パンダエクスプレス

アメリカ一人暮らしをしていた若い頃、借りていたアパートにはキッチンがないのでほぼ外食だった。
朝は共同のキッチンでトーストとゆで卵、コーヒーが出る。
昼はピザやホットドッグをよく食べた。
夜は同じブロックにある小さな中華料理店に行き、チャーハンか焼きそばを食べるのが好きだった。この店ではポットでジャスミン茶を出してくれるのだが、お湯がなくなると蓋を開けて置くと追加で注いでくれるというのを聞いてやってみた。

あれから20年近く経って再び渡米した時、偶然パンダエクスプレスという中華のファストフードに入った。最初は注文の仕方がわからなかったので前の人と同じように注文した。まず、サイズを決めてサイドを決める。これはチャーハンか焼きそば、白飯、スーパーグリーズから選ぶ。私はチャーハンも焼きそばも食べたかったので、両方注文したら店員さんが困った顔をした。どうやらサイドは1種類だけのようだ。でも、説得して2種類を盛り付けてもらう。
サイドが決まると次はメイン。この店の名物のオレンジチキンを選ぶ。もう1種類は酢豚のようなものにした。

美味しかったので次の日もまた行ってみた。店員さんは私のことを覚えていて「また来たのね」と笑ってくれた。
今回は注文の仕方を予習してきたので問題なく食べることが出来た。

日本にもパンダエクスプレスがあればいいのにと思い、調べてみたら一度日本上陸をしていたようだ。だが、あまり人気にならずに進駐軍の基地を除いて撤退してしまった。
それからしばらくして、川崎に再上陸するというので行ってみた。大人気で長蛇の列。お目当てのオレンジチキンを食べることが出来た。

オレンジチキンといえば友達に料理が上手な人がいた。彼女はアメリカ帰りなので、アメリカの家庭料理をよく振る舞ってもらった。でも、私の至らなさで喧嘩別れしてその後音信不通となった。私は人間関係をうまく築けない欠陥人間だ。