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自分のフランス語が、納得のいくレベルに到達しました(これからのこと)
今回の記事では、これまで長かった自分のフランス語学習において、その「第1ステージ」が終了した、ということについて書きたいと思います。
もちろん語学は一生続く長い旅路ですし、そこに終わりなどないと思います。しかし、今は自分のフランス語能力が本当に「納得いく」レベルだと、胸を張って言うことができるようになりました。
ここに至るまでの流れを大まかに振り返り、何を持って「納得いくレベル」だと捉えているのか、さらにはこれからは何をベンチマークに語学と向き合うのか、ということを簡潔にまとめたいと思います。
語学との向き合い方
わたしは「語学との向き合い方」について、およそ2パターンに分けることができると思っています。
要するに、「語学それ自体に価値を見出す人」と、「語学を通してできることにフォーカスする人」です。
前者は言語そのものや文法構造に深い関心を持っており、後者は語学をあくまで「ツール」として捉え、その言語を使って達成できる目標に価値を置きます。
わたしは、後者の方にやや比重を乗せつつ、できるだけこのバランスを取ろうと意識して学習しています。
つまりわたしのスタンスを換言すると、文法知識への探究、音声の美しさ、言葉の背景にある歴史や文化を理解することに喜びを感じることは言うまでもく、語学の目的はあくまで会話を通して相手と「つながる」ことを優先します。
どこまでいってもわたしにとって言葉とは、本質的なコミュニケーションのための潤滑油にすぎないのです。
※ 余談にはなりますがネット上では、外国語の学習法をめぐって、この「向き合い方」の前提を共有できていないことによる論争(「資格試験には意味がないorある」「実践こそが語学力を上げるor文法が大事」など)が散見されているように思います。
2つの観点
上記の2点のバランスを取りながら、わたしはフランス語学習において以下の点に最も重きを置いています。
いや、より厳密に言うと、重きを置いているということに気付かさせられました。
(最後に説明します。)
発音(より広義で、音楽性)
ユーモア
発音
発音とは、まぁ言ってみれば第一に「カタカナ的な音」を脱している、とでもいえばいいのでしょうか。
フランス語の発音規則について理解し、きちんと文字(アルファベ)に対応した音を出せているという意味です。
具体的にいうと、Rの音をきちんと出せていたり、「un」「en」「on」の違いを「アン」や「オン」といったカタカナの音ではなく、それぞれに対応させた音で出せているということです。
(カタカナを使ってフランス語の発音を学ぶことが良いとか悪いとかについてここで言及する意図はありませんので、誤解なきよう)
しかし、わたしはもっと広い意味で、フランス語の発音には「音楽性」のようなものが求められていると考えていて、つまりフランス語は、単語レベルではなくフレーズ、もしくは主張全体を通してリズミカルに話すことが必要な言語だと思っています。
この「音楽性」というものを、単に文章の音読ではなく、瞬時に反応しなければならない会話の中においてさえ、身につけることができたと思っています。
ユーモア
あともう1点は、ユーモアです。
これについてははっきりと断言することができますが、わたしはコミュニケーションにおいて「文法的な正しさ」よりも「ユーモア」を優先します。(それはそれでどうかと思いますが)
以前、こんなメッセージを日本に住むフランス人の友人からもらいました。
「J'arrive avec 5 minutes de retard, je pense.」
(5分ぐらい遅れて着くと思う。)
これ、受験英語の問題でもよく出てきそうなシチュエーションですよね。
この文章を見た(聴いた)あとに、以下の3つの選択肢が用意されており、それに対して適切な番号を選ぶ、というような出題形式はよく見られます。
D'accord, merci de m'avoir prévenu.(了解、知らせてくれてありがとう。)
J’ai envie de boire un café.(コーヒーが飲みたいです。)
J’espère qu’il fera beau demain.(明日晴れるといいな。)
最も適切な答えとしては当然1番で、この選択肢を選べていれば点が与えられる、というのが今の学校教育における正解です。
一方、このシチュエーションに対して、当時のわたしは瞬発的にこう返事しました。
「Tu es en route avec la SNCF ? Prends ton temps.」
(SNCFで向かってるの?ゆっくり来てね。)
もちろん日本で会うからそもそもSNCFでくる訳はないし、まずこの表現が適切な文なのかもわからないです。笑
しかし、日本の電車に比べて圧倒的に、SNCF=遅延という皮肉的なイメージを共有しつつ、遅れることに対しての理解も示したつもりですし、それは伝わっていました。
まぁ簡潔にいうと、わたしのコミュニケーション方法はどこまでも笑いに対して貪欲なのです。
このスタイルを母国語以外でも貫ける程度には、フランス語を上達させることができました。
よって、今は大変自分の語学力に満足しています。
これからのこと
これからのフランス語学習は、今までのようにフランス語のレッスンを受講したり試験対策をしたりするのではなく、翻訳作業に一人で取り組みたいと考えています。
好きな作品を一通り自分で全体を訳すことで、背景知識を勉強したり、日仏の言語間を何度も横断することになるわけですから、また別の言語能力を養えると考えています。
いろいろ逡巡しましたが、今のところデカルトの『方法序説』に取り組む予定です。
最後に
ここまでいろいろ書いてきましたが、わたしがこのように考えるに至ったのは、フランス語講師として活躍されている志村さんの影響によるものです。
自分がこのようなことを言うのは非常に恐縮なのですが、志村さんとは、先ほど挙げた「語学との向き合い方」のバランス比率が非常に似ている気がしています。
(レベルは全然違いますが)
また、自分が大切にしている「発音」と「ユーモア」という観点も、彼との会話の中で再認識し言語化していただいたものです。
自分が無意識下で重要だと考えていた点を評価してもらった、ということなので、おそらく彼もまたこの点を重要視しているということだろうからです。
特に、フランス語の「音楽性」という単語は完全に彼の言葉を拝借しました。
志村さんはフランス語の「発音」に関して人一倍こだわりが強い方だとは思いますが、自分の会話を生で聴いてもらった上で、「音楽性」を評価していただけた点は誇りです。
さらに、これからの取り組みとして「DALF C2」を目指すのではなく、「翻訳作業」に取り組む方がいいという案もいただけて、これからの進むべき方向性が見えてきました。
2025年は、また新しい形態でフランス語と関わっていきたいと思います。