選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり
"選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり"
かつて太宰治はフランスの詩人ヴェルレーヌのこの言葉を自著の「葉」の冒頭で引用し、後に前田日明が第二次UWF旗揚げ時に引用したことで世に広まった
前田 日明(まえだ あきら、1959年1月24日 - )
後のPRIDEブームなど日本の総合格闘技の源流を作った男
第一次UWF、第二次UWF、RINGSなど様々な団体を立ち上げ、晩年に設立したTHE OUTSIDERからは、朝倉兄弟といった今なお格闘技の第一線で活躍する選手を輩出している
前田は第二次UWFを設立した際の旗揚げ興行で、冒頭の言葉を自身の決意表明として語った
この言葉には、"団体の所属選手やスタッフ、社員などを自分たちの力で食べさせてあげることが本当にできるんだろうか?"という不安と、"自分たちはそれだけの準備やトレーニングを行ってきた"という強い自負が含まれていた
前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ
人は、自分が真剣に打ち込んできた物事であればあるほど、自信と不安がともに拡大していくものである
そして、私が一番時間を費やしているものはおそらく三麻だ
今も時間を見つけては日夜天鳳を打っている
仕事中にもサーバの再起動などを積極的に行い、隙間時間を捻出しては打ち込んでいる
リモート会議中に内容を聞きながら対局していると、突如PMから技術相談を受け、回答中にロンの声が響き渡り危なかったこともある
、、私の三麻への費やし方はそういうレベルだという話だ
そうは言っても、麻雀といえば世間一般では四麻で、三麻はいわば亜流、はぐれ者的立ち位置だ
そんな異端のゲームでも上には上がいる
三鳳民
これだけ対局をこなしている自分の打数が端数に思えるほどの打数をこなしている三鳳村の住人たちは、私にはもはやギャンブルに脳を焼かれた確率計算の変態どもに思える
彼らに連日ボコボコにされ、名誉ある記録もいただいた
この時はホントに、"あたしにまっかせなさーい!"と声高に叫んでいる画像の広告の女の子に代打ちしてもらった方がマシなのではないかとさえ思った
三麻はアガリが重要だ
高打点が飛び交うので他家のツモによるダメージが大きいのだ
おかしい、、、
私の知っている三麻はこんなにアガれないゲームではない
あまりに勝てない、、
勝てなさ過ぎてラップなどやったこともない私が即興ラップを披露してしまうほど勝てない
ここまで来ると否が応にもある疑念を抱くようになる
不安と言い換えてもいいだろう
"もしかして俺弱くね??三麻の基本すら分かってないんじゃないのか?"
私は中3で麻雀を覚えた
高校では下宿している友達の家で夜な夜な麻雀をしていた
遅刻は当たり前で、酷いときは朝まで打って2限目ぐらいに授業に向かうという腐れ大学生のような生活をしていた
修学旅行にも牌とマットをこっそり持ち込み麻雀をしていた
教師が見回りに来るタイミングだけ布団で牌とマットを隠すのだ
ついさっき牌とマットを隠したことを忘れた鳥頭の友達が、見回り後にベッドにダイブし麻雀マットを破壊したのも今となってはいい記憶だ
、、、そいつはマットの持ち主の下宿先を出禁になった
大学時代は毎週友人と三麻セットしていた
その頃になると、もうほとんど負けて帰った記憶なんてない
天鳳も六段で苦戦を強いられたものの突破することができた
三麻に関してはかなり強い自信があった
どんな強者と打っても勝ったり負けたりの五分の勝負は出来るという自負があった
"俺が弱いはずがない、今はたまたま下振れを引いてるだけさ"
そもそもの話だが、麻雀は1000や2000半荘打っても成績はブレる
私の三鳳での400にも満たない対局数で実力なんか図れると考える方がおかしいのだ
そんな言い訳をしながら、また今日も予約を押す
そしてどれだけ負けが込んでも、何度チャオったとしても、私の疑念は強まりはすれど、確信に変わることは未来永劫ないだろう
だが、それでも、自分は鳳凰卓までたどり着けた
八段タッチにも成功した
そう言えば誰かが言っていた
八段はアクティブユーザーの上位0.5%なんだと
"選ばれし者の恍惚と不安"
二つを胸に抱きながら、今日も予約を押していきたい