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令和六年 六月

下鴨神社 氷室開き神事

平安神宮薪能のため出かけたものの
それ自体は、良い意味で地元民の夏祭りの延長のような興行🏮といった感じで
その前に立ち寄った下鴨神社での氷室開き神事が
あまりにも印象的だった。

境内でその日神事が行われると知り
奉拝したいが可能でしょうか?と伺うと…

参加自体は、ご招待の方のみとなってしまうのですが
外からご覧いただくことは可能です☺️
とのことで、時間を教えて下さった。

時間に向かうが
外からというのが具体的に何処からなのか分からず
伺うと、入口の所に巫女さんがいらして
当日の受付と、入会者募集の札が立っていた。

あのー。と門の前で、巫女さんに詳細を伺う。

奉拝したいと社務所で申し出ると、時間にこちらに伺うよう言われたのですが、どのようにすれば良いですか?
参列は、招待の方のみと仰っていたので、外から奉拝のみで構わないのですが。

とお尋ねすると

今会員も募集しているので、こちらで入会いただけたら参列も可能ですよ☺️とのこと。

え。入ります!
二つ返事で入会。直会用の菓子を受取り中へ。

氷室の前は厳かで、ちょっとした椅子が準備されているだけだった。

下鴨神社こと、正式名 賀茂御祖神社の新木宮司より
ご挨拶があり、神事がはじまる。

快晴に恵まれ、木々の合間から差し込む光はうつくしく
幻のようだった。京都の夏の辛さは嫌という程知っている。盆地が故の高温多湿。今でこそ、冷蔵庫やエアコンがあるが、昔はさぞ大変だったのだろう。

加賀にも氷室はあるが、雪が多い地域とは訳が違う。
たいして降り積もらぬ雪を、大切に蓄え、神さまや宮中に献上する食物を一年守り抜くと考えると、途方もない苦労に気が遠くなる思いだった。

そうして開いた氷を、まずは神さま、帝に召し上がっていただくと共に、宮中で働くものにまで分け与えて下さったそうである。

その一欠片の氷の尊さは計り知れない。

じんわりと汗が滲む暑さの中、神事が終わり
中を見学させて下さった。

民衆は氷を口にはできないが
氷のような見た目の涼よかな菓子を作り、氷室開きを寿いだ。ということのようだ。

©️下鴨神社 新木宮司のコラムより
©️下鴨神社 新木宮司のコラムより

神事が終わった後、直会として
さるやさんで、かき氷をいただいた。

土器に盛られた氷は格別で
この日たべた氷を私は生涯忘れないだろうな。
と思いながら、噛み締めた。

ギッシリ敷き詰められた氷

貴船神社と鞍馬寺

帰京すると、時間が許せば
必ず下鴨神社と貴船神社に参る。
特に新緑の貴船は大好きだ。

観光で来られる方は、貴船にきたら鞍馬も。
というのが通常だろうし
お参りの観点から言っても、火と水は一体故に
貴船だけ行って、鞍馬に寄らぬのは片参りなのだろうけれど、貴船が好きで貴船には行くものの
鞍馬に立ち寄ることはなかった。

が…この日、いつものように貴船の帰り道
貴船側に出る、鞍馬山の参道の前を通りかかり

先日近江で太郎坊さんにご挨拶したのに
次男を素通りはあるまい…。
という思いで、足を踏み入れてしまった。

魔王殿まで10分とGoogleマップが言うのを間に受けて
頂上の本殿までは無理だけど、魔王殿まで行って戻ってくるか…。と及腰で入山料を払うと、受付のおじさまが
お気をつけて〜。と見送って下さった。

すぐに帰ってくるのもどうなんだろう。
と思ったが、兎に角登りはじめた。

そもそも山に登るような格好でもきていないし
心の準備もない。

しかも、すぐに着くと思っていた魔王殿は
あるけどあるけど、辿りつかない…。

結局ついた頃には、かなり登った感があり
今からただ来た道を戻るのも、げんなりしたので
もういいか。いっそのこと登ってしまおう。
という気持ちになり本殿まで。

本堂地下は謎めいていた。
お参りをして下山。

久しぶりの鞍馬だった。小学校以来かも…。

伊勢神宮 六月月次祭

神宮では、6月に大きなお祭りがあるので
中旬、伊勢へ向かった。
二見から入り、自転車を借りて、神宮の堅塩をつくっている御塩殿神社、塩田の方まで行った。

そして、いざ月次祭。内宮。
この張り詰めた空気が大好きだ。

この日は、御卜。
月次祭の前に、神さまにお伺いを立てる占いの儀が行われる。
降りしきる雨の夕方で、殆ど人がいなかった。

御正宮にて奉拝する。
うそ笛と言われる、ヒュッという独特の音と
琴板をはじく木のコン。という音が
大粒の雨音に混じり響く。

静寂そのものだ。

普段は、お参りの人の足音や話し声で
わりとガヤガヤしているのだけど
この日ばかりは、殆ど誰も居なかった。

最初から最後まで奉拝し
衛士さんと2人きりとなり
奉拝前に、場所を伺ったりしたので
御礼をお伝えがてら、少しお話する機会があった。

初穂引についてなど、色々なことを教えて下さって
遠方からだと、地域の人しか情報の入手や参加が難しい行事もあるので、誰かお知り合いができたりして
色々と参加ができる機会があるといいですね☺️
と仰って下さり。

