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デス・レター(Garage第5弾開催のご挨拶)


第5弾をやる。諸兄のご来場をお待ちするものである。

涅槃と概念。
Fake ID。
Hello11D3。
ジョズエ。

ご覧の通り今回は「おしゃれ」な面々が集まった。しかしこの言葉、堂々と口に出しにくい。おしゃれというと巷間では、「おシャンティ」だの「小洒落てる」だの、褒める半分、揶揄半分の微妙な使われ方である。とりわけライブハウスでは、後者の毒気がより強いとさえ感じる。だが、俺に限っては、前者100%だ。出演アーティストたちは全員、褒め言葉としてのおしゃれそのものである。

俺にとっておしゃれとは何か。それは、ドリース・ヴァン・ノッテンとカール・ラガーフェルドである。

ドリース・ヴァン・ノッテン。耳馴染み薄い方も多いであろう。ベルギー出身のファッションデザイナーである。ショーは毎度、美しいの一言だ。予想外の配色、柄の組み合わせ、ズドンと落ちるシルエット、ショーのロケーション、音楽…何から何まで美しい。だが、最後に出てくる彼自身のファッションは、シンプルそのものである。黒いクルーネックセーター、チノパンツ、スニーカー。これだけだ。だが。その全てが、彼の体型でないと合わないように仕立てられている。彼自身をぴったりカッコよく見せるための普通の服。彼は、職人=アルチザンでもあるのだ。

出演者を、俺は彼に重ねて見ている。彼らにしかできない、というより、彼らでないと合わない、そんな音楽=アルチザンを、諸兄は見ることになる。

カール・ラガーフェルド。言わずと知れたファッション界の巨星であった。惜しくも亡くなってしまったが、彼もまた「自分はデザイナーではない。服屋である。最後のデザインは着る人がする」と言って憚らなかった。しかし俺は、彼のもうひとつの態度を、出演者たちに重ねている。それは、ニヒリズムに裏打ちされた、現在の激しい肯定である。
「私は過去を忘れるために生きている」
「シャネルを敬愛する。しかしそれは私ではない」
このニヒリズム。この追い詰められたような現在の肯定。これを出演者たちは、大なり小なり、持っている。

涅槃と概念。Fake ID。Hello11D3。ジョズエ。そして拙バンド、→。
エレガントにも、ワイルドにも、ロマンティックにも狂気にも見えることだろう。それは、美しい。それが、おしゃれというものだ。アルチザンと今への希求があれば、俺たちは、ノッテンにも、ラガーフェルドにも太刀打ちできると思う。

おしゃれをバカにしてはいけない。ファッションをバカにしてはいけない。それと同じくらい、ライブハウスを、クチュール・コレクションの対極に置いてはいけない。

アーティスト個々の紹介は、追って書く。まずはご挨拶。そして、

Welcome to our Zoophoria.





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