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CORNER SHOP SESSIONS出演アーティスト紹介(2):The Memphis Bell


お馴染み、ギターの古賀侑佑を中心とする、3人組のブルースバンドである。
お馴染みでない方には、ちょっと詳しい紹介をしておこう。ゴリゴリのブルースバンドである。としか形容できないくらい、純粋なブルースをきかせてくれる。それこそメンフィス、シカゴあたりのバーで、バーボンをちびちびやりながら聞きたいような、そんなバンドである(友人のアメリカ人に聞いたが、彼らのような生粋のブルースバンドは、アメリカ国内でももはやいなくなったようだ。それが逆に、メンフィスベルのエッジを立たせていると言ってよい)

最近メンバーが変わって、オリジナルメンバーは古賀ひとりになってしまった。それでも俺は、全く心配していない。新しいメンバーが入って、新たな展開を見せようとも、旧メンバーのいた時と変わらぬ音を出そうとも、どちらも絶対に良い音楽になる。一見、古式ゆかしいリズムアンドブルースでありながら、彼らに今が感じられるのは、単にメンバーの演奏が卓越しているからではない。

そうである理由は、古賀の周到な準備があるからだ。アメリカのバーバンドが、観光客相手のチャラいものに映るのは、彼らがジャムの感覚で演奏するからだ。それは言ってしまえば「楽しさ追求型」であり、お客さんを楽しませるエンタテインメント性、ショーマンシップに落とし込まれる。古賀はそういったものをあくまで嫌い続けた。アレンジに細心の注意を払い、無駄な音を一切排除し、スネアの音程にまでかかわった結果の、あのブルースなのである。

もちろん、魂が置き去りになっているということはない。彼の愛するB.B.Kingがいつも心に留めている、貧しさ、寂しさ、女性に対する慈愛を、メンフィスベルは、昭和のにおいが残る街の一組の男女に置き換えた。牧歌的であり、純な日常生活と、ちょっとした棘。些細な行き違いと、それがもたらした小さくない悲しみ。それはおそらく、古賀の育った千葉の端っこの街の面影でもあったろう。詞を味わってまた、メンフィスベルは趣深い。それもまた、古賀の周到な準備の賜物でもあるのだが。

「ただのブルース」はこうして出来上がる。それが古賀侑佑の深い洞察と音楽への非妥協姿勢から始まったことを知れば、バーボンの味わいも増すというものである。

THE CORNER SHOP SESSIONS vol.1
3/16(土曜日)
午後6時開演。
お店自体は午後3時から開いていますので、開演以前からいらっしゃっても大丈夫です。
出演者
→(yajirushi)
加藤伎乃
The Memphis Bell
各40分くらいのギグです。宜しければ、投げ銭を!
入場無料。ただし、飲食店ですので、何か一品は必ず頼んでください。

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