パリ・オペラ座バレエ団について
フランスバレエの専門家、harukaです。
プロのバレエダンサーを目指す若者にとって、憧れのパリ・オペラ座バレエ団。その洗練された舞台とルイ14世から受け継がれてきた伝統は多くの人々を魅了しています。
今回はそんなパリ・オペラ座バレエ団を紹介したいと思います。
パリ・オペラ座バレエ団の始まり
パリオペラ座バレエ団の始まりは、ルイ14世が宮廷におけるダンスの組織を作ることに着手したためといわれています。
1669年、フランス語のオペラを上演するために Académie d'Opéra (オペラ・アカデミー)が創立されました。1672年には Académie Royale de Musique (王立音楽アカデミー)と名前を変え、オペラの間に披露されるダンスが重要な役割りを果たすという新しいオペラスタイルを生み出しました。
1713年には付属のバレエ学校が開校され、1875年にはパリ・オペラ座バレエ団の拠点を現在のガルニエ宮に移しました。
パリ・オペラ座バレエ団の黄金期
1983年にはバレエ史上最も偉大なダンサー・振付家とも言われたルドルフ・ヌレエフが芸術監督に就任しました。1995年に退任するまで現在のパリオペラ座を代表する古典バレエの振り付けを手掛け、さらには若手ダンサーの支援も行いました。
ルドルフ・ヌレエフ退任後の1995年から2014年までブリジット・ルフェーヴェルが芸術監督を務めました。彼女はヌレエフが確立したバレエ団のレベルの維持に成功しました。
現在のパリ・オペラ座バレエ団
2016年からは1994年から2015年までオペラ座を代表するエトワールであったオーレリ・デュポンが芸術監督を務めています。新たな振付家やレパートリーを増やすといった新しい挑戦をしながら世界最高峰のバレエ団の地位を守り続けています。
パリ・オペラ座バレエ団の仕組み
パリ・オペラ座バレエ団に入団するためには内部試験と外部試験があります。内部試験はパリ・オペラ座バレエ学校の卒業生のみ受験できます。外部試験は16歳から24歳の世界中のバレエダンサーを対象に行われています。
試験を突破すると5階級の中の一番下の階級 Quadrille (カドリーユ)として入団することができます。
パリ・オペラ座バレエ団のトップスターである Étoile (エトワール)になるた1年に1回行われる昇級試験に合格しなければいけません。
ただし第4階級のプルミエ・ダンスールから最終階級のエトワールへの昇級のみ、任命によって行われます。
エトワールに任命されるのはごく僅かであり、現在153名の団員中たったの15名がエトワールとして活躍しています。
最近では2020年12月13日にガルニエ宮で披露された(無観客)ラ・バヤデールの舞台で23歳のポール・マルクがエトワールに任命されました。
昔のパリ・オペラ座バレエ団ではエトワールの任命式は幕が降りた後、団員のみで行われていましたが、現在では観客の前で行われるようになりました。
小さい頃から夢見ていたエトワールという夢が叶った瞬間を目の当たりにし、長年の夢が叶った喜びをたくさんの人と分かち合えるというのは本当に感動的だと思います。
ただどんなに活躍しているエトワールであったとしても体力的な問題から42歳で引退(Les Adieux)しなければいけません。しかしエトワールの称号は退団後も継続されます。
退団したエトワールはその後、違うバレエ団の芸術監督に就任したり、パリ市内にバレエ学校を開いたり、振付家になったりと様々な活動を行っています。
ヨーロッパで行われている講習会やコンクールなどに参加すると元エトワールのレッスンが受けれることもあり、とても刺激的です。