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【地方紹介21】ローヌ・アルプ地方

<地方データ>
■【francerでの地方名呼称】:ローヌ・アルプ地方
■【旧地方圏区分/地方庁所在地】:
ローヌ・アルプ地方(Rhône-Alpes)/リヨン(Lyon)
■【現地方圏区分/地方庁所在地】:
オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地方(Auvergne-Rhône-Alpes)
/リヨン(Lyon)
■【旧地方圏区分における所属県と県庁所在地】
●アン県(Ain /01)県庁所在地:ブール・カン・ブレス(Bourg-en-Bresse)
●アルデーシュ県(Ardèche /07)県庁所在地:プリヴァ(Privas)
●ドローム県(Drôme /26)県庁所在地:ヴァランス(Valence)
●ロワール県(Loire /42)県庁所在地:サン・テティエンヌ(Saint-Étienne)
●ローヌ県(Rhône /69)県庁所在地:リヨン(Lyon)
●サヴォワ県(Savoie /73)県庁所在地:シャンベリー(Chambéry)
●オート・サヴォワ県(Haute-Savoie /74)
県庁所在地:アヌシー(Annecy)
 
★地方概要★
リヨンを中心として広がる大きなローヌ・アルプ地方は、その名の通り、ローヌ河とアルプスという大自然によって作り上げられた地方と言えるでしょう。雰囲気も二極化しており、ローヌ河流域の町々とアルプスの麓にある景勝地にわかれます。
 
東にはヨーロッパアルプス最高峰のモンブランを有するアルプス山脈、そして、レマン湖から流れ続け、フランス4大河川の1つに数えられるローヌ河を持ち、西部から流れるアルデーシュ川はロック・クライミングの名所として有名です。またブールジェ湖、アヌシー湖、そしてレマン湖と湖も多く歴史と自然がうまく調和した地方です。

フランスのみならずヨーロッパを代表する名峰モン・ブラン

ローヌ河は古くから南フランスから北フランスへ向かう通路となっていたので、プロヴァンス同様ローヌ・アルプ地方でも大きな都市はローヌ河畔に集まっています。ヴァランス、ヴィエンヌなどがありますが、その中で最も大きい町がローヌ河とソーヌ川が交わる町リヨンです。どの町もローマ帝国から続く歴史ある町です。このローヌ河岸では、斜面を利用して古くからブドウ栽培、ワイン作りが行われており、コート・ロティ、コンドリューなどの銘醸ワインを産出しています。また、アルプスの麓では、近年にはグルノーブルやアルベールヴィルなど冬季オリンピックが行われた場所としても知られています。

ローヌ河畔の斜面にブドウ畑が作られています。

★町や村★
 
交通の要所となったローヌ河畔には、古くから残る町々が残り、またリヨンを中心とした美食の地域ともいえます。最近ではミシュランの星付きレストランが増えてきたり、フランス屈指の鶏肉「ブレス鶏」の産地もこの地方です。
 
また東に目を移すと雄大なアルプスの麓に佇む落ち着いた町々が残ります。特に夏の時期にお勧めするのが、湖畔の町アヌシーです。運河沿いに広がる旧市街は、美しい花々に彩られ、運河が流れる涼やかな湖畔沿いでの滞在は、のんびりした夏の休日を演出してくれるでしょう。
 
また、自然好きな方には、ヨーロッパアルプス最高峰のモン・ブランは外せません。フランス側のモンブランを望む拠点はシャモニーで、展望台からもモン・ブランの姿を見ることはできますが、モン・ブランをじっくり楽しむなら、ここからモンブランを横目にアルプス山脈をロープーウェイで越え、イタリア側にわたる空中散歩がお勧めです。

 
大都市リヨンは、ローヌ河とソーヌ川が出会う町として古くから発展し、今やフランス第二の都市として、また食の都として世界にその名をとどろかせます。
 町中にはローヌ河とソーヌ川が流れますが、ソーヌ川の西側に広がっているのが世界遺産にも登録されているリヨン旧市街。特に16世紀以降のルネッサンス建築が美しく、建物の間を通り、道と道とをつなぐトラブールがあることが特徴です。サン・ジャン大聖堂から北に延びるサン・ジャン通りにはブションと呼ばれるリヨンの大衆レストランも多く立ち並びます。
 
そして、旧市街の高台、フルヴィエールの丘には、ノートルダム・ド・フルヴィエール聖堂が町を見下ろし、ここからの景色は絶景です。主な見どころは旧市街に集まっていて、ローヌ河とソーヌ川の間にあたる地域が商業地区。大きなデパートなどもこのあたりにあります。

