調達人材のリスキリング成功ポイント「これだけ」
*今回の記事ですが、よければ同僚の方に転送ください。
「なんでメモなんて取るんや! 心で覚えろ!」
むかし芸能人の方と飲んでたとき、その会話内容の面白さに驚愕をしてしまいました。さっそくメモを取ろうとすると怒られました。芸なんてのは学ぶものではない。感性で作り上げるものだ、と。
そこで私はトイレに行ってスマホにメモをしました。頻繁にトイレに行くものですから、その芸能人は「あんた腎臓が悪いちゃうか。今度、医者に行ったほうがええで」と勧められたのは思い出です。
ちなみに、この方への反論ではありません。ただ日本というのは、「技は見て盗め」とか「感性を鍛えろ」といった非常に不明瞭かつ曖昧な教えがあまりに常識になっています。
それにたいして、欧米や他のアジアは、人材の流動化が当然なのでなんでもマニュアル化されています。またメンバーシップ型という組織に人を付ける方式も、日本と韓国の一部しか残っていません。
米国のコメディアンのクリス・ロックがいますね。ウィル・スミスから平手打ちされた人、と紹介したほうがいいでしょうか? 私はクリス・ロックにずっと注目しています。というのもメチャクチャ面白いんです。90分、ずっと笑い転げます。
しかも、関連書籍を読むと、クリス・ロックは「感性の人」の真逆なんです。どうやったら笑いが起きるかを分析して、練りに練って舞台にあがっています。慣れや経験じゃなく、方法論なんです。
このところ私はYouTubeをやっています。そこでびっくりしたことがありました。なぜだか再生回数が多い動画ってありますよね。そのタイトルと、まったく同じタイトルの動画がたくさんあり、かつ、再生回数も多いんです。
え? 模倣するだけ? びっくりしました。
外国人の動画配信者のなかには、人気動画をチームで分析したり、似た動画を作ったりしている人がいます。誤解しないでください。私は著作権を侵害しろとかコンテンツを盗めとはいっていません。すでに上手くいっている人の分析と模倣をしろ、という主張です。
ここから話を調達業務に移します。
ここ数年で「リスキリング」が話題です。これまでと異なる分野の学習により、新しい知識やスキルを習得するものです。しかしこれがまったく各社とも上手くいっていません。社員にオンライン講座を用意したり、研修の補助金を出しても、いまいち成果が出ない。
理由は明確です。調達組織が部員にたいして今後の進んでいく事業モデルやあるべき人材の姿を提示していません。こういうスキルや能力が重要になってくると伝えずに「カタログだけ用意しました。あとは、ここから探してなんか勉強してください」といっても社員は困るだけです。
世界的に見ても、会社員の歴史は200年ぐらいしかありません。寿命が長くなって、ずっと働く必要があり、さらに複数のスキルを習得せなばならない。でも組織はモデル像を提示してくれない。
そこで私からの提案です。はい「模倣」を使いましょう。まわりの社員で「このスキルに関しては100人に一人の逸材だな」という方がいますか? そんな人を二人用意してください。
その二人に、どうやってそのスキルを習得できたのかひたすら質問してください。会計、原価計算、プレゼン、リーダーシップ、交渉さまざまありえます。経験によって身についたのであれば、どんな経験が必要なのか、を聞きます。そして行動や習慣もその人を模倣していきます。
1000人に一人の逸材にはなれなくても、必死にがんばったら、100人に一人の逸材にはなれます。またそれを二つ掛け算したら100かける100=1万人に一人の逸材にはなれます。
そのために会社や組織の制度を「使ってやる」という態度が必要になるのだと私は思います。
この文章を読んでいる人は、これから60年から20年くらい働くことになると思います。でも模倣で道が拓けるとすれば、なかなか勇気が湧いてきませんか?
感性や慣れ、経験ではなく、方法論で未来を。1万人に一人の逸材となったあなたといつかお会いしましょう。
<以下、追伸です>
なお、価格査定、交渉など、私が講師を務める語るセミナーを開催しますので、ご参加ください。
↓イベントを紹介します。
●交渉力基礎徹底習得講座
2024年11月7日(木)10時00分~12時00分
https://www.future-procurement.com/event/negoprocurement2/
●調達業務基礎を一日で徹底的に学ぶセミナー
2024年12月4日(水)13時00分~17時00分
https://www.future-procurement.com/event/tokyo28/
今後のセミナー予定については表にまとめました。
https://www.future-procurement.com/2024semi.pdf
また下はお申し込み後すぐにご覧いただける教材も多数あります。
●「はじめて学ぶサプライヤとの型取引の適正化」セミナー
●CO₂排出量の算定を取引先に指導できるようになるセミナー
●「労務費の適切な転嫁のための価格交渉」対策セミナー
●ChatGPTの調達業務への活用
……などなど。下のURLからご確認いただけます。
https://www.future-procurement.com/product/
ご感想は
info@future-procurement.com
までご連絡ください(@を小文字に変換ください)。