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さいきんのへびろて3選【ボカロ】㉑

Niimmoo | ユアルシッド / feat. 初音ミク
ニコニコ動画 2024/11/2
YouTube 2024/10/28

いちどは重ねた鼓動を感じられるくらい近くにいた。けどいまはもう「キミ」に触れたいって願っても叶わないところにいる。ちぎれたスピンを指に巻き付けてみても、ちぎれた先はどこにもつながっていないから、「キミ」との思い出のページには戻れない。

あのとき「キミ」が言ってくれた言葉が忘れられなくて、空想や夢の中で「キミ」との続きを思い描いてるんだとしたら、それは都合のいいハッピーエンドでもいいと思うんだけど、「僕」が書いているのは「悲しいエンド」。

その理由は「澄んだフレーズで固めた つぎはぎの言葉だけじゃ何も応えられない」って「僕」が思っているから。
「御決まりだらけの純情なストーリーが好きなの」って俯いて笑う「キミ」が、「キミ(僕)の悲劇も喜劇も嫌いじゃないよ」って、「キミ(僕)の悲劇も喜劇も大切にするから」って言ってくれたから。
「僕」は「キミ」との思い出を曲げたりしないし、「キミ」との関係を嘘にしたくないってことだ。
「ルシッド」はフランスの劇作家コルネイユが書いた悲喜劇(『Le Cid』)。
「あなたの悲喜劇」というタイトルは、「キミ」のことばをなぞっている。

「寄り添ってたいんだよ あと何十年が経っても」っていうかつての「僕」の願いはたぶんもう叶えられないんだろうけど、そう思える関係があったことが「僕」に力をくれるはずって思いたいな。


魚ー竿ー(うおーさおー) | 逃避夜行feat.初音ミク
ニコニコ動画 2024/10/26
YouTube 2024/10/26

「他殺願望をテーマに書いた曲です。」って作者のコメントがあって、そう思って聴きなおすとだいぶんストレートにそうだった。イントロのバックでは「僕はみんなに しょうがないねって 言われたかった」とその願望が表示されている。

「僕」はそれを「許されない願い」だと自覚している一方で、「救いの刃」だとも言っている。だとすれば、願望の源は「笑い声 走る音が 僕を置き去りにしてゆく」世界への怨恨だったのかもしれない。

間奏のバックでは「本当は最初から 気づいていたんだ 僕が望む刃は この世界に存在しないことを」と表示され、つづく歌詞では「許されない願いを 棄てて次を探す」と歌われる。
その「次」というのは、おそらく「僕」にとって居心地がいいわけじゃない「鏡張りの世界で生きていく」こと。

この曲を聴いてると、中学生の頃、100均で売ってるようなドライバーセットに入ってる錐状のやつをポケットに忍ばせて、夜な夜な町を徘徊していたことを思い出した。

生きてこう。


オクチカ | 今日から / 初音ミク
ニコニコ動画 2024/12/14
YouTube 2024/12/14

おだやかでふわふわしていてずっと聴いてられるし、聴いててここちよい。歌詞はとても前向きな応援メッセージなんだけど、歌詞に耳を澄まさなくても音とミクの声に癒される。

淡々とした曲調が、日々生きるってことは「淡々と綴る」ってことだよってメッセージとマッチしている。
「目が覚める度に 別にすごくは変わりはしない」けど、「散漫な思考」でもそれが「夢」なら「僕らを変えていく」し、「明日の君も変わる」。

力強く強引に背中を押してくれるわけじゃない。
「大丈夫」っていう根拠があるわけでもない。
でも、これくらいの「ゆるい応援」が、がんばりたくないぼくにはここちよい。

「3万6千5百回目の最後に僕を好きでいれるよう 今日は昨日の自分に『ありがとう』をプレゼント」



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玻名城ふらん(hanashiro fran)
ちゅーる代