NVIDIAが称賛するイーロン・マスクの調達術
NVIDIAってご存知ですよね。時価総額が世界一の半導体企業と説明しておきます。AI時代に必要な半導体であるGPUを設計している企業です。
GPUの生産自体は台湾TSMCで、両者(社)は現代を象徴する企業といえますよね。
先日、NVIDIAが自社のプレスリリースで発表していた内容に興味をひかれました。そこではテスラやSpace Xを経営するイーロン・マスクのもう一つの会社であるxAIが同社のGPUをなんと10万個も購入してデータセンターを始動したとします。
このxAIとは生成AIの会社です。GPUについてあまり詳しくない方は実感がないと思います。ただ、10万個って凄すぎる数字なんです。NVIDIAのGPUとして有名な同社のH100なる型式を調達するようですが、これは数個でも入手が困難です。
さらにNVIDIAのプレスリリースではデータセンターがなんとわずか122日で始動したとされています(!)。通常であれば、数年かかるレベルです。しかも驚愕することに、イーロン・マスクは20万個規模もリニューアルを予定しているとのこと。
もしよかったら
「NVIDIA World’s Largest AI Supercomputer, Built by xAI」
で検索してみてください。
こんな異常な速度で経営したら、日本企業は追いつきませんよ。
それでどうやってイーロン・マスクが困難な調達部材を入手するかなのですが、きわめてシンプルです。
(1)ひたすらトップ交渉
(2)買う側の価値を高める
(3)スピード
(1)ですが、イーロン・マスクは調達部門に任せるだけではなく自身がNVIDIAであるCEOジェン・スン・フアン(白髪で、革ジャンのあの人です)に直接に納期交渉を重ねていたようです。
すごいですねえ。たぶんイーロン・マスクは直感的に、調達業務が企業のなかで最重要だとわかっているのでしょうね。というのも、生産できなかったら、そもそも売上が立ちませんからね。
ところで、コロナ禍で各企業にインタビューしたのですが、各調達部門長の方は「取引先のもとに社長が出向いてくれることはない」と述べていました。なるほどねえ。調達が大切なら、トップが直に交渉してもいいですよね。その意味でもイーロン・マスクの優位性があるということでしょうか。
次に(2)ですが、そもそもNVIDIAがプレスリリースで発表するくらい、調達してもらう価値があるということです。つまりは買ってもらうほど、NVIDIAの宣伝につながるわけですね。
これは調達戦略といっていいかわかりませんが、イーロン・マスクは自社の企業価値にどれだけNVIDIAのGPUが直結するかを喧伝してきました。
またもっとも見習いたいのが(3)です。現在、日本企業で数ヶ月をかけて検討されている案件があると思いますが、初日に決めても数カ月後に決めても結果は同じではないでしょうか?極論でいえば時間をかけるだけ無駄なのです。
データセンターを設立する際に「GPUがあっても電力がないので意味がない」という社内の反対意見があったようです。たしかに、動かないとダメだよね……と周囲が思っているとイーロン・マスクはその場で電話をかけて移動式の天然ガスタービンを用意して電源を確保したようです。
このスピーディーさ! これこそがこれからの時代を生き抜く秘訣であるのは間違いありません。というのも、考えたって意味がなくやってみないとわかりませんからね。
これからは「中途半端に頭が良い人の終焉」の時代ではないかな。頭がいい人はすでに、試行錯誤をやっています。どの施策が最大の効果を生むかトライしています。そして世の中の頭が悪い人たちもとにかく行動量を増やしています。でも中途半端に頭が良い人たちは何もやっていません。
ここで提案です。
ディスカッションとか議論とか資料作成とか熟議とか、そんなのはどうでもいいですから、とりあえずやってみませんか? 調達業務でもっとも重要なのは実践することです。
私がいつもお話しすることです。100人が私の講演を聞いているとします。私が述べる調達改革を実践に移してくれるのは20人。さらに、その改革への試行錯誤を継続してくれるのは20人の2割だから4人くらいだと思います。
100人中で4人。たった、4%くらいしか成功者になる対象者はいないのです。なので「4%に入ったら調達業務で成功するよ」と私は説明します。しかし、逆にいえば、たった4%に入るだけ。
ぜひ、みなさん爆速決断を進めていきましょう!早く決めるだけで勝てるんですから、最高の時代ですね。
今日の話は上記で終わりです。ところで私は日本企業の調達人材のノウハウを強化する教材を販売しています。下をご覧ください。
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<以下、追伸です>
↓イベントを紹介します。
●公取委「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」+
「価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果」対策セミナー
2025年1月28日(火)10時00分~12時00分
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検証するセミナー」
2025年1月28日(火)13時00分~15時00分
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●調達業務基礎を一日で徹底的に学ぶセミナー
2025年2月14日(金)10時00分~15時00分(途中休憩あり)
https://www.future-procurement.com/event/tokyo29/
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2025年2月21日(金)10時00分~12時00分
https://www.future-procurement.com/event/ddemission2/
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2025年3月7日(金)10:00~12:00
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2025年3月8日 (土)13時00分~17時00分
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