漫才師2万人と倒産1万件。調達部門の土下座戦略とは?
二つにわけて説明します。
①M1と企業倒産から見る現状認識
年始早々からM1グランプリの話をします。ご存知の通り、漫才のグランプリ番組です。2024年は20回目でした。私が驚くのはこのグランプリに参加する若手の漫才師の数です。
1回目は1603組でした。そして20回目は1万330組に急増していたんです。これは示唆的でした。
帝国データバンクによると、2024年に倒産は一万件を突破する見込みで、これは2013年以来のことです。さらに倒産とは別に廃業も相次いでおり5万件を超える見込みです。(厳密ではありませんが、倒産は債務の支払いができずに法的処置を受けるものです)
そして倒産も廃業も人手不足によるもの、後継者不足によるものが急増しています。若者は製造業や建設現場、サービス業や介護には行きたくない。M1の決勝には行きたいけれど地味で大変な場所に興味はないってことです。
おそらく誰も指摘していませんが、すごい国だと思いませんか?M1には出たい。でも現場では人手不足だし企業の跡継ぎもいない国、ジャパン。
ところで、これからはインバウンドだそうです。
インバウンドは最後の望みで、インバウンドのお客は年に8兆円も使ってくれる、とメディアが騒いでいます。しかし、日本のGDPは500兆円もあります。インバウンドの8兆円は売上で、GDPへの寄与度はもっと低くなります。
インバウンドより自動車や機械、エネルギーに力を注ぐべきなのは明らかです。そりゃ自動車の工場なんて56秒で数百万円のクルマが一台ずつできます。インバウンドなんて相手になりませんよ。
②調達現場に起きていることと対策
しかし、誤った情報が流布した結果、現在に何が起きているか。
簡単にいうと現場での深刻な人手不足です。そしてホワイトカラー人材の余剰です。きわめて不思議ですが「現場がまわらない」のに「働かないおじさんがたくさんいる」が両立しています。働かないおじさんは現場に転職することはなく、さらに組織から飛び出すと食えないから、なんとかしがみつく。だから、事務は余っていて、現場の数は足りない。
その結果、この2年間はサプライヤの事業撤退が相次いでいるはずです。若者が現場で働かない。低利益事業は続けれられない。調達部員は「事業をやめないでくださいよ」と説得するルーチン業務に忙殺されるようになりました。
そりゃそうですよ。ただでさえ人不足なのに、「現場で働くより、インバウンドが儲かる」やら「ユーチューバーのほうが儲かる」と聞いたら誰だってサプライヤの現場で働きませんよ。不幸な予想ですが、製造、発電、建設の領域は技術伝承が進まずに大変なことになると私は思います。
とはいえ私たち調達部員は環境追随業ですから、社会がどうであれなんとか乗り切るしかありません。私は現場の調達人材と話し続けています。サプライヤに選んでもらえる調達部門になるしかない。しかし、絶対的な手法はありません。ただしサプライヤとの対話の機会を増やしていくことです。
これは値上げしろっていうわけではありません。たとえばデンソーのみなさんがやっているようにさまざまな訴求性の上げ方があると思うんですね。私はデンソーの事例に驚いたんですが、サプライヤ工場の省エネ指導とか技術支援、さらにはカーボンニュートラルにつながるショールームの公開までしています。
自社と取引をしたら、利益があるとサプライヤに思ってもらう。
2025年は自社に売ってくれるよう、自社の訴求性をあげる年になるはずです。いかなる手段を使っても、まずはサプライヤからの安定調達を目指す。そのために、できることを考えて実施する。
土下座してもいいから安定して調達してきましょう。
調達のみなさんへ。単に伝票を右から左に流すだけではなく、難度の高い仕事をしたいと願っていましたよね。少子化かつ事業撤退の相次ぐなかで、自社の訴求性をあげる高度な仕事です。これは気合をいれてやりましょう。
今日の話は上記で終わりです。私は本気で調達人材のレベルを向上ならびに強化する教材を販売しています。下をご覧ください。
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<以下、追伸です>
↓イベントを紹介します。
●公取委「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」+
「価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査の結果」対策セミナー
2025年1月28日(火)10時00分~12時00分
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●(2025年版)「取引先からの値上げ申請額の妥当性を真面目に
検証するセミナー」
2025年1月28日(火)13時00分~15時00分
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●調達業務基礎を一日で徹底的に学ぶセミナー
2025年2月14日(金)10時00分~15時00分(途中休憩あり)
https://www.future-procurement.com/event/tokyo29/
●CO₂排出量の算定指導セミナー
2025年2月21日(金)10時00分~12時00分
https://www.future-procurement.com/event/ddemission2/
●「はじめて学ぶサプライヤとの型取引の適正化」セミナー
2025年3月7日(金)10:00~12:00
https://www.future-procurement.com/event/toolprocurement-2/
●日本の調達部2025年春 大阪開催
2025年3月8日 (土)13時00分~17時00分
https://pedosaka2025.peatix.com/view
→ついに大阪開催が決定しました!
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2025年3月14日(金)10時00分~12時00分
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