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ラブレター

非モテな私だが、若い頃はかなりモテた。
今の恋愛対象は9割以上の割合で同性である綺麗なおねいさんだが、若い頃は男の人も好きだった。

まだ携帯電話がない時代。連絡手段は固定電話と手紙だった。
一家離散していたため、電話がかかって父親が取り、取り次いでもらえないということはなかった。でも、電話で話をすることはドキドキする。特に初めての電話は苦手だった。
そのため、ラブレターをよく書いた。

郵便配達のバイクの音が聞こえるとソワソワして、ポストに行く足がもつれる。ラブレターが届いているとすぐに開封したいという気持ちを抑えて部屋に入り鍵を閉め、レターナイフで封を切る。

ラブレターは良いことばかりではない。時には悲しい手紙も届く。薄い青いインクで「別れよう」と書いてある時は人生が終わった気分になる。

受け取ったラブレターは箱いっぱいになった。数年前まで保管していたが、過去と決別するためにすべて処分した。

今はLINEで綺麗なおねいさんから「ゆかちゃん、ご飯食べに行こ」と連絡が来るととてもうれしい。でも、まだ食事をしたり手をつなぐこと以上には進展していない。


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