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Francis “Bolero”について語ります。M4「可愛い玩具」

96年リリースKaterineのアルバム“Mes Mauvaises Fréquentations”は、ゲンスブールなどのフレンチポップと一緒に当時よく聴いていた。60年代フレンチテイストにモンドミュージック的なフレーバーがほどよく盛り込まれ、ステレオラブに夢中だった私の耳にはちょうどよかった。

このアルバムの1曲目“Mon Coeur Balance”のようなゆるい60'sムードの楽曲を作りたいと思い試行錯誤してみるも、まずイントロにあるようなチェットアトキンス奏法のギターが全く上手く出来ず悩み始め、あまりの技術の無さに途方に暮れ、ならばいっそのことこのイントロをサンプリングしてしまえばいいのではと大胆なアイディアを思いつきすぐ実行。これがまずこの楽曲のグルーヴの要となった。
そしてややテンポをあげ、イントロからビックバンドを従えて歌うイメージを具現化すべく、ど派手なプラスセクションからスタート。
やはりこの手の曲の決め手は、バカバカしいぐらいシンプルなキメフレーズ。「シャバダバ」なブレイクを作ればそれで成功することをすでに確信し仕上げにかかる。

ひとまず完成したトラックは、自分でヨチヨチと打ち込んだテイクながらもFrancisのライブでは定番のナンバーとして頻繁にパフォーマンスしていた。ただやはりアルバムに本格的に収録するとなれば、ずっと納得のいっていなかった打ち込みのドラムではなく生のドラムに差し替えたい。そう考えた時、まず一番最初に頭に浮かんだのが旧知の白根賢一くん。まさにネオGSの時代86年頃から私はレッドカーテン、彼はワウワウヒッピーズとして対バンしただけでなく、一度だけ、どこの会場だったかは忘れてしまったけどたまたまBの高桑圭が参加出来ないライブがあり急遽呼ばれ、助っ人として代わりにベースを弾き一緒にリズム隊を組んだ時のあの気持ちよさは今も忘れられない。彼はその後、Great3のメンバーとして、そしてあまたのセッションドラマーとして大活躍。そんな唯一無二のスタイルを持つ賢ちゃんに声をかけてみたところすぐにOKをいただいた。実はその1年ぐらい前に一度、やはりネオGSメイトでもあるストライクスの猪狩くんがやっているライブハウス「レッドクロス」でやったFrancisのライブに賢ちゃんが遊びに来てくれ、お世辞なのだろうが「最高だったよ」と言ってくれたのも、今回お願いする後押しになった。

さすがにドラムレコーディングはスタジオを借りてやらなくてはということで探していた矢先、またまた同じくネオGS繋がりのサリー久保田さんに相談してみたところ、彼が普段よく使っているVIVID SOUNDスタジオを紹介していただけることに。何の因果かこのスタジオ、実はあのオリジナルラブのインディー盤の数曲をレコーディングしたとても思い出深いスタジオでもあるのです。
レコーディング当日は久保田さんも来てくれて、実に和んだ雰囲気であっという間にバッチリなテイクが録れてもう言うことなし!ホント、さすが賢ちゃん!って感じでした。

※ロイ・モントレルのこの楽曲(56年)は、ストレイ・キャッツが“Wild Saxophone”という変名タイトルでネオロカビリー・カバーしたことでも有名

ちなみに元のトラックを聴いた賢ちゃんが事前にこんなアプローチをしたいとロイ・モントレルのこの曲をサンプルとして聴かせてくれたのですが、リアルなドラミングスタイルをきちんと検証し、こちらが使えるスタジオ時間が限られていることも踏まえてか、構成もあれこれあって長く面倒くさいこの曲をアプローチも的確にほとんど間違えることなく準備してきてくれたことには感謝と敬意しかありませんでした。ホント、最高のプレイ有難う!
そしてサクッとマラカスもファーストテイクで決めてくれた白根賢一に改めて拍手を!

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しかし35年以上経ってもネオGSの頃の繋がりが現役のものとして今も続いていることが、当時我々の置かれた状況や評価がどうであれ、お互いに刺激しあえる関係としてこうして存在していることが何より嬉しいし、現にそう出来ている奇跡がとにかく幸せでならない。だって、みんなあの時代にあって他の誰よりも音楽が好きな連中の集まりだったんだってことを、これはまさに証明してるようなものなのだから。

「可愛い玩具」は12/22、「反撥」とカップリングで7inchシングルとしてリリースされます!!!

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