母の印鑑も指輪も当分見つかることはなかっただろう。

気づいてしまったら気づく前には戻れない。と、よく言うけれど、すっかり母の印鑑を彫り直す。という選択肢以外ない状態になってしまった。

伊平屋島行の決意

久高島に、11月に行くと決めてフライトも確保してあったけれど、久高に行く前にもうひとつ島に行くみたいですよ。と以前に鍼をうたれながら言われていた。

が、それがどこなのかさっぱり不明だったのだけど。

唐突に、何故かどうしても伊平屋島のクマヤ洞窟に行かねばならない気持ちになっていた。

伊平屋島と伊是名島は沖縄本島の北部に位置する島。
第一尚氏王統、第二尚氏王統、初代国王それぞれの琉球国王生誕の地と言われている。

龍の家系を遡ると、第二尚氏、尚円王🟰金丸に行き当たるが、そもそもそれ以前に琉球王朝が立つ遥か前より
古くから伊平屋(昔は伊是名もひとつの島であったか、ひとつの統治だったのだろう)で祀りごとが行われており、その神官の血筋が関係しているようだった。

お茶を三杯淹れなければ。と何故か確信した風習も伊平屋島のものだ。

第一尚氏最後の王は、久高島への外出中
クーデターにあい、首里へ戻れなくなり海へ身投げしたとあるが、喜界島へ逃げ伸び生涯を終えたという説もある。
ひっそりとした場所に立派な墓があるが、昔はこういった説はあまたあり、今となっては何が真実かは分からない。

鍼灸を受けながらクマヤ洞窟の話をすると、印鑑と指輪を持ってその洞窟へ行く必要があるとのことだった。

継承の誓いと事前のご報告が必要なのだという。

大事なことをする時は、勝手に行動するのではなく
まずは、宣言やお伺いをたてる必要がある。

指輪と印鑑を持って洞窟に行くことだけが決まった。
(RPGみたい…🫠)
日程は、久高の前に。10月と決めた。

天の岩戸

9月にも伊勢への旅程アリ。
斎宮から、竹神社へ。能、「絵馬」を思い出す。
風鈴🎐の音が凛としてうつくしい。

竹神社

斎宮を訪れた後は、天の岩戸が気になっていたのだけど
明星という駅がどうしても気になり、ぴょんと途中下車してしまった。

天の岩戸は、バスで行くにはかなり本数が限られる。

その上、斎宮でも延々と歩いていて、暑さのあまりへとへとだったので、明星で気になる神社に寄った後
伊勢市駅でゆっくり鰻でも食べよう〜。と考え
明星神社に。

こちらも、心地よい風が吹き
ずっとうつくしい風鈴🎐の音。
そして、差し込む光が本当にキラッキラで目が眩むくらい眩しかった。

地元の氏子さんたちが、心を込めてお祀りされているのが伝わるすばらしい神社だった。

しばし、ここに。

明星神社

あまりに心地よく
しばらくそこにいたけれど、鰻を食べるならそろそろ急がなくては。と社を後にした。

が…。伊勢市駅に着く前に営業時間をみると
タッチの差でラストオーダーが終わってしまっていた。

🫠落胆…。
もうすっかり、鰻重の気分。
暑さでへとへと、ひと休みしたい。
丁度駅についたら、いつものバス停にすーーーっとバスが入ってきた。

見覚えのある行き先…。

え。
これは、1日数本のはずの天の岩戸へ行くバスでは…?

目の前にキッと停車し、扉が開いた。

え。
これ、乗れってことかな…。🫠

恐る恐る、車掌さんに
これ天の岩戸へ行きますか?と尋ねると
ハイ。行きますよ〜。とのこと。

乗りました…。

もうよくわからないけど
乗るしかないよね…。みたいな気持ちになり
天の岩戸へ🙃

着いたはいいが、兎に角気持ち悪い…。
何かが溜まっている感じ…。
おええぇ。となりながら、ひたすら歩く。
どうせ帰りのバスも当分来ない。

一ノ鳥居、まだ気持ち悪い…。

まだまだ歩いてニノ鳥居を過ぎると、急に空気が変わった!👀

水が勢いよく流れている。
足を浸し、祓う。

水は冷たくて澄んでいて、生き返るようだった。
龍穴まで歩いた。あの世とこの世、紙一重な感じの場所。
時刻は15時、戻る時間を考えると日が落ちてきてしまう。

猿田彦さん側のルートもあったが
ここで日暮れは危ない…。
との思いで、足早に下山。

滝まで戻ると、まばゆい光が差していた。
黄泉…。
滝でしばし水と光を浴びてから早々に立ち去った。

一ノ鳥居
狛犬さん
お邪魔します。
ニノ鳥居
へとへと直会

朔日の夢

翌日から、天照大神のことをずっと考えていた。
いつも通り夜明けの神宮に参るため、夜明け前から起床。

この頃みた夢がある。

新月の夜

辺りは暗い。

円柱形の石でできた水溜に
黄金に光輝く水が波打っている。

その後ろに、高貴な赤い装束を身に纏い
クバ笠を被った女性が立ち
じーっとこちらをみている。

唐崎神社と日吉大社

話は戻り、京都を訪れていた時
よりたい場所があった。

琵琶湖西の唐崎神社と日吉大社だ。
唐崎神社は、日吉大社の摂社。

比叡を望む、京都に生まれ育ったが
近江へ繋がる逆側は行ったことがなかった。

白髭さんにもご挨拶したいが
公共交通機関では、限度があるので欲張らず。

唐崎へは京都からすぐ。
御祭神は、女別当命(わけすきひめのみこと)

