ママブロガーからグルメブランド運営者に転身!?『SPOON DELI-OSAKA-』代表・海下さんに聞く仕事のビジョン
かつて「なにわのママ社長」というインパクトのあるキャラで、ママブロガーとして耳目を集めていたmintoさん。
ところが。
2021年現在のmintoさんは名前を本名に変え、ブロガーではなくグルメブランドの運営をしています。
かつてのブログはすべて閉鎖し、有料noteの販売も停止。
Twitterを見ても、過去をすべて否定するかのように、ブログに関するつぶやきは一切ありません。
ママブロガーとしての姿を見てきた筆者は、その変貌ぶりに驚きました。
同時に、コロナ禍で厳しい飲食業にあえて飛び込み、0からブランドを作って大阪を盛り上げようという気概に心を打たれたのです。
ブロガー活動をやめてまで立ち上げた、グルメブランドへの思いを聞きたい。
そこで今回は、mintoさん改め海下里恵さんに「ブロガーを経て見えてきた、働き方に対する考え方」や「グルメブランド『SPOON DELI-OSAKA-』に対する思い」を聞いてきました。
ブロガー時代は「数字で人を集めること」にとらわれすぎていた
―ブロガー活動とグルメブランド運営を並行する道もあったと思います。ブログを閉鎖し、過去を手放してしまわれたのはなぜでしょうか?
数字ばかり追いかけて、ビジネスの本質を見失っていた過去をリセットしたかったからです。
過去、苦労して立ち上げたブログ運営の実績を公開したら、Twitterのフォロワー数が急激に増えました。エンゲージメントも高くなり、いろんな人に「参考になります」と言ってもらえる毎日。そこで、PVや月収といった数字を出して人を集める方法が正しいと思いこんでしまったんです。
でもあるとき、経営者の先輩に
「月収は実績とは言えないですよ。一流企業の社長が月収を出して集客していますか?数字を出して人を集める方法ではビジネスは長続きしません。
数字以外のビジョンで広がっていく世界があるんですよ」
と言われてしまって。
―海下さんを一流企業の社長と同じように、一人の経営者として見ていらっしゃったのですね。
今思うと、ビジネスとは何かを教えてくださっていたんだと思います。
でも当時は、SNS上でそんなことをいう人はいませんでした。むしろ、数字を公開するほど人が集まってくる状況で。
だから、自分はどうすればいいのかわからなくなり、どんどん迷走していったんです。
本当の実績とは、顧客や世の中に対してどれだけプラスの影響を与えたか
―迷走期を経て、グルメブランドの立ち上げのきっかけである「一将丸」の大将に出会われたんですよね。
悩んでいたときに、コロナ禍で大変な状況にあった飲食関係の方々とたまたまお仕事させていただいて。そこで一将丸の大将をはじめ、飲食業の皆さんが持っている自分軸の強さに驚いたんです。
・本当においしいものを出したい
・お客さまに気持ちのいい空間を提供したい
・飲食業界全体を盛り上げたい
皆さん、売上や利益の前に、顧客や世の中に対して「どんな価値を提供したいのか」というビジョンが明確でした。
その姿勢を見て、経営者の先輩に言われた言葉の意味がようやくわかりました。本当の実績とは、顧客や世の中に対してどれだけプラスの影響を与えたかなんだと。
―“いくら稼いだか”ではなく、提供するプロダクトによる影響が実績だと。
はい。そこからは自分起点ではなく、社会を起点にしたビジネスをしていきたい。数字で人を集めるのではなく、ビジョンで人を集めたいと思うようになりました。
もちろん、過去のブログ運営でも自分なりのポリシーを持ってやってきたつもりです。元々私は看護師ですし、根拠のない健康食品をブログで紹介することも避けてきました。
それでも当時の自分を振り返ると、読者のためと言いながら結局は自分のためにブログの記事を書いていた気がします。
自分は画面の向こうにいるお客さんに対して、真剣に向き合いきれていなかったのではないか?そう思い、ブログはすべて閉鎖することに決めました。
過去に固執しない姿勢が、クラウドファンディング成功やテレビ出演につながった
―一将丸の大将と出会い、「こんな人が作る料理を食べたい、世に広めるお手伝いをしたい」と思われて活動を開始された海下さん。ブログ記事で飲食店を応援する方法もあったと思いますが、未経験ながら飲食業に飛び込み、自らブランドを作っていく行動力に驚きました。
ビジネスの目的を達成するのに、手段にはこだわっていないんですよ。
今回でいえば、「一将丸のまぐろ味噌を通じて大阪の飲食業を盛り上げる」のが目的です。その目的を達成できるのであれば、手段は何でもいいと思っています。ライティングは、ビジネスを達成する手段の一つです。他にもいろんな手段があるので、一つの手段に固執してしまうのはもったいないなと思っています。
―企業理念でも「過去の成功体験に溺れずに、捨てる勇気を持つ」ことの大切さを書かれていました。過去の成功体験や手段に執着しない海下さんだからこそ、新しい道ができていらっしゃるのでしょうか。
過去を引きずらないようにしているおかげで、今の活動に集中できているのはありますね。それに、リアルの世界で「有料note○○部販売したブロガー」なんて過去を喧伝しても、たぶん、誰にも相手にされないと思います。本質を見ている経営者ほど、見せかけの数字より相手のビジョンや覚悟を見ているんです。
過去とお別れしたことで、クラウドファンディングやテレビ出演といった新たなチャンスが舞い込んだ気がします。
▼ABCテレビ「おはよう朝日です」にも出演▼
「安さ」ではなく、自分が感動した「ストーリー」を届けていきたい
―実際にグルメブランドを立ち上げて、どんな面で苦労しましたか?
楽しみながら夢中でブランドを作ってきたので、とても大変だったけど苦労とは感じていませんでした。ただ、飲食に関してはまったくの素人ですし、本当に周りの人に助けていただいています。
―周囲の人が助けたくなるまっすぐな人柄は、海下さんの魅力ですね。
いえいえ。私は、本当にセンスがないド素人なんです。でも、こんな私でもグルメブランドを立ち上げて、初挑戦のクラウドファンディングでは約100人の方に支援していただけました。
結局、ビジネスを成功させるのに、SNSで数字を出して「すごい自分」を演出する必要はなかったんだなと気づけました。
―「SPOON DELI-OSAKA-」の“美味しいを超える感動”作りで大切にしていることを教えてください。
生産者それぞれのストーリーやエピソードを大切にしています。
元々は、一将丸の大将に惹かれて「こんな志がある人の料理を食べたい」と感動したのがきっかけでした。
そのときの感動は、料理が作られるまでの過程にあります。
私が感動した過程を一つのストーリーとして、もっと多くの人に届けていきたいと思っています。
―最後に、「SPOON DELI-OSAKA-」が目指す目標をお聞かせください。
大阪と大阪で働く飲食業の人たちの魅力を伝えられるブランドに育てたいと思っています。実は先日、macaroniさんというメディアで弊社の「焦がし鮪のおかず味噌」を取り上げていただいたんですよ。
DEEN&DELUCAさんや久世福商店さんと並んで紹介していただいたことに、胸が熱くなりました。
紹介されているブランドのように、もらった人が笑顔になって、食卓にも笑顔が増えるブランドにしたい。
生産者のストーリーが、個々の食卓でのストーリーにつながるようなブランドにしていきたい 。それが今の目標です。
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◆海下さんの活動記録note
◆SPOON DELI−osaka−のウェブサイト
◆クラウドファンディング「Makuake」の活動ページ
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