CREATURES” 出演アーティスト紹介 (6):Thee BlackDoor Blues
本イベント3回目の登場、常連である。メキシコ人のジョセリン(vo/g)直音(ds/g)の2人組である。日本有数のハードエッジなロックバンドである。もっと知られていい。ロックの精神そのものが、このバンドに凝縮されているからである。
ロックの精神、それは、「美しき異物」である。
彼らもまた、Little Radiosと同じく、アメリカンミュージックの文法を知っているグループである。その上で彼らは、音楽のダイナミズムに特化して、文法を崩しに崩した。その結果、剥き出しの虚無感、無力感が現れたというわけである。
彼らのライブを見る時、俺はいつも「人生に意味はあるのだろうか」と何か愕然とする。苛立って、落ち着かなくなって、ヒステリックになって。そんな思いを寸でのところで抑えて、凝視するしかなくなる。いや、希望はあるのだ。彼らの音楽は基本的に希望の歌である。だが、それにたどり着く前に混沌があることを、彼らは示唆する。四つ五つのことをいっぺんにこなそうとした時に、「俺はどうすればいいんだぁ」となるような感じだ。苛立ちの原因である。
J -Rockはその苛立つ聴衆に代わって、回答を提示する。誰にでも言えるような陳腐な回答である。Thee BlackDoor Bluesは、それを拒否した。彼らは混沌を混沌のまま、目の前に置くだけだ。俺は「彼らの音楽には希望がある」と言ったが、その希望は、俺が彼らの音楽の中に、俺自ら掴みに行った希望である。彼らは聴衆の積極性を要請している。
綿菓子のようなJ -Rockを聴く者には、これは面食らうだろう。Thee BlackDoor Bluesと客の間に虚無な空間ができたのを、俺は何回か見ている。無関心では全くない。だが、彼らにどうアプローチしていいかわからず、ただ「かっこいい」としか言えない聴衆。失礼な言い方だが、これは聴衆が惰弱だからである。巷間Twitterでよく見る、「横暴な自民党」像は、主体性のないTwitter民が全く主体的でないのと、それは通底している。
当Made In A Garageはこういう状況を変えるためにある。即ち、聴衆の主体性の喚起である。我々は、Thee BlackDoor Bluesが売れる世の中を作らねばならない。彼らは良質のロックを奏でている。観て、聴いて、感じて、彼らにあなたの希望を言ってあげてほしい。
とは言っても、オフステージの彼らは、極めて明るい、いいヤツらである。それがあんな風に、おどろおどろしく豹変する。文楽の変化(へんげ)と言ってもいい。面白いではないか。まして、彼らが森の中に潜んでいるのを想像するだけでも、里山は魅力的であると言える。
8/17(木曜日)
於越谷イージーゴーイングス
(お問い合わせは、各アーティストTwitterDMもしくは easygoings.net まで)
18:00会場18:30開演
前売り2500円/当日3000円(
共に1ドリンク)
出演
Thee BlackDoor Blues
Tha HEALs
Very Ape
The BBB
Little Radios
→
ニシモトヒサオ(絵)