企業内診断士が教える、VRIO分析で説得力を高める事業計画書の作り方

 中小企業診断士の皆川です。以前、自己紹介させていただいた通り、私は企業内診断士として主に平日夜と土日に活動しています。この限られた時間を活かして支援できる業務として、ものづくり補助金や事業再構築補助金などの補助金申請支援を行っています。平日昼間は企業での業務があり、診断士活動ができず活動できる時間に制約があります。私の周囲の企業内診断士もほぼ同じような境遇なのですが、この制約の中で活動するには補助金申請支援業務は有効な手段となります。補助金申請時に特に求められるのが内容が洗練され、かつ整合性の合った事業計画書になります。この事業計画書を作成する際にいつも私が重視しているフレームワークがVRIO分析です。
 VRIO分析とは、企業が持つ経営資源や能力を競争優位性の観点から評価するフレームワークです。詳細は以下の通りです。
Value(価値): 資源が顧客のニーズを満たし、収益を生むかを評価。
Rarity(希少性): 他社が保有していない希少なものかを確認。
Imitability(模倣困難性): 他社が簡単に模倣できないかを分析。
Organization(組織体制): 資源を効果的に活用できる組織体制が整っているかを検討。
これにより、長期的な競争優位性を持つ資源を見極め、経営戦略に役立てることができます。
 なぜこのフレームワークを重視するかというと限られた経営資源を効果的に活用し、企業が競争優位性を確立するための指針を明確化することができるからです。具体的には以下の通りです。

①経営資源の把握と活用
中小企業は大企業に比べて資源が限られるため、強みとなる資源を明確にし、それを最大限に活用する必要があります。VRIO分析により、価値のある資源や他社にはない独自性を持つ資源を明らかにできます。

②差別化戦略の構築
VRIO分析を通じて、希少性や模倣困難性を持つ資源を見極めることで、競合他社と差別化できるポイントを計画書に反映しやすくなります。これにより、顧客にとっての魅力が高まり、審査員に事業の成功を思い浮かべさせることができます。

③効果的な組織運営の促進
優れた資源を活用するためには、組織体制の整備も必要です。VRIO分析を通じて、組織の課題や改善点を把握し、計画書に具体的な改善策を盛り込むことができます。

VRIO分析を活用することで、事業計画の説得力が増し、具体的かつ現実的な戦略を提示することができます。
 以下にひとつの例として、地域特産品を扱う食品製造業のケースを挙げてみます。

【対象資源】 地域独自の原材料(地元産の希少なフルーツ)

 上記のことから、この原材料はVRIOの全ての要素を満たしており、企業にとって持続的な競争優位性をもたらす資源であると判断できます。ゆえに、この資源を活用した新商品の展開や地域ブランドの構築を戦略に盛り込み、具体的な収益目標やマーケティング戦略を事業計画書に示すことで計画の説得力を高めることができます。
 これはひとつの例ですが、このような形でVRIO分析を活用することで説得力のある計画書に仕上げることができます。皆様も事業計画書作成の際にはぜひVRIO分析に着目した計画書に仕上げてみてください。


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