DELF/DALFの口頭表現(exposé)のやり方のエッセンスを解説します(B1/B2/C1)
こんにちは!
今回のこの記事では、DELF/DALFの口頭表現のやり方について書いていきたいと思います。
最初に断っておくべきなので言いますが、もしかしたらこの記事の内容はみなさんの期待を大きく裏切る事実かもしれません。
ただし、それは決して、わたし自身の「怠慢」や「出し惜しみ」によるものではなく、あくまでDELFという試験の特徴によるものなのでご理解いただきたいです。
と言うのも、「このポイントだけをマスターすれば口頭表現は大丈夫!」という指南書などは存在しないからです。
わたしも長年疑問に感じていました。
特に中級レベルだった時には、「どうして日本語でのDELFの対策本が存在しないのだろうか?」と。
もちろん、試験の概要だけでも説明した本が出版されていないことに対する驚きは未だにありますが、今ではその意味がわかります。そんな本を出したところで、あまり意味がないからです。(売れるとは思いますが。)
わたしは、DELFのexposé上達のためには、プライベートレッスンしか道はないと思っています。
最後まで読んでいただけたら、その真意がわかるかもしれません。
どちらにせよ、できる限りの解説をしたいと思います。
発表の内容(3つのパート)
以下は、B1、B2、C1すべてに共通する内容です。
レベルによって発表時間や準備時間に差がありますので、もちろん最終的なプレゼンの内容は異なってくるのですが、エッセンスは同じです。
exposéは、3つのパートで行われます。
導入
本論
結論
この構成になります。
1、導入パート
こちらの導入パートの目的は一つ、「今からなんの話をするのか」を説明することです。
なぜなら、いきなり賛成意見や反対意見を述べ始めてしまったら、聞き手はなんのことを言われているのかうまく理解できません。だからこそ、相手が迷子にならないように、その道筋を示すのです。
どんなテキストを読み(テーマや出典などの情報も含めて)
どんな問いを立てて
どんな順序でプレゼンにするのか
これを話すことが目的です。
B1の場合は、テキストの内容要約は簡潔なものでも大丈夫ですが、逆にC1になるとそれを時事ニュースなどと絡めて話すことで、このテーマに対する聞き手の関心を刺激することも大切です。
もちろん、この段階でうまくイメージができなくても、解答例はいくらでもネットに転がっているので大丈夫です。
B2やC1を目指す人なら、ネット上の解答例を見つけることはそこまで難しくないはずです。
上記の内容を頭に入れながら、解答例などを参考にプレゼンを作ってみてください。
B1を目指す方は探すのが大変かもしれませんが、公式LINEからメッセージをもらえれば、その人が望むような解答例が乗っているページや動画をお送りします。
さらにB1受験者はいろいろな学習の困難を抱えていると思うので、こちらのLINEで、解答例付きで対策法をもっと細かく書いたPDFを無料で配布しています。
わたしのXでもたまに解答例をポストしています。
2、本論パート
次に、本論パートです。
こちらはexposéのメイン部分になります。
こちらも非常に単純です。
ズバリ、
テーズ(thèse)・アンチテーズ(antithèse)・サンテーズ(synthèse) という三部構成で話をすれば大丈夫です。
テーズ:特定のテーマについての主張を提示する
アンチテーズ:異なる視点や反論を紹介し、視点のバランスを取る
サンテーズ:最終的に両方の視点を統合し、結論や妥協案を提案する
押さえておかないといけない要素としては、たったこれだけです。
要するに、「自分の主張を説明して、ただその理由を述べたらいい」という単純なものではないということです。ポイントは必ず「逆側の視点」を入れた上で、妥協点を加えた自分の主張をする必要があるということです。
これが、フランス式の論の展開の仕方です。
加えて、それぞれの主張に対して、できるだけ「理由」と「具体例」を添えることを心がけてください。そうすることで、より説得力のある内容になります。
以下に簡単な例を示します。
(例)テレワークに関する発表の構成
1. テーズ(Thèse)
テレワークは社員の生産性を向上させ、通勤時間の削減によって生活の質を高める有効な働き方である。
2. アンチテーズ(Antithèse)
一方で、テレワークには社員同士のコミュニケーション不足や、仕事とプライベートの境界が曖昧になるといった課題も存在する。
3. サンテーズ(Synthèse)
テレワークをより効果的にするには、定期的な対面での交流や、明確な勤務時間の設定など、デメリットを補う仕組みが必要である。
このような感じの内容を話せれば問題ないです。
3、結論パート
そして最後に、結論パートです。
ここでは、今まで話した内容を「新しい追加情報を入れずに」もう一度まとめ直してあげればいいだけです。
導入で提示した問いをもう一度提示して、本論の主張をまとめ直すだけで大丈夫です。
本当に、たったこれだけです。
これらを頭に入れた上で、ネット上での解答例を参考にしながら、過去問を解いてみてください!
