イーロン・マスクから学べるコスト削減手法とは?
先日、イーロン・マスクの近くで働いた経験を書いた『イーロン・ショック』という本を読んでいると、声を出して笑ってった箇所がありました。
会社を辞める意思表示をした瞬間に、会社のシステムにアクセスができなくなると説明した箇所です。
<退職願のフォームを書いて送ると、その瞬間に切られます。フォームを送るとその場でアクセスが切られるなんて、サブスクの退会みたいです。Netflixでさえ「本当にやめますか?」と聞いてくれるのに>
この人手不足の時代にすごいですねえ。人材の流動化が米国企業の強みではあるはずです。しかし、それが極端すぎて笑いました。
ところで興味深いのは、短期間ですぐに戻ってくる社員がいる事実です。辞めるのも簡単だし、復職するのも簡単。必要に応じて年俸が決まります。そりゃ米国の個人年収は上がり続けるわけですね。
意外だったのは、イーロン・マスクがコスト削減に熱心なこと。
本書でこのように書かれているわけではありませんが、私が強引にまとめると、イーロン・マスクのコスト削減手法は次の3つです。
1・即断即決
報告は1分以内。それ以上は時間のムダだから話さない。また資料は作る必要がない。生データで議論する。迷っている時間があれば現場に行って、責任者と話して、その場で即断即決する。社員らの業務スピードをあげてコストを大幅圧縮する。
2・他社とか前例を気にしない
他社の導入事例とかは関係がなく、必要があれば実施し、不要なら実施しない。「こういうルールです」とか「こういう前例です」と言い訳は許されない。時代が変わり、ルールが無意味ならその場で廃止を決める。日本企業の口癖は「他社の状況は?」だが、正反対の態度といえる。ムダを徹底的に排除する。
3・とりあえず支出を止めてから考える
外部への支出項目について、一つひとつ吟味したら、発注している部門は「必要だから削られない」というに決まっている。そこで、まずは外部支出をすべて止めてみてから支障が出るか考える(笑)英国では、オフィスの賃料も支払いをいったん止めたという(笑)
教科書的にまとめれば、1と2は生産性、3は調達費の削減ということになるでしょうか。それにしても3は極端すぎて苦笑するしかないですね。
これまでずっと「こんな豪華な仕様である必要はあるのか」とか、「ムダな支出があるんじゃないか」とか、調達部門やユーザー部門が議論していますよね。それをまずは止めてみる(笑)
もちろん、これはイーロン・マスク流の手法であり、簡単に真似ができるものではないと私も理解しています。しかし彼は当然のことを教えてくれているように思うのです。
「同じことをやっていたら、同じ結果になるだけ。違う結果や成果を望むなら、これまでとは違うことをしなければならない」
ここで話を飛躍させます。現場の調達担当者と食事すると想像以上に「このままじゃいけない」と思い、現状を打破したいと願う人が多いと驚きます。でも現実的には旧来の方法を踏襲していたり日常を繰り返したりしているだけ。それじゃ大きな変化は起きません。
別にイーロン・マスクを模倣しろ、というわけじゃないんです。
それより、現在の手法を変えてみよう、と考えるキッカケになればいいと思います。変えてうまくいかなかったら、その経験がたまります。キャリアとしても成長するでしょう。
これからAIが活用されはじめます。他の人材との差別化は経験と失敗の数しかないのですから……。
私も、セミナーやコンサルティングの場面で、できるだけ多様な話をして、みなさんに刺激を与え続けたいと思います。
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