地域の方が一番身近に日々お祀りされているので
その方たちが最優先と思っていること。
ただ、知る機会としてそういったご縁があると嬉しいですよね☺️というお話をして、さよならした。

自句
夕立のなか耳澄ます御卜(みうら)の音 七生


日が変わり、内宮で次の儀の奉拝をしていた所
昨日、御卜でお話した衛士さんに偶然にまた再会した。

神宮は広いので、何度も顔を合わせる機会はあまりないと思っていたが、昨日の今日だったので、衛士さんの方から驚いたようにあ!と声がでた。

さすがに、私から名乗り、お互いにご挨拶をした。
警備の途中でいらしたので、驚きましたね笑、と
二言三言言葉を交わし、そのまま失礼した。

内宮での神事の奉拝ではまた不思議な出会いがあった。

二人でいらしていた奉拝の方が、その位置だと
後から、別の場所に移動させられる気がするから
こっち側の方がいいかも。と教えて下さったのだ。

それがキッカケで、奉拝が終わった後
一緒にランチに行こうということになった。

常にひとり参拝派で人と回ることはあまりないのだけど
そのおふたりの話があまりに楽しく、チャーミングで
結局、3人で食事をしてお茶をして夕暮になってしまった。

おふたりは、外宮の神事奉拝で
2人だけ時間を間違えていて、そこから知り合ったそうだ。

外宮で知り合った2人と、内宮で知り合う不思議。
神宮で清掃奉仕をされているということで、誘って下さった。

場所が場所だけに、何か問題がありそうな人は誘えない。
誰でもという訳にはいかないので、まだお会いして初めてなのに信頼して下さったのだな。と嬉しかった。

昨日、衛士さんとお話していた
地域の方に知り合いができたらいいですね。
という話が正にその通りとなった。

結果的には、日にちに縛りがあり
業務上の繁忙期と重なっている関係で
余程カレンダーが合わなければ、参加は難しいかもしれない。という結論になってしまった。

折角誘って下さったのに
申し訳ないという思いだったが、いつか行けるようになるといいね☺️と仰って下さり
また伊勢に来る時、会いましょうということに。

翌日は、実は豊受大御神の故郷、丹後の籠神社に行きたいのだ。と話をしたら、旅の無事を祈って下さった。

天橋立 籠神社 真名井神社

その日は、とんでもない暴風雨だった。
宿のフロントの方に、朝食をスキップして早朝でると
お伝えしていたものの、朝一、電車が動く補償がなく
チェックアウトの時間までは部屋を確保しておいていただけるとのことだったので、もし駄目なら帰ってきて風呂にでも入れば午後には何とかなるだろう。

と思いながら早朝でた。

何故かその日にどうしても行きたかった。

先日、国立能楽堂で野村万之丞さんをみた時
何故か天女と藤の花がみえた。
寝ぼけただけかもしれないが、唐突に丹後に行きたい!
と思った。

行くと決めて暴風雨の中、レインコートをコンビニで買い、始発の近鉄を乗り継ぎ京都駅へ。

電車は運行していた。ほ。

かなりタイトな時間で3回は乗り継ぐ。
全く乗り継ぎ慣れしていないので
駅員さんにききながら何とか京都駅へつき
特急はしだてに乗った。

ここまできたら安心😮‍💨
外は豪雨暴風雨だが、ほっとしたら眠くなってきて
うたた寝をした。

すると、夢に鋭い眼光が現れた。
ギョロリとした目。
こちらをみている。
辺りは暗く目しか見えない。
少しずつ顔全体が露わになり、鷲鼻があらわれた。
シワシワのお爺さんだ。

ハッっと目が覚めた。
だ…誰…。
鷲鼻のお爺さんの神さまを検索したら
猿田彦神がでてきた。

え…。と思いながら困惑していると
真っ暗暴風雨だった車内に光が差し込んできた。

天橋立に到着する頃には
からりと嘘のように雨があがり
びしょびしょの洗われた地面だけが残っていた。
籠神社へ行くために船に乗る。
スムーズについた。

澤誌に掲載いただいた自句

黒雨(くろさめ)に眼のひかりさす猿田彦 七生

着いて驚いたのは、授与所の御札
夢でみたままの猿田彦神の顔が、そのまま御札になっていた。

腰が抜けそうだった。

©️籠神社 猿田彦神

真名井神社にも参拝する。
ここは天女の伝説があり、藤の花の絵馬がたくさん飾られていた。

気持ちのよい場所で
もっとゆっくりしたいなぁ。
でも帰りの時間を逆算するとあまり長居できないなぁ。
とにかく新幹線の時間みるか。とサイトを開くと

止まっていた。

へ?さっきの豪雨の影響かな。
何だ。ゆっくりする以外選択肢ないな。
と、いう結論に。

弾丸できた割には、思いの外、たっぷり堪能できた。
大変ありがたかった🌞

盛りだくさんの6月、まだあるが
書ききれぬので後日。

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