地方の中心、大都市リヨン

フランスきっての湖畔リゾートであるアヌシーの旧市街は自分ひとりでもう一度歩いてみたいと思える魅力的な旧市街。石造りのアーケードが並び、サヴォワ様式の家々が立ち並びます。とても雰囲気がよく、治安もよいので、夜の一人歩きもそれほど苦にはなりません。しかし、歩くならやはり昼間に限ります。平地なので、避暑地とはいえ夏には気温があがり、涼しい町というより、涼やかな雰囲気を持った町といったほうが正しいでしょう。湖から運河が流れ、運河沿いが美しい花々に彩られています。そんな町を歩いているだけで幸せな気分になります。この町では、観光という言葉はふさわしくないかもしれません。むしろこのような風景に溶け込み、のんびりとするのが一番気持ちのよい方法でしょう。アヌシー湖畔のベンチに座ってヨーロッパ一と言われる透明度の湖を眺めたり、運河沿いをのんびりと散歩したりと思い思いの時間を過ごせる町です。

運河沿いが花々で彩られた美しい旧市街

モンブラン観光の拠点となる町がシャモニー。スキーリゾート地としても、その名を知られています。町中にはホテル、レストランも多く、モン・ブランゆかりの博物館などもあります。モンブランへはゴンドラに乗って登っていき、フランスからはエギーユ・デュ・ミディ展望台から最もよく見えます。また、ここからイタリアまでゴンドラに乗っていくことができるが、眼下には氷河が広がり、横にモンブランを見ながらのんびりと空中散歩することができます。天候によって左右される問題点はありますが、モンブランを見るのであれば最もお勧めは、このゴンドラでの国境越えです。

シャモニーからは空中散歩でイタリアへと向かうことができる

★名産品と郷土料理★
 
リヨンは絹で有名な町でもありますが、美食の町と言われるリヨンを中心に、特に食べ物の特産品が多い地方です。ハム、ソーセージ、ブレス鶏、ヌガー、オリーブオイルなどの名産地が名を連ねます。また、アルプスの麓ではスイス的な文化圏となり、ラクレットやチーズ・フォンデュなどがよく食べられ、チーズ生産も盛んです。ワインはローヌ地方のコート・ロティ、コンドリュー、エルミタージュなど高級ワインを多数産出し、また日本に入ることは珍しいサヴォワワインも独自の品種を使ったもので一味違ったワインが楽しめます。
  
リヨンの郷土料理の一つとして有名なものが、クネル(Quenelle)鶏肉、魚、甲殻類などをすり身にして、つなぎを加え、団子状にして調理したもの。ゆでたり、蒸したり、焼いたりと様々な調理方法がありますが、主にソースをかけて食べます。リヨンのレストランなどでよく見かける料理です。

リヨンの郷土料理として名高いクネル

チーズ・フォンデュは、スイスに近いアルプスのふもとの町々でよく目にする料理で、シャモニーなどでは頻繁に見かけます。チーズ・フォンデュはスイスのイメージが強いですが、アルプスの麓サヴォワ地方では、トム・ド・サヴォワというクリーミーなチーズも生産され、スイスに負けず劣らずおいしいフォンデュが食べられます。
 
 アルプス山麓の山のチーズ、アボンダンス(Abondance)。名前の由来は牛の品種アボンダンスに由来しています。教皇を選出する際の会議がアヴィニヨンで開催された際、食事にこのチーズが出されたともいいますから、歴史のあるチーズといえます。ハードタイプのチーズに分類され中身は淡い黄色、。ミルクのコクと味わい、ナッツの香りが特徴です。

チーズ通に人気のあるアボンダンス

サヴォワ地区で牛乳から作られるチーズ、ルブロション・ド・サヴォワ(reblochon de Savoie)は、セミハードタイプともウォッシュタイプとも言われ、製造段階で、外皮を塩水で洗いエゾ松の木板に乗せて熟成するため、外皮は固めで独特な匂いを感じます。

14世紀頃に生まれたルブロションは、サヴォワ地域の言葉で「再び絞る」という意味の言葉から名づけられました。当時の農家は牛乳の搾乳量に比例した売り上げ代金と借地代を支払う必要があったため、監視人が立ち去った後に再び搾乳をして、その乳からチーズを作っていたため、このような名前が漬けられました。若いチーズは甘みがあり、熟成とともに、香ばしい風味に変わっていきます。

ルブロションも人気のあるチーズだが、日本ではまだまだ知名度が低い

 ローヌ・アルプ地方南部のドローム県で生産される白カビの山羊乳チーズ、ピコドン(Picodon)は、ピリッとするという意味の「ピカン」と、甘いを意味する「ドゥー」が訛ってピコドンと呼ばれるようになったそう。直径5・6センチほどの小さな丸形のチーズです。プロヴァンスほど近い地区で作られるこのチーズには、プロヴァンスハーブをまぶしたり、オリーブオイルをかけて食べるのがおすすめです

プロヴァンス的な雰囲気を感じる山羊乳チーズのピコドン

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