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【簡単な感想】カスガ「コミケへの聖歌」
カスガ作「コミケへの聖歌」は第12回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。
もしかしたら同人誌界隈では有名な方のかもしれない(全然そうではないかもしれない)が、自分は知らないので、そういう興味もあって買いました。
以降は初読での非常に簡単な感想です。
あまり読んでも役に立ちません。
でも新人の方の本なので、宣伝にもなるかと思ってとりあえず書いておきます。
この作品、冒頭部分がこのnortにハヤカワ書房公式で出されてます。
また、著者自身によるプリクエル漫画が書店でフライヤーとかネットのどこかに転がっていると思うので、「どんなもんじゃろ」という方はそちらをチェックしてみませう。
ここではネタバレ有り(つーてもミステリじゃないし、大したバレでも無いと思うが)で書くし、この本は面白いのは確かなのでとりあえず読みましょう!
読み始めて「なんかこういうのあったよなーそれも凄く最近」とか思った。
あ、パクリとかじゃなくて。(パクリにはちょっと近すぎる。)
アニメの「終末トレインどこへ行く?」でした。
終トレは正直、残念な出来で(別にそちらにいちゃもんつけるつもりもないのでどこがいけないとか書かないけど)、「この雰囲気でもうちょい面白くできないかノォ・・・」とじいさん思いをしていたらこの本が出ていた。
文明崩壊後のじょしこうせい!
・・・別に女子高生に属性があるわけじゃないんですが。
で、まず良いのはわかり易くて楽し気に話が進んでいく所である。
自分も確か高校生の頃、アニメの上映会とか同人誌(らしきもの)を作っったりなんかした身としては、全然凄くわかる。
うん。女子ではなかったけどね。
でもさすがにコミケというかビッグサイトとか行っても無理くねぇ?
とか思いながら読んでいくとこの娘たちの住まうムラの現状がわかってくる。
四人のキャラがそれぞれムラの各地区というか階層を代表していて、ここもわかり易い。
選評(第12回ハヤカワSFコンテストの選評が最後に載っている)には彼女らの悩みが「漫画・アニメ的な類型」だが「それをうまく利用して」物語を構築できている、と評されていた。結局ホメてるけど厳しいよなぁ。
選評と言えば神林長平さんのが一番厳しいし、難しい(少なくとも選評以上に簡潔に書くのは難しい)のでそれはちゃんと読むと良いと思うが(この作品の価値はどうかとか、選評に賛成できるかどうかは別にして、読む価値はある)、意識の変化について(この物語が)書いていくとそれはまた全然違う作品になるような気もするが、前述の終トレもこの辺に関してはしっかり失敗しているので、もしこれからこの辺の(女子学生アポカリプスもの?)に挑戦したいと言う猛者(挑戦するだけで猛者と認定させて頂きます)は意識すると良いかもしれない。
話が大きくそれたが、入り口の文化祭のメイド喫茶みたいな入り易さから、中盤からはしっかりしたアポカリプス後社会が描かれて行くのだが、こまめに文明の残滓というかコマ切れのアニメみたいなものがちりばめられてあるのでつられて奥に(物語の先に)入ってしまう。
で、毒親(コレ毒親なの?あー。そう。親なんてみんなこんなもんじゃ・・・。ハイ。わかりました・・・)との対決!・・・って事で良いのかな?うーん。これは東京実家出身の自分からすると、「田舎から出てくるってこういうパターンじゃないの?」って思うので、これが核にあたるのか、それとも四人一緒に旅立ちます!の方が主なのかと言われると四人一緒のほうなんじゃないかなぁ?と思うのですが、もしかしたらどちらでも良いのかもしれませんね。
でも自分が一番思ったのは、なんと1巻しかない!と描かれている「銀河鉄道999」について。
あれが1巻だけって悲しすぎやしなか?せめてトレーダー分岐点くらいまで・・とほぼ意味の無い事を思ったりますが、
そうじゃなくて!
昔(ワシが子供だったトキじゃから、もう半世紀以上も昔のことじゃがノォ・・)、1巻しかないとか上下巻の下しか無い本とか漫画とか、ザラでしたから!
先日も話題になっていましたが、あのガンダム(最初のガンダムです)だって、全編が販売(その当時配信なんかナシ)されたのはLD(アナログLPレコード大の銀色の円盤というロストテクノロジー)が最初で、それまでは「TV放映されるのをビデオで録画するしか無かった」んですよ!
自分何かやっと気づいて放送見たのがシャアが復活して出てくる回(結構後半)で、初回から見るまでにどれほど時間がかかった事か!
・・・という事なんで、何が言いたいかというと、この部活女子の気持ちが良くわかる、と。
で、その指摘された「意識の変化」とかは、もう1つの受賞作「羊式型人間模擬機」も読んでから書けたらいいなと思います。
まずはカスガさんの今後の活躍に期待します!
もし続きとかあるのだったら999の続きを読ませてやって下さい。お願いします。