待望の短歌特集

雑誌は月に一冊ぐらいのペースで買っているのだけれど、今月は二冊購入してしまった。

基本的に購入するのは五大文芸誌(『群像』『すばる』『文學界』『文藝』『新潮』)と呼ばれるもので、たまにどうしても芥川賞が二作ダブル受賞してどちらも未読、かつ選評をじっくり読みたい場合のみ『文藝春秋』も買うことがある。

つまり文芸ジャンルにおいて、自分の関心はほとんど小説や評論の場合が多い。なので、俳句雑誌を買うのは少し精神的なハードルが高い。

そんなところ、今月の文學界から短歌特集が出たということで、季刊誌の『文藝』を買うことはほぼ間違いなく決まっているのに、まんまと『文學界』も追加購入してしまった。

意外とというか、予想通りというか、今月号は売れ行きがいいらしい。たぶんというか、間違いなくというか、それにはここ最近の短歌が熱いことを意味しているように思う。

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しかも、演劇のページも多く戯曲作品が載っている!自分にとって、これを買わないという選択肢は完全に消え失せてしまった!

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短歌は小説に比べて、あまりにも自由だ。

創作においても解釈においても、縛りつけるものがほとんど無い。つまり、作者や読み手の「ものを見る力」にその可能性が大きく依存していると思う。

描写したい風景はものすごく写実的なのに、その表現の方法が独特なことによって、現実が破綻していたり論理が崩壊しているような作品が好きだ。

現実と脳内世界とでイメージが永遠に揺れ動き、その揺れによって頭が痛くなる感じがいい。

しかしここで付言しておくべきことは、この揺れは決して作者の妄想なんかではないということである。この揺れは、現実を「この世界に対する自身の疑いを挟みながら」しっかりと見続けていく先にあると思うからだ。

コロナ禍でいろんな短歌本を購入してしまったけれど、もう少しお気に入りの歌人が増えたらいいなと思う。

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