マスコット総選挙を見つめ直す。
JリーグおなじみイベントであるJリーグマスコット総選挙。今年は前例のない事態が起きました。
FC東京の東京ドロンパがマスコット総選挙への辞退を公表したのです。
FC東京は以下のコメントを出しています。
このfc東京の姿勢に対して、様々なサポから(特にマスコットガチ勢)賞賛の声が見られました。
実は以前から総選挙に対し辟易していた声も多くあったのです。
私個人としてはマスコット総選挙は賛成か反対か、と言われたら賛成です。
ただ、前述していた総選挙に辟易する気持ちもすごくわかるんです。
その理由は「タイトルに価値が出てきた故に生まれてしまったものが多くある」からでは、というのが個人的な見解です。
タイトルに固執しすぎる故の弊害
マスコットが好きなサポでもさほど興味がないサポでも「自分のクラブが1番でないといけない」という考えの人は一定数います。それはまだ良いのですが、時に他マスコットやクラブに対して批判的、攻撃的になる人が出てきます。
Jリーグの理念にもある相手をリスペクトする、に大きく外れた発言は総選挙でも見る機会は沢山ありました。
この点で辟易しているサポは少なくないのでは、と思います。特にマスコット界は共存価値が強い様に感じるので総選挙の競わせる、という仕様が合わない、と考えを持つサポは多い印象です。
皆で楽しく盛り上がる、とは大きくかけ離れた現状が見えます。
特にここ数年、上位はほとんど同じ顔ぶれになっているため、努力しても順位が上がらない現状を良く思わないサポも多いはず。
決して価値を見出していないわけでない「辞退」
辞退こそしたものの、FC東京は断じてマスコット活動に力を入れてないわけではありません。むしろ活動は盛んな方です。
総選挙には出ませんが、総選挙に出れるほどの年間通した活動をたゆまず続けています。
実際にドロンパのコンテンツは多く、OFF期間に主に上げられる「朝ドロ」など動画の豊富さはJでもトップレベルではないかと思います。
他にはバースデーイベントで1分間の個別グリーティング、その中でも参加者に手書きの手紙を個別で(!)渡したり等(よく考えたらマスコットの誕生日にイベントやるクラブは少数派)実に魅力的な活動をしているなと感じます。
総選挙期間は特別なことはしない、というスタンスは実は昨年からとっていましたが、だからといって何もしていないかと言えば、断じてそうではないのです。
総選挙の価値が重くなっていること
ただ前述したドロンパのようにはどこもできないのが正直なところ。
水戸ホーリーホックの社長である小島さんのツイートで、こんなものがありました。
マスコット総選挙1位というのは、現状クラブとしては非常に価値あるタイトルとなっています。それ故に特に地方などPRの為に欲するクラブは増えてきているのと思います。
かつて開催されていたゆるキャラグランプリの第1回でも、PRの為に必死になる自治体の姿を私はとても覚えています。
またあるクラブの広報の人は「総選挙1位とそうでないときは、マスコットの仕事の依頼が全然違う」と話していました。そうなると自然と総選挙1位を目指す必要が出てきてしまいますよね。
もう一つ、タイトルに価値が生まれる事で、今までマスコットにさほど関心がなかったサポやクラブがタイトル欲しさに動く様になったのでは、と思うところがあります。
クラブがマスコット活動に力を入れてくれるのは良い事ですが、総選挙の順位を意識する故に、本来あったそのマスコットの良さを無視してまで路線変更してしまったクラブも見受けられたように感じています。
総選挙で結果を出すことがスポンサー獲得に繋がる、だからクラブを思うなら毎日投票して当然!という考えのサポも総選挙中は割と目にします。これは一見はクラブに貢献しているが、肝心のマスコットには実は目が向いていないんですよね。
「総選挙1位」にばかり目が行ってしまい、肝心のマスコットを見ていないという事態は思ったよりも深刻な問題ではないかと思っています。
誰のための総選挙、順位なのか。そこを考える必要があるのかもしれません。
みんなちがって、みんないい。
有名な詩の一部ではありますが、冒頭のFC東京のコメントにもあった『マスコットはそれぞれが尊く、それぞれがみんなのNo.1』が一つの理想ではないかな、と考えています。
冒頭で私が総選挙賛成といったのは普段マスコットを意識しないクラブやサポが、マスコットの存在を再認識する期間である、という考えがあるから。後は選手とマスコットの交流が好き、という個人的嗜好もあります(笑)
そもそも総選挙に無理にエントリーする必要もないのでは、と私は思う部分もあります。マスコット活動もそんなに予算をかけられるクラブばかりではないですし、そこまで強制するものでもない気がします。
もう一つのルヴァン杯などは実際に不参加のクラブが時々ありますし、「参加しない」がもう少し認められる状態になれたら良いなとは思います。
新たな可能性を見つけようとしているJリーグ
今年のフジフィルムスーパーカップにてマスコット大運動会、という始めての試みが行われると発表されました。(詳細は下記リンク参照)
コロナ禍でのマスコット活動は非常に難しいです。まだまだ模索しながらではありますが、やはり全国のマスコットが集まる機会を大事にしてくれているのは非常に有難いです。
この大運動会は「折角マスコットが集まる機会に何か催しをしたらよいのでは」と「新たな一番」を生み出すのでは、と思っています。
少なくとも余興である大運動会の優勝に手段を選ばず必死になるクラブはない、と思います。(思いたいです…)
変化の速さや柔軟な対応が期待できるのがJリーグの良さの一つだと思っているので、遠くないうちにサポとマスコットがメインだという本来の姿や、マスコットとの交流の主体は子供であること、が戻ることを願っています。
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