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能動経済・私の哀れむべきリアルと「雀蜂」貴志祐介

 貴志祐介作品にハマって2年ぐらい経つだろうか?5冊目ぐらいだと思う。やっぱりミステリーってイイなあと思った。
 ラスト25ページのどんでん返しは、裏表紙の説明書通り凄かった。
 読みながら、「これに京アニの青葉のメタファーが加わってたら最高だったな」と思ったが、読み終えて初版年月日を見たら平成25年だったので無理だ。

 小説家を目指し、一度は最終選考に残った経験があるが、その後は平凡な人生で、しかしその平凡な人生を受け入れられず狂ってしまう老人は、京アニの青葉真司に重なるし自分とも重なる。
 ミステリーというよりもホラーじみてくる。
 小説家が出てくるホラーといえば、スティーブン・キング原作の「ミザリー」がある。
 寂しい独身の中年女性が雪道で遭難した男性小説家を救助するのだが、偶然にも女性はその作家の小説の大ファン。自宅で執筆に協力するのだが小説のラストが気に食わず、癇癪を起こした中年女性はとうとう作家を・・・という怖い話。
 こちらも私にとってはただのホラーと思えない面があり、Xで昔からご贔屓の作家に引用リプライでダダ絡みした時は、自分がミザリーおばさんになった気分になり落ち込んだりする。(町山智浩さん、いつも本当にすみません)

 売れっ子作家の貴志祐介氏には、このような惨めな主人公は、ただのホラーの題材に過ぎないのだろう。
 私にとっては「下手するとそっちに行ってしまう」身近で怖い、哀れむべき「リアル」なのだが。