好きなことを見つけるということ
昔のYouTube広告にあった「好きなことで、生きていく」とか、「好きを仕事に」みたいな流れがここ最近ずっとあるが、一方でこの幻想によって「好きなことが分かりません」という若者の大量発生を同時に引き起こしてしまっていると思う。
自分の好きなことはなんなんだろうと思案し続けた挙句、それっぽいものが見つかったとしても、自分よりもっと詳しかったりその楽しみを知っていたりする「本当に好きなこと」を見つけた人をSNSで見て、やっぱり自分はこれじゃないと思い直す。
そうやって自分の本当に好きなものが何なのかわからないまま、いろんなものに挑戦しては諦め、最終的にみんなが今ハマっているものに落ち着きがちになる。
私が思うに、たぶん本当に大切なことは「飽きていないふり」をする力の方なのだと思う。
どんなに好きなことを見つけても普通人は飽きるし、何事も見つけたその日からいきなりどハマりするということはなかなかない。
それでも嫌じゃないことを続けていくと、知らない間に人よりも詳しくなり成長を感じたりして、もしかしたら好きなのでは?と騙され始める。
完全に自分を騙して飽きてないふりをして、そこからおもしろい要素を無理やり見つけ出し、論理武装してまずは自分を納得させる。そうやって続けていくことによって、「自分の好きなこと」を人は育てていくのだと思う。
天職を見つけたと思われるようなアスリートだって、一流の選手は3歳とか4歳ぐらいでその競技を始めているから、これが本当に好きなことなのだろうか、などと幼少期に自問したことはないはずだ。でも、メダルを取れば、「この競技に出会えてよかった」などと口を揃えて言う。
自分の「好きなこと」は自分の中に眠っていてそれを掘り起こせるはずという固定概念を捨て、すでに落ちている「そこまで嫌じゃないこと」を拾い上げて、飽きていないふりをしながら育てていくことが重要なんじゃないかと思う。
ちなみにこうやって毎日文章を書くことなんて、もうとっくの昔に飽きている。
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