過去問もネット上で無料で手に入るものがあります。
難しく感じさせる点
もしかしたら、ここまで読んでくださった方の中には、「それぐらいの情報はどこかで読んだことあるけどさ、……で、どうすればいいの?」
と感じている方も多いかもしれません。それに対する結論を言います。
実際に、今すぐ過去問に取り掛かってください。
そして、それを適切にフィードバックできる人に見てもらってください。
本当に解決策はこれしかありません。
というのも、このDELFのプレゼンでは「肯定的な主張を2つ用意しろ」とか、「具体例は最低2個入れろ」とか、そんなルールは全くありません。
肯定意見3つで反対意見1つでも、主張の仕方によってはアリです。
もちろん、誰もがすぐにイメージできる主張をしている場合は、具体例は特に入れなくてもいいです。
つまり、これだ!という決まりきった正解がない世界線なのです。
だから、いくら日本語で書かれた対策本を手に入れたところで意味がないのです。
ひたすら実践あるのみ
自分の話をするのは恐縮ですが、少しだけさせてください。
わたしがこのDELFのexposéの練習に費やした時間とお金はとてつもなく膨大です。
DELF/DALFに出そうな社会問題を扱った記事を読んで、自分なりにプレゼンを作り、それをちゃんとFLEの資格を持ったフランス人講師に発表してフィードバックをもらう、ということを誰よりもひたすら繰り返しました。
DALF C1対策だけで100テーマ以上はこなしました。B1とB2の対策を合わせれば、200回以上はやっていると思います。
もし今、まだ1回も実践問題をやらずに「やり方がわからない…」と考えている方がいるのだとすれば、まずとにかくやるしかないです。
もし今、2〜3回やってみて「むずかしい…」と思っている人がいたら、全然量が足りないです。
もちろんそのために、わたしは本業に加えてアルバイトを追加してどうにかレッスン料のお金を捻出したり、フランス語に集中するためのモノ以外は徹底的に節約したりして、完全にDALFにコミットする覚悟を決めて取り掛かりました。
(フランス語のレッスン料捻出のための超極貧生活の節約エピソードを話せばそれだけで長文記事が書けるので、ここでは割愛しておきます。)
それだけの覚悟が、最終的な粘り強さを生んだと思います。
DELFの面接官もしている講師からフィードバックをもらう中で、問いの立て方を毎回修正したり、「この順番の方が説得力がある」と言われてやり直しをしたり、「その例ではうまく理解できない」と言われて何度も何度もやり直して練習しました。
公式LINEでDELFの無料相談を受け付けていたのですが、みなさん本当に実践しないです。(余談ですが)過去問をこちらから送り、無料で添削すると提案してもやらないので、「無料なのになぜやらないのだろう」と思っていたけれど、おそらく「無料だからやらない」んだと思います。
方法論を提示してもまだずっと、「魔法のやり方」を心のどこかで探している。
たぶん、この話はみなさんの望む内容ではないのだとは思いますが、あまりにも「方法論」で立ち止まっている方が多いのでこれを記事にしました。
最後に、これだけは言えますが、
DELF/DALFの4つのセクションの中でも、PO(口頭表現)は一番努力が報われる世界です。やった分は必ず力になって返ってきます。
少なくとも、C1を受験する人の中で見ると、自分はトップクラスにいわゆる「お勉強」が苦手な人間です。そんな人間でも、POだけはどうにかなります。
そして、この練習を通して身につけた能力は、必ず無駄にはなりません。
ぜひ、一度本気で取り組んでみてください!!
全力で応援しています!💪