ナショナリストへの違和感

前回、「右翼的な思想を持つ人の背景」について、これから少しずつ考えていきたいと書いた。

なぜというとシンプルで、一般的に言う「右翼的な思想」をわたしが全くと言っていいほど理解できていないからだ。

だからこそ、相手を批判したいとかそういう気持ちは一切なく、どうしてそのように考えるのかという背景に大変興味がある。

まずは、なぜ理解できないのかというわたしの違和感を挙げておきたい。

.

それは大体の国において、ナショナリストは第二次世界大戦で敗戦した相手国に対して敗北感を持つことが多く、それを受け入れられずに自国の強さを信じたり、あるいは次は必ず勝つといったような願望を持つことが多い。

それに加えて、戦時下における侵略行為を正当化したり、無かったものにするという論が高まり始める。

実際日本においても、戦後の流れの中で、太平洋戦争の「敗戦」という言葉を「終戦」に置き換え、朝鮮人の「強制連行」を「徴用」と置き換えたのはそういった流れで捉えることができると思う。

ここまでは（賛成や反対という意味ではなく）十分に理解できる。

.

で、朝鮮に対する侵略行為については思うところがたくさんあるし、その責任をどうやって果たすべきか（あるいは果たす必要はないか）という議題も論点は様々である。

しかしわたしが一番疑問なのは、アジアにおけるそういった傲慢に近いほどの優位性にすがる一方、アメリカに対してどうしてここまで従属的な姿勢が貫けるのだろうか、という点だ。

先ほども言った通り、多くの場合敗戦国のナショナリストは負けた国への対抗心が強い。

でも、日本におけるナショナリストといえば、中国・韓国に対する嫌悪感はむき出しにする一方、アメリカに対しては非常に従順な姿勢を示していると思う。

中国製を使いたくないと思う一方、エンタメからビジネスから教育から政治まで、アメリカ文化に肯定的な印象を持っていることが多いのではないだろうか。

わたしができるだけニュートラルになって想像してみても、この場合、中国や韓国に対する嫌悪感と同程度に、アメリカへの嫌悪感も生じるのではないかとおもうのだが。

挙句には、「アメリカではこれがスタンダード」というように、自分の主張の権威付けまで行っているように思う。

.

（わたしがナショナリストの立場になって考えると、）おそらく愛国心を高める上でも、国際的な日本の評価は大事だと思う。

しかし、これではアメリカの政策に従っているだけの意志のない国だと思われ、戦争責任を果たさない無責任な国だと思われていると思うのだが、それが本当に彼らが望むことなのだろうか、

という疑問がある。