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【恐怖!】調達担当者が外国政府から訴えられる日

日本のメディアはほぼ報じていませんが、先日、コンゴ民主共和国がアップルを刑事告訴しました。

まず前提知識としてコンゴ共和国とコンゴ民主共和国は別国です。話題になっているのはコンゴ「民主」共和国のほうです。同国では武装勢力やテロ組織が存在し、多数の国民が犠牲になっています。

コンゴ民主共和国からスズやタンタルなどを購入すると、それらの反社会勢力に資金源を渡すことになります。だから「紛争鉱物」と呼び、コンゴ民主共和国から鉱物を調達しないよう世界中の企業が取り組んできました。

そして、コンゴ民主共和国がアップルを刑事告訴? 私が第一報を聞いたとき、「私たちの国はそんな悪い国ではないから、アップルが調達を避けるのは不当である」とコンゴ民主共和国は主張したいのだと思っていました。

しかし事実はまったくの逆。

よく報道を見ると「アップルは、コンゴ民主共和国から鉱物を調達していないといっている。しかしそれは嘘だ。コンゴ民主共和国の犯罪組織が運営している鉱物を、違う国を迂回して調達している。だからアップルは犯罪に加担しているようなものだ」っていう主張だったんですね。

おいおい、他国の企業を訴える暇があんだったら、自国の犯罪組織を早く取り締まってよ……と思うでしょうが、カオス状態で政府も手を焼いているのは知られています。

アップルは反論。長年、クリーンな調達網をサプライヤに要求してきました。コンゴ民主共和国の問題も、同国の鉱物を回避するよう強く要求してきたからです。

アップルが鉱物の調達で不正行為に手を染めてはいないでしょう。しかしねえ、アップルにとっても、完全に把握していないと思うんですよね。ティア1ならまだしも、ティア4とかティア5の階層になっちゃうともはや追求不可能、というのが本音ではないか。

話は変わるようで変わりません。

昨年、米国のADS社が衝撃的なレポートを出しましたね。米国内で販売されている衣料品は、中国のウイグルの綿花等を使用を禁止されています。しかしADS社によると、米国で販売された衣料品調査すると、実に19%に上ったと発表​しました。

これは衣料品の繊維を科学的に解析し、同位体検査によって生産地を当てるというものでした。もうそこまでやるのかって感じ。私は甘いかもしれませんが、アパレルメーカーが意図的にウイグル産を隠したと思いません。たぶん把握できていないだけでしょう。

しかし、アップルへの訴訟と同じく非常に示唆的な話だと私は思います。これまで調達網の把握とは、BCP強化の意味でした。ただこれからは人権だったり地政学だったり、リスク軽減のための意味をもつようになります。

各企業の調達部門が外国政府から訴えられたり、NPOや第三者の追求を受ける時代なのです。そんな時代がいいかどうか判断を保留しますが、私たちが次のステージに突入したようです。

これからも調達業務の最新の動向をお伝えします。​

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