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CREATURES” 出演アーティスト紹介 (5):Little Radios

千葉在住のアメリカ/日本人の3ピースバンドである。純然たるPUBロックである。森を分け入った先で、これを聞いたら楽しかろう。里山の、仄暗い不気味さの果てに彼らがいたら、諸兄は、不安一掃、「おーよかった」と安堵する。キャンプファイヤー(気分だけ)。ビール。「一緒に飲もうぜ」こうなる。安心の、安定の、PUBロックバンドである。

ロックは何か刺激的でなければならないだろうか?刺激とは、正統(ロックの場合は、ブルース→ロックンロール→ビートルズ→オールドスクールロック)が煮詰まった時の逃げ道である。ビリーアイリッシュ、EDM、ダヴェンドラ…彼らは恐らく、音楽になんの実りももたらさない。或いは、刺激を求めるバンドのほとんどは、単なるメチャクチャになる。人は、そうやって、刺激が自爆した後に、振り子のように安定に戻ってくる。Little Radiosの安定は、「帰ってくる場所」の意味である。

もちろん、その安定の源泉のひとつは、ChrisとGreg、2人のフロントマンに染みついた、アメリカンミュージックの「文法」であろう。和声、鳴らすところと抑えるところ、リフ/リック。生まれた時からあったもの、言語に近いもの。Green Dayが持っているもの。J -Rockにはこれがない。(J -Rockが詞に強みを求めたり、奇矯なリズム変化するのは、このためだと俺は見ている)彼らは安定=どっしり感を知った上での軽さ、聞きやすさなのだ。ビールが飲める所以である。

なぜ俺たちはロックをやりはじめたんだろう。自己主張?それもあろう。エンタテインメント?そういう人もいるだろう、俺は違うけど。だが、もっともありふれた理由は「楽しいから」ではないだろうか。日本のバンドも、ワールドワイドなバンドも、もちろんLittle Radiosも多分、そうである。それが、かたや、良質のパブロックになり、かたや日本の某や某某のように、刺激に走って自滅する。俺はメンバー3人とも、友人である。だからこそ言えるのだが、彼らはみな、いいやつである。そしてその性格が音楽にそのまんま、本当にそのまんま、出ている。LittleRadiosの軽さは、選んだのではない。フレンドリーな心根と音楽が一直線なだけだ。

一方、ライブハウスに通う諸兄は、あるバンドに、若干の「作り込み感」や「気負い」を見たことがあるだろう。演者の人間性と音楽の間にある、理性なんだか皮膜なんだかわからないもの。

正しい文法が、演者の人間そのものを伝える術になっている。そして、その正しい文法が、Little Radiosの音楽とそれを奏でる本人たちへの安心、信頼を喚起させて、見ている俺は、(ほぼ下戸なのに)ビールに口をつけたくなる。

音楽と人。そしてその人となりが一致した典型である。理屈を並べて、ヘッドワークで音と人を語った山◯達郎は、彼らに反駁できない。

8/17(木曜日)  
於越谷イージーゴーイングス
(お問い合わせは、各アーティストTwitterDMもしくは easygoings.net まで)
18:00会場18:30開演
前売り2500円/当日3000円(
共に1ドリンク)
出演
Thee BlackDoor Blues
Tha HEALs
Very Ape
The BBB
Little Radios

ニシモトヒサオ(絵)

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