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高卒はつらいよ

私は高卒で社会に出た。大学には行かせてもらえなかった。大人がよく言う「学歴がなくても立派な人はたくさんいる」という大嘘に騙された。
社会に出た1日目に、それが嘘だとわかり、以降20年間社会で辛酸を嘗めることになる。入りたい企業やなりたい職業も学歴がないために応募資格すら得られなかった。給料面でも大卒社員に大きく差をつけられた。

これではいけないと思い、38歳の時に大学に社会人入学をした。そこには私と同じように、能力がありながら学歴がないために不利な扱いを受けた人たちがたくさんいた。
私は大学で経営学を学んだ。専攻はマーケティング、その中のブランドの研究を行った。
経営学を学ぶために入った大学であったが、ひょんなことから経済学に目覚めた。そして、経済学の教員が教えていた「投機学入門」という科目も履修した。これが実に面白い学問で、その後の私の投機家としての人生を決定づけた。

42歳で私は学士の学位を得た。一般人の20年遅れだ。でも、これで学歴コンプレックスに悩まされずに済む。学友の多くはビジネススクール(経営大学院)に進んだ。中には、博士課程まで進み、母校の准教授にまで上り詰めた人もいた。
私もビジネススクールに進みたかったが、学力と資金力がなくて断念した。その代わり、卒業しても科目等履修生として大学で学び続け、ゼミにもOG参加した。

高卒は圧倒的に不利だ。生涯賃金が大きく違う。職業選択の幅も狭まる。結婚でも不利になるし、海外移住したり、海外で働くためにも多くの国では四年制大学卒業の資格が求められる。また、今では中小企業でも高卒は取らないという企業も増えている。アメリカでは工場で働く従業員も大卒資格を求めていると先日のウォールストリート・ジャーナルの記事にあった。

勉強したくないという人も、Fランクの大学でもいいので卒業しておいたほうが良い。超難関校高卒とFランクの大卒では、形の上ではFランクが上だ。
大学に入学する費用がない人は、学費の安い放送大学や通信制大学もある。とくに、放送大学は実質的な国立大学で高度な教育を提供してくれる。本気で学べば十分な教養が身につく。私も今、放送大学で2度目の大学生活を送っている。
通信制大学の中では、慶應義塾大学を勧める。卒業率は5%と聞く。また、卒業までに10年程度かかる。しかし、読む力、書く力、考える力、発表する力が身につく。

私は20年遅れでも大学を卒業してよかったと心から思う。若い人には、ぜひ私と同じような失敗をしないようにして欲しい。


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