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中居正広さんとフジの事件から調達人材が学べることは?
まずは紹介です。
2025年の調達トピックをまとめた『The調達2025』発表しましたので、現時点では無料でダウンロード可能です。
https://www.future-procurement.com/booklet/theprocurement2025/
では、本題に移ります。
私は10年間ほど全国テレビ放送の朝の情報番組に出演しました。現在もローカル局(福岡)に毎週ずっと出演しています。私は記者ではありません。ただ番組に出演して多くの学びがありました。
たとえば記者会見。プロのどんなノウハウがあるでしょうか。
プロの記者から教えてもらったのは、記者会見は回答者の「時制」に気をつける点です。たとえば「今はそんなことをしていない」と回答したら「じゃあ、昔はあったんですね」と質問するわけです。そうやって事実をあぶり出していく。
「昔は考えられなかった」と回答したら「では、現在は考えられるということですね」という感じ。
そしてもう一つプロの記者から聞いたのは、「第三者委員会の設置で明らかにする」とか「現在、調査中」といった言葉が登場したら「御社は加害者なのか被害者なのか。事件についてどう考えているか教えてください」と問え、というノウハウです。
現在、フジグループと、女性元社員、男性元タレントのトラブルが日本中を大騒ぎさせています。記者会見でロクでもない質問が話題になりました。
上記の法則でいえば、時制に注目して質問をした記者は、ほとんどいませんでした。また「結局、フジは被害者なんですか? また、女性元社員は被害者なんですか?」と質問し「そうです」と回答があったら「じゃあ男性元タレントは加害者ということになります。詳細は第三者委員会が出すでしょうが、フジとしては事態を、そう考えているわけですね」と質問したプロ記者は一人だけでしたね。加害者と被害者の構図ならば損害賠償をすることになります。
次に調達人材にとっての意味について。
調達人材にとって企業のガバナンスを学ぶ機会になったと私は思います。これはフジだけの話ではなく企業全般の意味です。まずニュースのコメントを見ていて、あんまり理解していない人が多いと感じました。原理原則では株主が取締役を選びます。そして取締役が代表を選びます。それで、取締役会が決めた経営の事項を実行するのが執行役員以下です。これが「経営と執行の分離」ね。
だからほんらいは取締役と執行役員を兼ねないほうがいいんです。その観点からサプライヤの経営を見てください。執行役員は社員のなかでもっとも偉い人であって、取締役とは違いますからね。経営をミスると訴えられるのも取締役です。
記者が取締役に辞任を迫るのもいいんですが、まずは株主の認識を把握したほうがいいでしょう。
またフジの某氏のように影で操っているといわれる取締役がいます(趣旨ではないので固有名詞は書きません)。ただしそもそも影で操れるのがおかしくて、それを防ぐために取締役の半分は社外から任命するようになっています。
フジの某氏のようなひとは、どんな世界にもいるでしょう。きっとみなさんの会社にもいるんじゃないですか。問題はそこじゃなく、社外取締役が機能していない点です。事実ならば証券取引所が堂々と批判し、株主も堂々と責任を問えばいい。
私はフジHDの株主ですから、こういう権利があるでしょう(笑)
話を進めます。さきほど企業の統治形態を説明しました。そこで、株主との関係、経営と執行が分離して企業が存在することなど説明しました。
よく品質不正が起きると、現場の方が「こんな厳しい条件では検査をごまかすしかなかった」と説明するケースがあります。これは、おかしな話で、そもそも当該条件で現場が生産できなかったら執行役員が取引先に契約の更新を申し入れるのが順番です。
それでも不具合が頻発しビジネスが成り立たない場合は、取締役会が事業撤退等を検討することになります。
また調達担当者から「設計者の協力を得られない」ってグチを聞くケースがあります。もし調達が経営の決定事項を遵守しようとするにもかかわらず設計者が遂行しないんであれば、それは設計の執行役員を訴えることになるでしょう。職務怠慢だと。もし社員持ち株の制度があるならば株主総会で言ってみたら。
そして執行役員を指名した取締役にも責任があるといえばいい。
もちろん、調達部門が設計部門を株主総会で糾弾しろっていうのは冗談ですよ。だけれどまずは原理原則を知っておくのが重要です。調達人材は、メディアの不祥事をきっかけに企業統治とか仕組みを把握しておきたいものですよね。
とくに近年では、調達部門がコンプライアンス、ガバナンス、また透明性の確保を叫んでいます。「リスク管理・法令遵守・戦略的な調達の三位一体の強化」ともいうべき理想を実現するのであれば、調達人材は原理原則の理解が重要です。
もっといってしまえば、つねに原理原則を知る者が生き残ります。すべては原理原則と基本と基礎を学ぶことにつきます。調達人材に原理原則と基礎をお伝えしていきたいと私は願っています。
<以下、追伸です>
↓イベントを紹介します。
●調達業務基礎を一日で徹底的に学ぶセミナー
2025年2月14日(金)10時00分~15時00分(途中休憩あり)
https://www.future-procurement.com/event/tokyo29/
●CO₂排出量の算定指導セミナー
2025年2月21日(金)10時00分~12時00分
https://www.future-procurement.com/event/ddemission2/
●「はじめて学ぶサプライヤとの型取引の適正化」セミナー
2025年3月7日(金)10:00~12:00
https://www.future-procurement.com/event/toolprocurement-2/
●日本の調達部2025年春 大阪開催
2025年3月8日 (土)13時00分~17時00分
https://pedosaka2025.peatix.com/view
→ついに大阪開催が決定しました!
●SDGs・サステナブル調達セミナー
2025年3月14日(金)10時00分~12時00分
https://www.future-procurement.com/event/sdgssusprocurement/
●コスト削減の仕組み構築セミナー
2025年4月16日(水)10時00分~12時00分
https://www.future-procurement.com/event/20251/
●はじめて学ぶ「独禁法」「下請法」の入門講座
2025年4月16日(水)13時00分~15時00分
https://www.future-procurement.com/event/ftc3/
今後のセミナー予定については新たに公開しました!
https://www.future-procurement.com/2025semi.pdf
またお申し込み後すぐにご覧いただける教材も多数あります。
●「はじめて学ぶサプライヤとの型取引の適正化」セミナー
●CO₂排出量の算定を取引先に指導できるようになるセミナー
●「労務費の適切な転嫁のための価格交渉」対策セミナー
●ChatGPTの調達業務への活用
……などなど。下のURLからご確認いただけます。