フランスの大学院出願(M1及びM2):基本事項、出願方法、スケジュール
1.方針
本記事は、フランスの大学院出願に関する情報を網羅的にまとめたもの。著者は大学院の出願に苦労したため、未来の世代が、フランスの大学院進学をより簡単にできるようになれば幸い。
2.基本事項
【語学証明】フランス語の能力証明は、最低でもDELF B2もしくはTCF TP B2が必要(B2はひとつの壁であるが、地道に対策し続ければ必ず合格する)。大学院によってはC1レベルが必要、余裕があればC1まで合格しておきたい。
【重要!! M2への進学】日仏間で大学院に関する協定(日本とフランスの高等教育機関の履修、学位、単位の相互認証に関する協定)が締結されており、日本の学士号を持っていれば、フランスの大学院の修士二年(M2)に直接進学することが可能(「優秀な学生であると認められる場合は、書類審査の上、直接Master コース2 年目(Master 2)に編入することができる」と明記されている。)。ただし、フランスの大学院関係者はこの事実を知らないため、大卒からM2に出願する場合、大学院修士一年(M1)の成績証明書がない理由をこの協定に基づいて記載する必要がある(M2に出願する場合、基本的にM1の成績証明書を求められる。Nikkoriの場合、大学四年次の成績証明書に、M1の成績証明書がない理由及び本協定の文書を一つのファイルにして大学院側に送付した)。
【日本国内から出願する場合】M1もM2もCampus Franceを通じて一括で出願(例年12月~1月頃締切)。なお、大学院で個別に募集している場合は、個別の募集要領に従って日本国内から出願することも可能(日本国内からの出願を受諾してくれるか否かは大学院の募集要領次第であるため、大学院の公式サイトを要確認)。
【フランス国内から出願する場合】フランス国内において、M1の出願は基本的にMon Masterで一括出願(SNSでMon masterと検索すると、フランス人学生も出願がしんどいんだなと共感できる)。M2の出願では、基本的に大学院ごとのeCandidatという書類提出システムを通じて個別に出願する(まれにMon MasterからM2を応募できることもあるので、大学院の公式サイトを要確認。Nikkoriの経験ではストラスブール大学政治学修士のM2がMon Masterからしか出願できなかった)。
大学の専攻分野と関連のある分野に出願した方が合格率は高い印象。裏を返せば、大学時代の専攻と異なる分野の修士に出願する場合、その分野に関する高度な知識や関心を提示する等、それ相応の努力を要するということ。
大学院の志望するコースの担当者に事前連絡を取ることをおすすめする。公式サイトに載っていない情報を得られるのみならず、自分の志望を直接伝えられるほか、自分で担当者と交渉することもできる。
3.日本国内から出願する場合
(1) Campus Franceでの出願
日本国内であれば、M1もM2もCampus Franceを通じて一括で応募可能。応募スケジュールについては、Campus Franceの公式サイトを確認するのが安全。出願全般について、Campus Franceを通じて出願した方が遥かに楽であるが、各大学院と独自に交渉することができないのが難点かもしれない。
また、Campus Franceでは出願できない大学院もあるので、その大学院については公式サイトを調べて、独自に出願する必要がある(例:INSP)。Campus Franceの合否の結果が出るのは比較的早いため、そこから別の大学院に出願することも場合によっては可能(例えば、エクス・アン・プロバンス政治学院(第二次募集)、ストラスブール大学、ストラスブール政治学院等の出願開始は例年遅めである)。諦めずに色んな大学院を探すのが大事。
(2) 出願スケジュール(目安)(2023年時点の情報)
Campus Franceの公式サイトで最新情報を要確認。
2022 年10月1 日から: 応募開始
2023 年1月31日までに: オンラインフォームを提出する
2023 年3月15日までに: Campus Franceの面接を受ける(フランス語)
2023 年4月30日までに: 教育機関からの合否の連絡
2023 年5月31日までに: 合格校から留学先の教育機関を選択
4.フランス国内から出願する場合
(1) M1の出願
基本的にMon Masterで一括出願する(日本国外にいる場合、Campus Franceは使用できない)。
例年の出願期間は2月~3月(2024年の出願期間は2月26日―3月24日)。Mon Masterから殆どの大学院に出願可能。他方で、大学院によっては個別に募集しているところもあるので、志望校のサイトを要確認(フランスの大学院では、募集要項が直前まで掲示されなかったりする。志望するコースの担当者に連絡するのがおすすめ)。
Mon Masterの結果は6月上旬に開示される(2024年は6月4日に開示)。出願ごとに、合格、補欠(キャンセル待ち)、不合格の三種類の結果を享ける。多くの人は補欠になり、キャンセル待ちリスト上で順番が巡るのを待つことになる(補欠の場合、自分が今どの順位にあるのか、昨年どの順位まで合格できたのか教えてくれる。(例:ストラスブール大学政治学修士2年、定員: 50名、出願者全体の順位: 200位、補欠の最終合格者の順位: 237位)。
(2) M2の出願
大学院ごとのeCandidatという書類提出システムを通じて個別に出願する(大学院によってはMon Masterや独自のシステムでの出願を求める場合がある、いずれにしても、公式サイトの出願要領を確認する必要あり)。
大学院ごとに出願開始日及び締切日が異なることに注意。うかうかしていると出願締切日が過ぎていたりする(志望校の担当者に連絡して、期限外に無理やり出願するという荒技もあるらしいが、たいていは却下される)。志望校の公式サイトは入念に確認する必要がある。なお、サイト上に出願開始日及び締切日が直前まで掲載されないことが多い。志望校の担当者に出願の時期及び必要書類を照会するのをおすすめする。
なお、前述のとおり、日本の学士号を持っていれば、フランスのM2に直接編入が可能である。ただし、フランスの大学院の担当者はその事実を知らないため、出願時に、日仏間で大学院に関する協定(日本とフランスの高等教育機関の履修、学位、単位の相互認証に関する協定)に基づいて、M2に直接編入可能である旨を記載する必要がある。この記載がないと不合格になる可能性が高いので要注意。
(3) 出願スケジュール(出願開始日の目安)
あくまで2024年時点の情報。まったく網羅的ではない。各大学の公式サイトの最新情報を要確認。
1月 パリ・ドーフィン大学
2月下旬 PSL研究大学、社会科学高等研究院、エクス・アン・プロヴァンス政治学院
2月末 Mon Masterによる一括出願(大学の学部によってはM2に出願可能(Ex. ストラスブール大学政治学修士2年))
4月下旬 ストラスブール大学(政治学修士以外)、ストラスブール政治学院
上記を見てもわかる通り、M2の出願時期は大学院によってばらばらになっている。志望校をどこにするのか事前に特定した上で、細心の注意を払って出願開始時期を下調べする必要がある。その際、大学院の志望するコースの担当者に出願開始時期や必要書類について照会することをおすすめする。場合によっては独自に交渉の機会を持つこともできる。
参考情報等あればどしどし御連絡ください🐈
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