あまりにも悲しいことがあったので、本音を書きます。
先週、あまりに悲しいことがありました。1000人以上が集まるイベントがあり、そこに登壇しました。そこで私は渾身のギャグを申したのですが、まったくウケませんでした。
そのギャグは「製造業はフィジカルでプリミティブで、さらに改善というフェティッシュな行為が重要だから、仕事が属人的になってしまう」というもの。
この文章は4日の夜に書いており、この数日、後悔をしています。いま思えばドラマの『地面師』を見ていないとわからないか(笑)
なんのことかわからない方、忘れてください。
ここからが本題です。
その製造業では、もっと悲しいことに私の予想が当たりましたね。先日、フォルクスワーゲンのドイツ工場で大きなリストラが決行をされると報じられました。ずばり電気自動車に賭けすぎていたため減少に耐えられなかったためです。
あまり報道されていませんが、ドイツでは電気自動車の購入に対し莫大な補助金を渡していました。財源は新型コロナへの予算を横流ししており、裁判所がそれを違憲とみなし停止したんです。
各企業の調達・サプライチェーン部門も脱炭素や電気自動車シフトを大幅に進めようとしたところ、急ブレーキがかかった状況です。挙句の果てに2035年にEUが打ち出したエンジン車の原則禁止をも取り消す勢いです。脱炭素の原則すらもどうなるんだか。
調達・サプライチェーン部門はサプライヤにたいしてディーゼルやガソリン、ハイブリッドの対応をも再依頼する可能性があります。以前「企業は政治を信じすぎるな。コロコロ変わるから、調達戦略は時流を鵜呑みにせずに決めたほうがいい」という人がいました。正しかったんだなあ……と思います。
しかし、あれだけ環境、環境、といっていたのに中国製電気自動車に押されて自国や産業がダメになった瞬間に手のひら返し。ひどいもんですよ。理念が先ではなく、結局は自国が優位になるように、誘導しているだけのように思います。
ドイツのFDP(Freie Demokratische Partei)いわゆる自由民主党は、フォルクスワーゲンのエンジン車禁止戦略を批判。もうそれなら、最初っから言ってくれよって感じですね。
このメールマガジンや私の教材をご覧いただいた方はご存知の通り「温暖化効果ガスの対応については、盲信せずに、あくまで自社のPRと割り切って対応したほうがいい。結果として世界がよくなるかもしれないから」という偽悪的な立場でした。
だから私は高度な二枚舌が重要ではないかと主張してきました。
いや、しかし、これは狡猾な国や企業からすれば当然ことですね。欧州の政治家は言っていることがコロコロ変わり、前言撤回なんて当たり前。日本の各社は真面目すぎるから、もっと適当なくらいに考えておいたほうがいいと思うんですね。
これフォルクスワーゲンだけの話ではありません。きっと経営陣は政府の方針に右往左往したと感じているでしょうし、その下の調達部門は経営陣からの指示に右往左往したと感じたでしょう。
少し話を変えるようなんですが、「会社とか組織に裏切られた」っていうひとがいるんですね。「あれだけ信じていたのに」ってね。だけど国も会社も組織も何でもやるっていうのが私の印象です。
だから、あんまりこういうことをいいたくないんですけれど、若い読者は何かを信じすぎないほうがいいですよ。日本の検察の異常な取り調べが明らかになっていますが、他人を犠牲にしても保身のみを考えている人が大半です。
誰かが突然に態度を急変させたり、裏切ったりしても、それも人生かな、と思うくらいが調達人材としてはちょうどいいと思います。
調達人材とはシンプルにいえば、自社とサプライヤをつなぐ最高のコーディネーターではないでしょうか。上位者の戦略のブレによりそのコーディネートにふらつきが生じても、開き直るくらいの諦念が必要なんだと思います。
さらに上位者の意見が変わったら「おっ! 経験値が増えるな」と思って物事に立ち向かいましょう。私も物事には執拗に立ち向かう気概です。
ここで結論です。
おそらくこれからもみなさんの元に理不尽な方針転換がやってくると思います。それでも意見するべきことは意見しつつ、とはいえ、変化する時代のなかで、時代に追随する経験をしているのだと思い仕事からなんらかの学びを得たいものです。
<以下、追伸です>
↓イベントを紹介します。
●調達業務基礎を一日で徹底的に学ぶセミナー
2024年12月4日(水)13時00分~17時00分
https://www.future-procurement.com/event/tokyo28/
●調達業務講師育成講座(定員まで残1人)
2024年12月16日(月)19:00~21:00
https://www.future-procurement.com/event/procurementteacher/
今後のセミナー予定については表にまとめました。
https://www.future-procurement.com/2024semi.pdf
また下はお申し込み後すぐにご覧いただける教材も多数あります。
●「はじめて学ぶサプライヤとの型取引の適正化」セミナー
●CO₂排出量の算定を取引先に指導できるようになるセミナー
●「労務費の適切な転嫁のための価格交渉」対策セミナー
●ChatGPTの調達業務への活用
……などなど。下のURLからご確認いただけます。
https://www.future-procurement.com/product/
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