Wikipediaをみると、平安時代には「七瀬の祓」の一所として京の人々や公家の姫等がお祓いを受けにやってきている。とのこと。

芭蕉の句もある。

唐崎の 松は花より 朧にて
— 松尾芭蕉

相変わらず夜明け前に京をでて
唐崎に向かう。

電車の中から昇る朝日がみえた。
息をのむ光。

霊松は、御高齢のため新しい松が植えられていた。

祖母の家系を遡ると代々、名前に松の字がついていたこともあって、この地の霊松をみてみたくて唐崎へきた。

溢れる光の中、おじさまが一人、ラジオ体操をされていた。眩しくて人に見えなかった…。
なんて贅沢な時間💭

日が少しずつ昇る。

この後の予定の日吉大社までは、かなり交通の便が悪く
バスで引き返してまた戻るヘアピンのようなルートか
駅から延々歩く電車プラン。

あまりにも暑いので、少し先の時間のバスに乗ることにした。

参拝は心ゆくまでしたいので、しばし唐崎でゆっくりする。

そこに祈りが身体に染みついた、ご近所のおばあちゃんがやってきて、声をかけて下さった。

唐崎のことをたくさん教えて下さった。
移住者もいらっしゃるらしい。

向かいにみえるのが近江富士だとのこと。
確かに三角の山がみえる。

すばらしい場所で、ここで毎朝お参りができるなんて。
と言うと、夕焼けもうつくしいよと教えて下さる。

そうこうしている間にバスの時間が近づき
おばあちゃんは自宅へ帰る時間。

これから日吉大社に行くと行ったら
おすすめのお寺を紹介して下さり
次に会ったら私の家で一緒にお茶を飲もう☺️と誘って下さった。

是非是非と話しながら
一緒に神社をでて数歩。

すーっと一台の車が前に止まった。
窓がひらく。
おばあちゃんと親しいご近所のおじさま。

ご挨拶をされていたし私はバス停の場所を探さねばならなかったので、それではまた☺️とお辞儀をしたら
おばあちゃんが、待って待って。と仰る。

このコがこれから日吉大社に行くっていうてるから送ってあげて。大事なコやからな。安全運転でな。
とおじさまに頼んで下さり、おじさまがニコニコとどうぞどうぞ。と仰る。

よぅ知ってる人やから大丈夫よ☺️と、またも渡りに舟。

バスに乗るにしても、ひどく大回りで降りてからも炎天下まだまだ歩く。

おふたりに感謝申し上げて
素直に送っていただくことに。

おじさまが、わかってたら髭を剃ってきたのになぁ。
とチャーミング。

京都で神社仏閣の歴史を学ぶ講座に通っていらっしゃり
日吉大社にもよく行かれるそう。

お話しながら、あっという間に鳥居の前につき
御礼を申し上げて手をブンブン振ってお別れ。

日吉大社に到着。

そして、目の前に険しく聳え立つは
ドドン。素戔嗚さんのお社。荘厳!

まずはご挨拶をば。

朝、早い時間帯だったので、殆ど人がいない中
参拝しながら、西本宮へ向かった。
御祭神は、大己貴神(大物主さん)

すると、到着とともに太鼓が鳴った。
宮司さん神職さんが集まり日供祭が始まる。
すばらしい祝詞で、ちょっと感動してしまった。

最初から最後まで、奉拝させていただいたので
御礼をお伝えすると、宮司さんが一緒にお祓いもできてよかったです☺️こんなに朝早くどうしてここへ?と尋ねられた。

家系上、大物主さまに縁があり、近江を訪れたこと。
唐崎神社で、親切な地元の方に出会い、偶然送っていただいたこと。をお話したところ、この地の伝承の話に。

白蛇の姿で亀の背に乗り、鹿に守られながら琵琶湖を渡って来たという伝承がある。

妙得龍王神社を経由されたのかもしれないですね☺️
という話を伺いながら、奥宮にも是非。と
勧めて下さった。

そのまま奥宮へ。

かなりの暑さだったが、大山咋神のお祀りされている場所の霊水がすばらしく、生き返った。

たんぽぽの綿毛のようなものが、この日はどこへ行ってもずっと飛んでいて不思議なふわふわした気持ち。
奥宮には黒アゲハが舞っていた。

その後、日吉大社を後にしたのち、唐崎でおばあちゃんがおすすめされた寺の前を通りかかった。

暑いしお腹もぺこぺこなので、もうお昼にしよう!と思っていた。が…せっかく前を通ったので少しだけ。
と立ち寄ってみた。

整然とした庭で、ほー👀と佇んでいた。
すると、作務衣の女性がこちらをみて
どうしてここへ?と仰る。

唐崎できかれて
日吉大社できかれて
きょう三度目…🙃

かくかくしかじか
唐崎でおばあちゃんに会いまして以下略。

これから阿闍梨さまの護摩がはじまるから。
誰でも受けられるから。急いであちらへ。
話は後。

と仰る。

え。
⁇🫠

訳が分からぬまま、護摩法要に。
そして、先祖供養の法要にも参加できる。と仰っていたので、大物主さんのご縁に感謝すべく参加してみた。

すると…。
目の前には大黒天さまの文字。

アレ…。
大黒天さまって大物主(大国主)さんでは?🫠

ひとしきりお経を読んで
供物のお下がりをいただき解散となった。

一連の流れにぽかーんとしたまま
ポカリスエットを一缶飲んでから、蕎麦屋に駆け込んだ。

不可思議な旅だった。

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