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御社の調達でコンプラ違反がありました。ご返信ください。

ネットフリックスのドラマ「地面師」を観ましたか? 間違いなく今年の最高のドラマですね。主人公が土地の持ち主になりすまして多額の金を盗むストーリーで、あまりに面白い。

私は、ドラマの大根仁監督がパーソナリティを務めるTBSラジオ番組に出演したことがあり、笑顔が印象的でした。いつかドラマに出演させてくださいって伝えるべきでした。

その「地面師」でとても印象的なセリフがあります。豊川悦司さん演じる主人公の詐欺師・ハリソン山中が最後のシーンで「目的まであと一歩という時に足を引っ張るのは、敵ではなく必ず味方です」っていうんですよ。

この前の兵庫県知事選を指しているわけではないですよ。

でも非常に示唆的ですね。というのも、私がこのところ非常に指摘したい内容と近いからです。各社の調達部門はこぞって「コンプラとガバナンス」を掲げています。掲げているのですが、ほとんどの管理職は真剣に考えていません。

たぶん「はいはい、トップが言ってるだけでしょ」としか考えてはいません。

ただ、現在こそコンプラを真剣に考える時期だと私は思います。

その理由は、次々に内部告発で組織の闇が暴かれているからです。

ちょっと昔話をさせてください。私はかつて自動車メーカーで勤務していました。タカタという有名なエアバッグメーカーがあって、その欠陥が米国で大問題になりました。

この事件は記憶にある人が多いでしょうが、次のことは、ほとんど報じられなかったし、知らないでしょう。それはタカタの元技術者であるマーク・リリーさんらが米国の議会に内部告発したりFBIに情報提供したりして、報奨金170万ドル(約2億5千万円)を受け取った事実です。

内部の人が内部の情報を提供して大金持ちになったんですよ。

米国では内部告発によって被害を回収できた場合には、その回収額の10~30パーセントを、内部告発者に報奨金として渡す制度があります。真面目な話、内部告発「億万長者」が多発しています。

有名なところでは、東洋紡が内部のデータを正確に顧客に伝えずに同じく内部告発を受けました。アーロン・ウエストリックさんなる方が告発者で577万5千ドル(約8億6625万円)の報奨金が支払われました。

この文章のタイトルを「御社の調達でコンプラ違反がありました。ご返信ください。」としました。この違反通知は外部からでなく内部からもたらされる可能性が高いのです。だから建前ではなく真剣に対策する必要があります。

いまでは内部の社員が不正を見つけたら、すぐさま告発可能です。内部の制度もありますし、SNSでもいいし、告発先は無数です。

これは前向きに捉えるべきかもしれません。というのも、むしろ現代のような複雑化した社会においては、社外の人間ではなく、社内の人間こそが不正を告発できるのです。だからこそ内部告発は会社を立て直すために必要なんだと私は思います。

現在ではコンプラ意識とガバナンスが重要だといわれます。それは建前ではありません。ほんとうに重要です。しかし、その理由は私からいわせれば「内部からの告発に備えるため」です。建前でなく真剣に倫理的・真摯な姿勢が求められます。

とくに調達部門は企業の外と触れ合う仕事です。極端な話「取引先とのメールはぜんぶ転送されてもおかしくない」「取引先との商談はすべて録音されてもしかたがない」という姿勢でいるべきです。それは息苦しい社会かもしれませんが、時代の流れですね。内部の方からの告発は不可避なので、透明で倫理的な調達の仕組みを構築しなければなりません。

繰り返します。「御社の調達でコンプラ違反がありました。ご返信ください。」としたタイトルですが、冗談ではないのです。取引先を尊重して扱わないと、内部から「刺される」のですよ。

だからこの文章を読んでいる人は、コンプラ遵守とかガバナンスといった言葉が建前ではなく、真剣に取り組まないといけない内容と理解してください。

ねえねえ、部長、課長、あるいは係長。みなさんの発言は調達部の誰に公開されても大丈夫ですか? 私は内部告発「億万長者」多発の時代に、みなさんに喚起したいのです。

今日の話は上記で終わりです。ところで私は日本企業の調達人材のノウハウを強化する教材を販売しています。下をご覧ください。
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