【緊急】新型コロナが疑われる患者様(人医、歯科医)・ご家族(獣医院)が来院した場合の応召義務について
新型コロナと思われる患者様やご家族(飼い主のことですが現在あまり飼い主とは言いません)が来院された場合に大学病院とかではなく街のクリニックが診察を拒否できるかについて現時点(2020年4月24日)での検討を公表します。
現在困られているクリニックが多いことからあくまでも緊急に公表した現時点の検討であり、今後訂正・修正する可能性があることはあらかじめご容赦ください。
また、判例等もないので、結論を保証するものではございません。
結論
・患者様・ご家族に問診をすることや、熱を測っていただくことは許される。
・その上で、患者様・ご家族に感染兆候(発熱、味覚障害)が見られたり、来院されている方のご家族に陽性患者いて自宅待機しているといった、「来院されている方の感染が具体的に疑われる状況」において、「医院に防護装備が存在しないという事情」がある場合には診察を断っても応召義務に違反しない。
理由
・医師、歯科医、獣医師には、基本的に患者の診療を拒否してはならないという「応召義務」(医師法19条)(獣医師法19条)がある。
・応召義務は医師、歯科医師、獣医師の国に対する義務で、患者様、ご家族に対して直接義務を負うものではありませんが、不当な診療拒否は民事上の損害賠償請求の対象になる場合があります。診療拒否に正当事由があるか否かは、人医の事例を参考にすると一般的には「それぞれの具体的な場合において社会通念上健全と認められる道徳的な判断によるべきである」と解されています(昭和24年9月10日, 医発第752号)。
人医のコロナ関連の応召義務に関しての厚生労働省の通知は以下2つです。
①令和元年12月25日通知で、感染症については、「特定の感染症へのり患等合理性の認められない理由のみに基づき診療しないことは正当化されない。ただし、1類・2類感染症等、制度上、特定の医療機関で対応すべきとされている感染症にり患している又はその疑いのある患者等についてはこの限りではない。」(コロナウイルスは2類感染症相当)
②令和2年3月11日の通知「患者が発熱や上気道症状を有しているということのみを理由に、当該患者の診療を拒否することは、…「正当な事由」に該当しないため、診療が困難である場合は、少なくとも帰国者・接触者外来や新型コロナウイルス感染症患者を診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること。」
これらの通知からすれば、本人に何ら症状が出ているなどの事情がなく、緊急事態宣言を理由に診察拒否をすることは原則として正当事由なしとされるでしょう。
ただし、発熱していたり味覚障害があったりと、来院者本人にコロナを疑う状況があり、また、ご家族に陽性者がいらっしゃるなど、二次感染が具体的に疑われる状況で、かつコロナに対する防護装備が存在しないという場合には、診察拒否することは正当な理由があるとなるでしょう。
なお、対応可能な医院への転院を周知するということをすればさらに正当理由がある事情になりますし、患者様・ご家族の為にもされると良いと考えます。